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東日本大震災のエネルギー
東日本大震災のエネルギー量はどのくらいであろう?地震のエネルギーの量はマグ二チュード(M)であらわす。東日本大震災のエネルギー量はM9.0である。これを一般のエネルギーの表し方、ジュール(J)であらわすと、どのくらいになるだろう?
Wikipediaの“エネルギー比較”のページによると、阪神淡路大震災のときの地震エネルギーが、M7.3で、5.62 PJ(ペタジュール:ペタは10の15乗)、関東大震災が、M7.9で44.7 PJ。また、マグニチュード(M)が1違うと、エネルギー量は32倍違うので、これらを使って計算すれば求めることができる。
東日本大震災のエネルギー量は2.00 EJ(エクサジュール:エクサは10の18乗)になる。観測史上最大の1960年のチリ地震、マグニチュードM9.5は、11 EJ になる。ちなみに、広島に投下された原爆が放出したエネルギーは、55 TJ(テラジュール:テラは10の12乗)なので、東日本大震災は広島原爆の約36000倍にもなる。
また、地球が、太陽から受ける総エネルギーの1秒分は、174 PJ で、広島の原爆の約3200倍、今回の東日本大震災の11.5倍。だが、あくまでも、太陽が1秒間に放出するエネルギーではなく、地球に到達している分である。自然エネルギーがいかに大きいものか思い知らされる。
現在、東日本大震災による、福島第一原発事故の影響で、エネルギー不足が続いているが、地震そのものが巨大なエネルギーであり、これを利用できれば、人類は最大の災害から最大の恩恵を得ることができる。
それは、現在の科学技術では難しい。しかし、太陽や地震以外の自然にあるエネルギーで、まだまだ利用可能なエネルギーがあるはず。それはどんなものだろうか?
雷、地球の巨大エネルギー
世界中で落雷はどのくらい起きているのだろうか?世界中の落雷数を合計すると、1秒間に50回とも100回とも言われる。
米国海洋大気庁(NOAA)の雷専門家ドン・マクゴーマン(Don MacGorman)氏は、「一度の雷で大気中に放出されるエネルギー量は、100~3万メガジュールの幅がある」と話す。典型的な規模は1000~5000 MJ (メガジュール:メガは10の6乗)だという。
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』では、エメット“ドク”ブラウン博士が雷を利用して車型タイムマシンに電力を供給していた。しかし、巨大な放電現象といえども、人を30年前に運ぶことは難しそうだ。それでも雷が1回落ちれば、平均的な乗用車が290~1450キロ走るだけのエネルギーが生まれる。ガソリン30~144リットルに相当する量だ。
“ドク”ブラウン博士が「1.21ジゴワット」と表現していた雷のエネルギー量は、実際には280~1390キロワット時(kWh)。アメリカの平均的な世帯が使用する電力の9~45日間分に等しい。
エネルギー量の推定値に幅があるのは、雷の複雑な仕組みが原因だ。まず雲の中で稲妻が生まれ、地表に向かう稲妻の経路が徐々に伸びていく。地表に接すると、巨大な過電流が経路をさかのぼっていく。落雷のエネルギーのほとんどはこの「復帰放電」プロセスで生まれる。人間の眼には一筋の稲妻でも、実際には複数の放電で構成されており、すべてが組み合わさって0.5秒ほど持続する。放電の間隔が開いている場合、稲妻はチカチカと明滅して見える。
時間は短いが、電圧は最大10億ボルトにもなり、大気は一瞬にして摂氏3万度にまで熱せられる(ちなみに、太陽の表面温度は5500度である)。加熱された大気は急激に膨らみ、衝撃波が生まれる。これが雷鳴として聞こえる音の正体だ。
雷は人を死に至らしめる威力を持つ。しかし、町を根こそぎ破壊したり、海岸線を変えてしまうなど、雷をはるかに上回る大自然のエネルギーも存在する。例えば、2011年3月11日に日本を襲ったマグニチュード9.0の地震とそれに続く津波は、その恐るべき力をまざまざと見せつけた。世界中の研究者が、地震をはじめ、火山、山火事、ハリケーン、海岸に打ち寄せる波など、各種のエネルギー量を計測しようと研究を進めている。
人類は既に地熱や風力、太陽エネルギーなどの利用に成功しているが、大自然が秘める力のごく一部分でしかない。(National Geographic News March 14, 2012)
山火事、地球の巨大エネルギー
広大な山野を焼き尽くすこともある山火事は、膨大な熱量を発生させる。
1988年にアメリカのイエローストーン国立公園で発生した山火事は、当初ぼや程度だった火勢が瞬く間に拡大、いつしか巨大な山火事となり、約3200平方キロを焼失させた。公園全体の3分の1が被害を受け、一部の区域では観光客の立ち入りが何度も規制された。
広範囲の森林が失われた大火災だが、それに伴って発生した熱も莫大である。山林火災の専門家でアメリカ、ロチェスター工科大学研究准教授のボブ・クレメンス氏によれば、発生から鎮火までの71日間でおよそ780億MJ(メガジュール:メガは10の6乗)もの熱エネルギーが発生したという。
電力量に換算すると2200万MWh(メガワット時)となり、カリフォルニア州とオレゴン州で1カ月間に発電する電力量に相当する。
クレメンス氏の研究には、米国森林局ミズーラ火災科学研究所も協力。同研究所では森林火災の延焼速度やエネルギーを算出するため、データ収集や計算式を開発している。
同研究所は、アメリカ国内の原野と自然環境を調査し、原野火災との関連、火災発生の可能性などの解明を目指してきた。プログラム責任者であるコリン・ハーディ氏によると、世界最大の風洞燃焼試験装置を用いて、原野火災が発生した場合の燃焼エネルギーが植生などによってどのように変化するかを確かめる実験も行っているという。
こうして得られたデータは、原野火災の延焼速度や方向、危険にさらされる天然資源などを予測する上で有効な手掛かりとなっており、実際の消火活動にも役立てられている。また、各地の火災発生の危険性を評価し、管理者や来訪者へ事前に周知する体制作りにも活用されているという。(National Geographic News March 14, 2012)
参考HP Wikipedia エネルギーの比較 National Geographic news 雷、地球の巨大エネルギー 山火事、地球の巨大エネルギー
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