インドネシアのスマトラ島沖でM8.6、M8.2の地震発生!
米地質調査所(USGS)によると、インドネシア・スマトラ島沖で日本時間4月11日午後5時38分ごろ、マグニチュード(M)8.6の大きな地震があった。日本の気象庁に入った連絡によると、スマトラ島北部で1.1メートルの津波を観測。約2時間後にはM8.2の余震が起きた。
タイ南部でも10センチの津波を観測したが、米ハワイの太平洋津波警報センターによると、津波警報は日本時間の11日夜までに全て解除された。インドネシア災害対策局の担当者はスマトラ島沖のシムル島で4人が軽傷を負ったと明らかにした。マレーシアやインド、スリランカも津波対策を取った。タイのプーケット国際空港は閉鎖された。
米地質調査所(USGS)の発表によると、地震が発生したのは、バンダアチェの南西500キロの地点で、震源の深さは33キロだった。スマトラ島沖では、2004年12月26日にもM9.1規模の地震が発生しており、津波により、合わせて20万人を超える死者が出ている。(時事通信)
またしても起きた、スマトラ島沖の巨大地震。このあたりでは巨大地震が続いて発生している。これを連動型地震というが、地震は地下のプレートの動きで発生することがわかっており、プレートは非常に広大で、全体がつながっているので、一部に巨大地震が起きると、そのひずみがまわりに伝わって連続して起きると考えられている。
今回の地震で、幸運にも大きな津波は発生せず、住民にもたいした被害はでなかった。これは、断層が横にずれ、これまでと違う発生のしかたをしたからだ。しかし、度重なる連動型地震により、火山活動も活発になっており、10以上の火山で地震が増加、2006年5月と2010年10月にはムラピ山が噴火に至っている。また巨大地震の頻発により、トバカルデラにおける破局噴火に繋がる可能性も懸念されている。
こうした状況は、東日本大震災(M9.0)を経験した日本にも共通する。日本でも連動型地震、火山噴火の可能性が指摘されている。今回の地震について調べてみた。
スマトラ沖地震、原因は断層の横ずれ
4月11日、インドネシア、スマトラ島沖で巨大地震が発生し、インド洋の広範囲に津波警報が一時発令された。2004年の津波で約17万人が死亡したアチェ州の街角はパニック状態となった。
今回、幸運にもインドネシアが津波に襲われなかったのは、地震の規模と海底の動きが主な原因だという。巨大な力と震源の位置が“これまでにない”地震を生み出していた。
アメリカ地質調査所(USGS)は、本震のマグニチュードは8.6、直後の余震も8.2と発表。AP通信の報道によれば、アチェ州では病院にいた人々が素早く避難し、住民たちは車やオートバイで高台に逃げた。通りに出て家族の行方を心配する人もいたという。インド洋沿岸の複数の国が津波警報を出したが、大きな波は観測されず、数時間後に解除された。
アメリカ、イリノイ州エバンストンにあるノースウェスタン大学の地球物理学者エミール・オカル氏は、「津波は1メートル以下だった」と述べる。「かなりの高さではあるが、大きな被害をもたらすほどではない」という。2004年12月26日の津波は全く異なり、平均で10メートルの高さに達した。
オカル氏によれば、4月11日の地震が大津波を引き起こさなかった主な理由は2つあるという。まず地震の規模がマグニチュード8.6で、2004年の9.1より小さかった。さらに、今回の地震は「横ずれ型」だった。すれ違う2隻の船が互いの横腹をこするように、水平方向への動きが中心となる。一方、2004年は海底の広範囲が激しく突き上げられ、海水を大きく持ち上げた。「垂直方向の動きがあれば、巨大津波が襲ったはずだ」とオカル氏は分析する。
オカル氏によれば、4月11日の地震は「沈み込み帯」で起きなかった点が興味深いという。沈み込み帯とは、プレートが別のプレートの下に沈み込み、マントルへ向かって進む場所のことだ。今回は最も近い沈み込み帯から約150キロの地点で起きた「プレート内地震」だった。多くの場合、マグニチュード6程度で済むとオカル氏は説明する。
マグニチュード8.6はプレート内地震としては規模が大きく、「横ずれ型」の特徴も併せ持っていた。「非常に興味深い組み合わせだ」とオカル氏は指摘する。「新たな種類の地震と言える。スマトラ島沖でこれほどの規模で観測されたことはない」。(Ker Than for National Geographic News April 12, 2012)
スマトラ沖地震は2000年に1度の規模、「巨大地震リスク高めた」
インドネシア・スマトラ島のアチェ州沖で4月11日に起きた地震では、大きな被害は出なかったが、同沖の活断層帯を長年研究している地震学者は、今回の地震は2000年に1回の規模で発生したと指摘。同沖で甚大な被害をもたらす地震が起きるリスクを高めたとの見方を示した。
シンガポール地球観測研究所(EOS)のケリー・シエ所長は、11日に発生したマグニチュード(M)8.6の地震と余震は、断層が横にずれる「横ずれ断層型」だと説明。このタイプの地震としては観測史上最大だったとし、「並外れて大きく、めったにない規模だった」と述べた。
「横ずれ断層型」地震では、衝突するプレートが水平に動き、上下に揺れる地震ほど強力ではないことが多い。また、大きな津波を引き起こす確率も低いとされている。
2004年12月26日に同沖で起こったM9.1の地震は、アチェ州に壊滅的な被害をもたらし、インド洋周辺の13カ国で23万人超の犠牲者を出した。スマトラ島はインドネシア諸島の最も西に位置する島で、これまでに大規模な地震と津波の被害を受けてきた。
スマトラ島が乗るユーラシアプレートの下には、インド・オーストラリアプレートが潜り込んでおり、深海溝が作られている。スンダ海溝と呼ばれるこの海溝では、毎年少しずつ移動するインド・オーストラリアプレートが、ユーラシアプレートに負荷を与えているという。ストレスが限界に達すると、ユーラシアプレートの端部分が上に揺れ出し、地震が発生。海底が突然持ち上げられることなどで、津波が引き起こされる。
スマトラ沖では過去何世紀もの間、M8~9規模の巨大地震が繰り返し発生し、甚大な被害をもたらしてきた。
一方、11日の地震は、巨大断層帯からより西に離れた地点で発生したことから、過去に繰り返し起きた巨大地震とは異なるとシエ氏は指摘する。観測データによると、11日の「横ずれ断層型」地震は、数百キロにわたるインド・オーストラリアプレート内で突然起きた水平の動きに関連して発生したとみられる。
シエ氏は、インドプレートとオーストラリアプレートは年間に約1センチ、互いに対して水平に移動していると説明。「おおよその計算では、(11日の)地震で起きた横ずれは約20メートルとなる。そうすると、この地震は2000年に1度の頻度で発生したことになる」との見方を示した。
11日の地震はマグニチュードが大きかったにもかかわらず、死者は非常に少なく、津波の被害もほとんどなかった。しかし注意すべき点は、アチェ周辺のプレート境界域に存在する負荷を高めた可能性があり、2004年の地震と同じ規模の被害をもたらす巨大地震が起こるリスクが高まったとみられることだ。
加えて、シエ氏らが2010年に発表した研究では、2004年の地震では、数世紀にわたり巨大活断層に溜まったストレスのうち、発散されたのは約半分に過ぎないことが分かった。
このほか、同氏らによる2008年の研究では、アチェの南にあるムンタワイ諸島の下にある700キロの巨大活断層では、非常に多くのストレスが溜まっており、近いうちに1回または複数回にわたり巨大地震が起こる可能性が高いことが示された。
サーフィンスポットでもあるムンタワイ諸島は、スマトラ島の西部にある約70の島から成っている。スマトラ島にある人口およそ100万人の都市パダンにも近い。
シエ氏は「向こう数十年の間にムンタワイで大地震が起きると確率が高い」との見方を示し、マグニチュードは11日の地震と同じかそれ以上になると予想した。また、「スマトラ沖では、過去数年間に巨大地震が何度もあった」とし、「周辺にある非常に多くの断層が(地震を起こす)準備ができているようだ」と述べた。(2012年 4月13日 ロイター)
参考HP Wikipedia スマトラ沖地震 Natonal Geographic news 高台へ避難、スマトラ島沖地震の教訓
日本人が知りたい巨大地震の疑問50 東北地方太平洋沖地震の原因から首都圏大地震の予測まで (サイエンス・アイ新書) | |
クリエーター情報なし | |
ソフトバンククリエイティブ |
超巨大地震がやってきた―スマトラ沖地震津波に学べ | |
クリエーター情報なし | |
時事通信出版局 |
��潟�<�潟��