再生エネ:原案価格決定 太陽光42円、風力23〜57円
平成24年7月1日より、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度がスタートする。ドイツは固定価格買い取り制度によって再生可能エネルギーを大量に普及させると同時に生産コストを下げ、電力総需要に対するシェアを2000年の6.3%から2007年末には14%に倍増させる成果を挙げた。我が国でも再生エネルギーの普及はすすむことが期待される。
経済産業省の有識者会議「調達価格等算定委員会」は4月25日の会合で、7月に導入する「再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度」の原案をまとめた。次回会合で正式決定する。焦点の電力会社が発電事業者から買い取る際の価格は、太陽光発電が1キロワット時当たり42円、風力発電が同23.1〜57.75円など。買い取り期間は15〜20年とした。発電事業者の要望に近い価格水準とすることで、再生エネの普及を目指す。
同制度は、太陽光、風力、地熱、中小水力、バイオマスの5種類の再生エネで発電した全電力を、電力会社が固定価格で一定期間買い取ることを義務づけることが柱。原案は枝野幸男経産相に報告され、関係閣僚との協議を経て最終決定する。
委員会では、発電所の建設費や運転維持費に利益率6〜8%を上乗せする形を基本に価格や買い取り期間を算定した。電源別の具体的な価格(消費税込み)と買い取り期間は、太陽光:1キロワット時当たり42円、20年。風力(小型含む):同23.1〜57.75円、20年。地熱:同27.3〜42円、15年。中小水力:同25.2〜35.7円、20年。バイオマス:同13.65〜40.95円、20年。
コスト変化を踏まえて毎年見直す方針。住宅での太陽光発電は全量買い取りとせず、居住者が使う分を除いた余剰発電分を電力会社に買い取らせる現行制度を10年間維持する。電力会社が買い取った分は電気料金に上乗せされるため、買い取り価格が高くなれば、他の利用者には負担増となる。(毎日新聞 2012年04月25日)
平成24年7月1日スタート! 再生可能エネルギーの固定価格買取制度
我が国の「再生可能エネルギー特別措置法案、再生可能エネルギー買い取り法案」は2011年(平成23年)4月5日に国会に提出され、2011年8月23・26日、衆参両議院での全会一致の賛成をもって成立した。平成23年10月掲載の政府公報では次のように述べている。
「日本のエネルギー自給率はわずか4%にすぎません。私たちは暮らしや産業の中で、毎日たくさんのエネルギーを使っています。しかし、日本では、原子力発電を除くと、エネルギー自給率(国内で使われるエネルギーを国内の資源でまかなえる割合)はわずか4%。エネルギーの中心となっている石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料のほとんどを海外からの輸入に頼っている状況です。今後も安定的にエネルギーを確保していくため、化石燃料に替わるエネルギーの確保が課題となっています。
再生可能エネルギーは、資源が枯渇せず繰り返し使え、発電時に二酸化炭素(CO2)をほとんど排出せず地球環境にやさしい、優れたエネルギーです。再生可能エネルギーの普及・拡大を目的に、平成24年7月から“再生可能エネルギーの固定価格買取制度”がスタートします。買取制度により、電気事業者は、一定の期間・価格で、再生可能エネルギーでつくられた電力の買取が義務づけられます。買取に要した費用は「賦課金」として消費者が負担し、電気代の一部として支払います。
エネルギー資源が少ない日本で、今、新たなエネルギーとして注目されているのが、太陽光や風力、バイオマスなど自然の力を利用した再生可能エネルギーです。CO2をほとんど排出しないという環境面のメリットもあります。この再生可能エネルギーの普及・拡大を目的として、平成24年7月から「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」がスタートします。この制度は、再生可能エネルギーによって発電された電気を、一定の期間・価格で電気事業者が買い取ることを義務付けるもので、この買取りに要した費用は、消費者の皆さんに「電気代の一部」という形でご負担をお願いすることになります。社会全体で再生可能エネルギーを普及・拡大させていくために、皆さんのご理解とご協力をお願いします。」
消費者が負担する賦課金の単価は、全国一律
「電気事業者が買い取る価格・期間については、再生可能エネルギー源の種類や設置形態、規模などに応じて、中立的な第三者委員会(調達価格等算定委員会)が公開の場で審議を行い、その意見を受けて、経済産業大臣が告示することになっています。買取価格、買取期間は、原則として毎年見直した上で、告示されます。法の施行後3年間は、集中的な再生可能エネルギーの利用の拡大を図るため、再生可能エネルギーの供給者の利潤に特に配慮することとしています。
電気事業者が買い取った実績に基づき、費用負担調整機関において、消費者が負担する金額(賦課金の単価)が全国一律になるよう、調整を行います。電気の使用者は、賦課金単価に電気の使用量を乗じた金額を、電気料金の一部という形で負担することになります。なお、過重なものとならないよう配慮されます。
きわめて大量のエネルギーを消費する事業者には、賦課金の8割またはそれ以上を減免する制度が設けられます。また、東日本大震災で著しい被害を受けた被災者の方は、平成24年7月1日から平成25年3月31日まで賦課金が免除されます。
先行して導入された、太陽光発電の余剰電力買取制度では、制度開始から今までで、住宅用太陽光発電の価格は1キロワットあたり5万円程度価格が下がり(4キロワットの太陽光を設置した場合、20万円価格が低下したことになります。)、また導入量は4倍に伸びているなど、一定の成果を上げています。
従来の制度を一歩すすめる、再生可能エネルギーの固定価格買取制度。これによって、再生可能エネルギーがますます普及していくことが期待されています。
日本国内のエネルギー自給率を高め、地球環境にもやさしい再生可能エネルギー。この再生可能エネルギーの普及・拡大は日本全体にとってとても大切なことですので、皆さんのご理解とご協力をお願いします。」(平成23年10月掲載 政府公報オンライン)
固定価格買い取り制度
固定価格買い取り制度(Feed-in Tariff)とは、エネルギーの買い取り価格(タリフ)を法律で定める方式の助成制度である。固定価格制度、フィードインタリフ制度、Minimum Price Standard、電力買い取り補償制などとも呼ばれる。地球温暖化への対策やエネルギー源の確保、環境汚染への対処などの一環として、主に再生可能エネルギー(もしくは、日本における新エネルギー)の普及拡大と価格低減の目的で用いられる。設備導入時に一定期間の助成水準が法的に保証されるほか、生産コストの変化や技術の発達段階に応じて助成水準を柔軟に調節できる制度である。適切に運用することにより、費用当たりの普及促進効果が最も高くなるとされる。世界50カ国以上で用いられ、再生可能エネルギーの助成政策として最も一般的な手法となっている。
固定価格買い取り制度は1978年、米国において導入されたPublic Utility Regulatory Policies Act(PURPA)法がその走りとされる。PURPA法は特にカリフォルニア州などにおける風力発電の立ち上げに貢献した。しかし現在のように国家レベルで顕著な効果を挙げられる制度は1990年にドイツが採用したのが最初とされる。
再生可能エネルギーの普及促進政策としては他にも固定枠(クォータ)制や入札制などもあり、既存市場との整合性や安さを根拠として固定価格買い取り制度以外の方式を採る国も多かった。しかし固定枠制や入札制では、その主張に反して、いずれもその効果は固定価格買い取り制度に劣るものとなった。
その一方でドイツは固定価格買い取り制度によって再生可能エネルギーを大量に普及させると同時に生産コストを下げ、電力総需要に対するシェアを2000年の6.3%から2007年末には14%(見込み)に倍増させるなど、他の方式より大幅に勝る成果を挙げてみせた。この結果を踏まえ、現在では多くの学術的報告や公的機関がその優位性を認めている。採用数は特に2005年以降に急増し、2009年時点では少なくとも50以上の国々と25以上の州・地域で採用されている。現在では再生可能エネルギーの普及政策として、最も一般的な手法となっている。
固定価格買い取り制度を採用する地域は年と共に増加しており、2007年末の時点で46の国/州/県が採用している。欧州連合では25ヶ国中、ドイツ・フランス・イタリア・スペインなどを含む18ヶ国が導入している。(Wikipedia)
参考HP 政府公報オンライン 平成24年7月1日スタート!再生可能エネルギー固定買い取り制度
飛躍するドイツの再生可能エネルギー―地球温暖化防止と持続可能社会構築をめざして | |
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世界思想社教学社 |
100%再生可能へ! 欧州のエネルギー自立地域 | |
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