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イルカその不思議な能力
イルカといえば東日本大震災の起きる7日前(2011年3月11日)、茨城県鹿嶋市の下津海岸に52頭のイルカが打ち上げられているのが見つかった。ニュージーランドでは、南島のクライストチャーチ市で大地震が起きた前日(2011年2月21日)、同国南部の離島スチュワート島でクジラ107頭が浜辺に打ち上げられていた。
インターネット上では「イルカやクジラは大地震を予知できるのでは」「座礁と地震に関係があるのでは」と騒がれていた。今、イルカの持つ、不思議な能力があらためて注目されている。
地震のときの予知能力だけでなく、最近は人間の言葉をまねしたり、物の名前を覚えたり、お互いに体をこすりあって複雑なコミュニケーションをとっていることも明らかになってきた。
2012年3月3日放送のNHKサイエンスZERO 「イルカが話す、触れあう!不思議な能力の秘密」では、最新のイルカ研究を紹介してくれた。
オウムのようなイルカ
ここは千葉県鴨川シーワールド。ここにはいろいろな種類のイルカがいる。白イルカのナックは27歳の雄である。水槽の外から反時計回りに手を回すとそれに合わせて体を回転させた。
それだけではないナックは人の声を真似ることができる。「おはよう」「ぴよぴよ」、「あわわわわ」など、人の喋るコエをまねて、呼吸孔から音を出す。
東海大学海洋学部の村山司教授は、イルカの研究をしている。ナックに物に名前をつけて教えることにした。例えば水中めがねは「ピー」、バケツは「オウ」、足ヒレは「ピーヨ」、長グツは「ホウ」。物の名前を正しく発声するとエサをあげることにする。するとそれを覚えて正しく鳴くことができた。
ラビングはイルカの文化
ところ変わって、ここは伊豆諸島の御蔵島、ここではミナミバンドウイルカが観察できる。東京大学生活ネットワークの酒井麻衣さんは、イルカコミュニケーションの研究をしている。ここのイルカたちは、ラビングという行為をする。
ラビングは胸びれを使って仲間の体をこする行動。“かんざしん子”と名付けられたのは28才、メスのイルカ。ある日“かんざしん子”が同じなかまの若いメスイルカをラビングしていた。ラビングされるメスイルカは気持ちよさそう。またある日は、オスイルカに“かんざしん子”がラビングされた。それを見た“かんざしん子”の子がうらやましそうにして、間に入ってきた。でも、かんざしん子は相手にしない。
ある日、“かんざしん子”がその子といっしょに泳いでいた。すると、今度は“かんざしん子”がその子をラビング。子イルカは嬉しそうだ。酒井さんらの調査によると、ラビングは同性どうしが一番多く、次に母と子、次にオスとメス、最後にオスと子の順に多いそうだ。ラビングは仲のよいものどうしのコミュニケーションと考えられる。
不思議なことにこのラビング、御蔵島のイルカたちは、80%左ヒレで行うという。
オーストラリアのシャーク湾に棲むイルカの中には、道具を使うイルカもいる。何と海綿で口を保護して、岩に隠れた魚を追い出す。イルカにはイルカの文化があるようだ。
イルカのエコロケーション
ふたたび鴨川シーワールドのナック。今度は水中輪くぐりに挑戦!何と目隠しをしても平気で輪くぐりをこなす。それもまったく輪に触れることがない。これがイルカの持つエコロケーション。音波を発信して跳ね返ってくる音波でまわりの様子がわかるのだ。しかも反射する音の音色の違いで、そこに何があるか形までわかるのだ。
水産総合研究センター情報研究センター、赤坂友成さんらは、この性質を利用して、魚群探知機をつくろうとしている。イルカの音で魚のさまざまな周波数の音波を出すと、魚が何匹いるかや、魚の種類まで特定できる。例えば鯖と真鯛の音は違うのだ。これは魚の持つ浮き袋がそれぞれ大きさが異なるため、反射する音が違うからだという。
こうしてみると、冒頭に述べたイルカの地震予知能力は、このエコロケーション能力に関係があるかもしれない。だとすれば、地震前に水中音を測定することで、直前の地震予知に役立つ可能性がある。イルカは、地震前に、地殻岩盤が破壊される音を聞いて、水中から逃げ出し、打ち上げられたに違いない。
鴨川シーワールドでは、さまざまなイルカと触れあうことができる。触れあうと誰もが癒され、そして誰もがイルカを好きになるという。様々な能力を持つイルカ、いつか触れあってみたいと思う。
参考HP サイエンスZERO イルカが話す!触れあう!不思議な能力の秘密 鴨川シーワールド http://www.kamogawa-seaworld.jp/index.html
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