飲酒時にトマトを食べると、血中アルコール濃度が低下
 アサヒグループとカゴメは5月25日、飲酒時にトマトを一緒に食べることで、血中のアルコール濃度が低下することをヒトによる試験での評価により明らかにした。同成果の詳細は、5月18日から20日にかけて行われた「第66 回日本栄養・食糧学会大会」にて発表された。

 アサヒグループとカゴメでは、2009年よりアルコールと野菜の関係について共同で研究に取り組んできており、これまでの共同研究によってトマトの投与がアルコール代謝を促進させることを動物実験にて確認していた。

 今回の研究では動物実験の成果をもとに、ヒトでの効果の検証と、そのメカニズムの探索を行った。その結果、ヒトにおいてトマトジュースとアルコールを同時摂取すると、トマトジュースを飲んでいない場合と比較して、血中のアルコール濃度や体内に留まる量が平均で約3割減少し、体内からのアルコール消失も50分早まることが確認され、この結果から、トマトとアルコールを一緒に採ると、酔いの回りが緩やかになり、飲酒後の酔い覚め(体内からアルコールが消失された状態)も早まる可能性が示されたという。

Tomato

 また、このメカニズムとしては、動物実験においてトマトの摂取によりアルコールの代謝に関わる酵素が活性化することが確認されたという。

 具体的な実験
 具体的な実験としては、ヒトにおいてトマトジュース缶3本(約160ml×3本)と甲類焼酎(ストレート約100ml)の同時摂取試験を適正飲酒量にて実施した。その結果、トマトジュースを飲んでいない場合(対照として水と甲類焼酎を摂取)と比較して、血液中のアルコール濃度が顕著に(最高血中濃度として約3割)低下することが確認された。また、計算上、体内に留まるアルコール量が約3割減少したほか、体内からのアルコールの消失に、トマトジュースを飲んでいない場合では5.0時間要したのに対し、トマトジュースを飲んだ場合では4.2時間となり、約50分程度早まることが示された。

 この結果は、飲酒時にトマトを摂ることで、お酒単独の場合に比べて血中アルコール濃度が低くなることと体内からのアルコール消失時間が早まることが実証されたことを示しており、これにより、飲酒時のトマト摂取は、急激な体内アルコール濃度の上昇を抑えることで酔いの回りを緩やかにし、生理的な影響を緩和できる可能性と酔い覚めを早くする可能性が示唆されたという。

 一方、メカニズム解明の具体的手法としては、ラットにトマトの水溶性成分を摂取させ、その後アルコールを投与し、肝臓中のアルコール代謝に関連する酵素の活性を測定した。その結果、アルコールおよびアセトアルデヒドを代謝する酵素の活性を高める傾向が見られ、さらにLDH(Lactate Dehydrogenase:乳酸脱水素酵素)の活性が有意に高まったことが示された。

 この結果から、すでに判明していたトマト摂取後のピルビン酸の上昇とともに、肝臓中のLDHの活性が高まることで、アルコールおよびアセトアルデヒドを代謝する酵素(それぞれADH、ALDH)の働きをスムーズにする補酵素NADが供給され、アルコールの代謝がより促進されたと考えられたという。

 なお、両社は今後も「食」を通じて消費者の生涯にわたる健康的な生活に貢献することを目指し、野菜とアルコールについての共同研究を継続していく予定だとしている。(カゴメプレスリリース)

 トマトの健康成分は?
 トマトについては2012年2月、京都大学の河田教授らは、トマトの成分を細かく分け、脂肪を燃やす酵素をつくる、健康成分「13-oxo-ODA」が発見されている。この物質は、トマトの中でリノール酸からできるという。

 ヨーロッパでは古くから「トマトが赤くなると医者が青くなる」という諺があり、トマトは健康野菜として知られている。他にも健康成分がたくさんある。
 
 まず、他の野菜類と同様に、トマトはビタミンCやカロチンを多く含む。また、赤色の色素リコピンは1995年にがん予防の効果が指摘されて以来、注目を集めている。

 リコピンというのは、最近になってようやく効果が認められたトマトの赤色の色素。1995年にがん予防の効果が指摘されて以来、注目を集めるようになった。リコピンは、緑黄色野菜(ニンジンなど)に含まれるベータカロチンの仲間で、その抗酸化作用はベータカロチンの2倍の働きがあると言われている。

 抗酸化作用とは、ガンや動脈硬化など、様々な生活習慣病の原因となる活性酸素を消去するはたらきのことを言う。活性酸素が体内で増加すると、細胞膜やDNAを傷つけ、ガン細胞ができたり、動脈硬化などの怖い生活習慣病のきっかけになってしまう。しかし、リコピンの抗酸化作用は、活性酸素を消し去り、発ガン抑制や心臓病などの予防効果を発揮する。
 
 「トマトが赤くなると医者が青くなる」と諺にもあるように、トマトは緑色から赤色にく熟していく過程の中で、リコピンが大幅に増加し、食物繊維やビタミンC、Eなどの成分も増加する。つまり、日光を多く浴びて育った完熟期の赤系トマトは、リコピンだけでなくビタミンやミネラルなどもより多く含んでいることになる。断然赤いトマトの方が健康にいい。

 あるデータでは、週に7回以上トマトを摂取した人は、1回以下しか摂取しなかった人に比べて、心臓病になる危険性が約30%も低かったそうだ。また、別のデータでは、血液中のリコピンやビタミン濃度の低い女性は、子宮頚ガンにかかりやすく、また血中のリコピン濃度の低い人は、慢性大腸炎を起こしやすいことがわかった。

 その他にも、喫煙者と非喫煙者では、通常は血中リコピン濃度は同じだが、タバコを3本吸うと、その害を消すために血中リコピン濃度が40%も減少してしまうという。タバコを吸う人は、その分多くリコピンを摂取する必要がある。

 1日の摂取量の目安
 リコピンや「13-oxo-ODA」は、もともと油に溶けやすい性質を持っている。だから、油を使った調理法によって、吸収がぐんと高まる。リコピンは熱に強いので、炒めたり煮込んだりしても成分がそれほど減少する心配もない。トマトソースはイタリア料理などでもよく使われているように、オリーブオイルなどと一緒に調理するのが効果的。もちろんトマトジュースやケチャップなどの加工品を利用するのもいい。

 老化や生活習慣病の予防をしたり美白効果を期待するなら、1日に15mgのリコピンを摂取することが望ましい。喫煙者の方はさらに多く摂取したほうがよい。

 15mgのリコピンは、だいたいLサイズのトマト2個分に相当する。トマト2個となると結構な量。そこで、15mgのリコピンを摂取できるトマトや加工品をご紹介しておく。

 リコピン15mgが含まれる量: トマト 約500g (Lトマト2個)、プチトマト 約250g (約17個)、ホールトマト 約170g (2分の1缶弱)、トマトジュース 約160g (1本弱)、トマトケチャップ 約75g (大さじ4杯強)。こうして見ると、加工トマトと生のトマトは種類が違うため、加工トマトの方が、リコピンが多く含まれていることがわかる。無理に生で摂取しなくても、加工品を上手につかって食べる。

 今回発見された「13-oxo-ODA」は、量としてはリコピンの1/3程度しかふくまれていない。トマトジュースなら1日3本でようやく効果がでる程度の量だ。リコピンと同様、加工品をうまく利用したい。

参考HP 健康60 トマトが赤くなると医者が青くなる?トマトの効果
京都大学プレスリリース トマトから脂肪肝、血中中性脂肪改善に有効な健康成分発見

トマト大好き!健康生活。―リコピンパワー美味しい活用レシピ (SERIES 食彩生活)
赤堀 博美
素朴社
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伊藤園
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