ポパイとホウレンソウの関係
 ポパイは、アニメのキャラクター。現在はテレビで見かけることも少なくなった。雑誌の名前“POPEYE”はこのキャラクターから取ったもの。

 ポパイは1929年、エルジー・クリスラー・シーガー (Elzie Crisler Segar)によって「シンブル・シアター(Thimble Theatre)」という作品で生み出されたキャラクター。初めオリーブはいたが、ポパイが出場したのは10年後のことだという。1930年代に入ると、同作の短編アニメ(カートゥーン)映画がフライシャー・スタジオによって次々と制作されるようになった。今日知られるポパイはこのアニメ版といっても過言ではない。

 物語は、ホウレンソウを食べると超人的パワーを出すセーラー服姿の男ポパイと、その恋人オリーブ、そしてポパイの天敵である大男ブルート(ブルータス)の三人をめぐるコメディである。なぜ、野菜に過ぎない「ホウレンソウ」を食べるとパワーアップするのか?子供心に不思議に思った。

 ポパイのホウレンソウパワーは、ホウレンソウ等の野菜を食べない小学生に、野菜が必要な事を説く際、多くの母親たちが引き合いに出した。当初はホウレンソウがパワーの源ではなくキャベツを食べて元気を出していたともいう。 とあるエピソードの中では、当初ポパイは玉ネギの匂いを嗅いで力を出していたが、ブルータスに水をかけられ匂いがなくなった玉ネギの代わりにホウレンソウを食べ、 その結果玉ネギの匂いを嗅いだ時以上の力を発揮し、以後ホウレンソウを食べるようになったと言う話もある。

POPEYE

 ポパイは、子供達に野菜を食べさせる「食育」のために、生み出されたキャラクターであったようだ。野菜ならば、ホウレンソウでなくてもよかったのではないだろうか?

 調べてみると、ホウレンソウは、鉄分、葉酸、ビタミンが多く栄養価が高い。さらに今回、ホウレンソウに含まれている硝酸が、筋肉の増強に役立つことがわかった。ストックホルム(Stockholm)のカロリンスカ研究所(Karolinska Institute)の研究チームが、マウスに硝酸を加えた飲み水を1週間与えたところ、マウスの筋肉が増強されていた。

 ポパイは正しかった! ホウレンソウに筋肉増強効果
 米国生まれの人気キャラクター、船乗りのポパイ(Popeye)。缶詰のホウレンソウを飲み込むと筋肉もりもりになり、ピンチを切り抜ける――このポパイの行為が正しかったことが、スウェーデンの研究チームによって証明された。

 ホウレンソウには硝酸が含まれているが、ストックホルム(Stockholm)のカロリンスカ研究所(Karolinska Institute)の研究チームが硝酸を加えた飲み水を1週間与えたマウスを解剖し、対照群のマウスと筋機能を比較したところ、硝酸入りの水を飲んでいたマウスの筋肉が増強されていたことが分かった。

 研究に参加したAndres Hernandez氏によると、マウスが摂取した硝酸の量を人間に当てはめるとホウレンソウを1日当たり200~250グラム食べた程度に相当するという。緩やかな動きを長時間続けるときに働く遅筋への効果はみられなかったが、瞬発的な動きに使われる速筋には明らかな効果が見られたという。

 今回の研究で硝酸によってカルシウムの蓄積と放出に関与する2種類のタンパク質が増えていたことが分かった。これらのタンパク質が増えると筋肉内に放出されるカルシウムの量が増え、カルシウムの放出量が多いほど筋肉は強く収縮するという。

 人間について考えると、例えばホウレンソウを食べて硝酸を摂取すればウエートリフティングや短距離走に必要な筋肉を強くすることができる。さらに、速筋は他の筋肉よりも疲労しやすいが、筋力が強くなれば収縮回数が減って結果的に持久力も増すのだという。

 筋トレマニアには朗報だが、研究チームは筋力のない人、筋肉に疾患のある人、高齢者の禁機能改善効果の有無を調べる方針で、マウスでさらに数回実験した後、人間を対象にした実験を行う計画だ。論文は米専門誌「生理学ジャーナル(Journal of Physiology)」に掲載された。 (AFPBB News 2012年6月26日)

 そもそも、ホウレンソウとは何か?
 ホウレンソウ(菠薐草:Spinacia oleracea)は、アカザ科の野菜。雌雄異株。ほうれん草とも表記される。高温下では生殖生長に傾きやすくなるため、冷涼な地域もしくは冷涼な季節に栽培されることが多い。冷え込むと軟らかくなり、味がよりよくなる。

 ホウレンソウの原産地は、中央アジアから西アジアで、初めて栽培されたのはアジア、おそらくはペルシア地方(現在のイラン)だったと考えられている。英語のspinachの語源はペルシア語から来ていると思われ、「菠薐草」の「菠薐」も中国語でペルシアを意味していると思われる。ヨーロッパには中世末期にアラブから持ち込まれ、他の葉菜類を凌いで一般的になった。東アジアにはシルクロードを通って広まり、中国には7世紀頃、日本には江戸時代初期(17世紀)頃に渡来した。

 ホウレンソウの種子は外殻に包まれており、そのままでは発芽率が悪いことから、経済的な栽培にはネーキッド種子と呼ばれる裸種子が用いられる。種子はテープシーダー等に封入され、圃場に播かれる。子葉展開後本葉が展開し、葉伸長2~30cmの頃に収穫期を迎える。
 
 ホウレンソウはビニールハウスでも育てることが出来る。日本で比較的に栽培が多い産地は千葉県と埼玉県である。年間約30万t生産されており、生ものはほぼ全部を自給しているが、冷凍ものが約2万t輸入されている。

 ホウレンソウがおいしくなる時期は冬である。収穫前に冷温にさらすこともしばしば行われ、これらの処理は「寒締め(かんじめ)」と呼ばれている。これは東北農業試験場(現在の東北農業研究センター)が確立した栽培方法である。ホウレンソウが収穫可能な大きさに育ったら、ハウスの両袖や出入り口を開放し、冷たい外気が自由に吹き抜けるようにする。このまま昼夜構わず放置する。ホウレンソウは約5℃を下回ると伸長を停める。収穫作業に追われることがないため、高齢者や女性の農家に好評。寒締めを行ったホウレンソウは、低温ストレスにより糖度の上昇、ビタミンC、ビタミンE、βカロチンの濃度の上昇が起こる。

 栄養成分と健康効果
 ビタミンAや葉酸が豊富なことで知られる。ルテインというカロテノイドを多く含む。おひたし、胡麻和え、バター炒めなど様々な形で調理される。調理するとかさが3/4程度に減る。

 ホウレンソウは緑黄色野菜の中では鉄分が多い方であるが、コマツナよりは少ない。ただし葉酸は鉄分の吸収を促進するため、葉酸が鉄分と共に豊富なホウレンソウを食べれば、他の「鉄分は豊富だが葉酸がホウレンソウより豊富でない緑黄色野菜」を食べた場合よりも実際に摂取出来る鉄分が多くなるので、ホウレンソウを食べる事が効率のよい鉄分摂取に繋がり、ひいては貧血予防に繋がる事は確かである。

 ホウレンソウにはシュウ酸が多く含まれており、度を越えて多量に摂取し続けた場合、カルシウムの吸収を阻害したり、シュウ酸が体内でミネラルと結合し腎臓や尿路に結石を引き起こすことがある。シュウ酸摂取量を低減したい場合は、削り節や牛乳などカルシウムを多く含む食品と同時に摂取しシュウ酸が体内に吸収されにくくするか、多量の水で茹でこぼす(茹でるとシュウ酸が茹で汁に溶け出す)など生食を避け調理法を工夫する。

 ほうれん草の「注目の成分」としては、カテロン・ビタミンC・ビタミンB群・葉酸・鉄・カルシウムがある。健康効果としては、貧血予防・抗酸化作用・緑内障・白内障予防・動脈硬化予防・便秘解消などがある。

 豊富なカロチンやビタミンC、鉄分は、がんや動脈硬化の予防、肌荒れの防止、粘膜や皮膚の強化、かぜや貧血予防に有効。ほうれん草に含まれるビタミンAのカロチンは抗酸化剤として、タバコをよく吸う人などが、カロチンの多いほうれん草・にんじん・かぼちゃなどを食べることで、発がん物質の毒性が軽減されると言われている。冬のほうれん草は、夏採りに比べて3倍ビタミンCが多く甘味も増す。

 不足しがちなビタミンB1・B2、カルシウム、食物繊維などの栄養素を含んでいて、消化もよい食材なので疲労回復や体質改善に役立つ。根元の赤い部分は、骨を丈夫にするマンガンが豊富である。食物中の鉄分は腸管吸収率が低く、その他の鉄分を含んだ野菜を一緒に食べることが大切。

 今回新たに筋肉増強作用が見つかったホウレンソウ。他にも鉄分と葉酸を多く含み、血液増強にも役立つなど素晴らしい健康効果が期待できる。ぜひ、見直してホウレンソウを食べたいものだ。

参考HP Wikipedia:ホウレンソウ

POPEYE (ポパイ) 2012年 07月号 [雑誌]
クリエーター情報なし
マガジンハウス
冷凍ほうれん草ポパイ(無農薬)×10パックセット
クリエーター情報なし
水槽屋.com

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