地球最古のクレーター痕跡を発見
 隕石の地球衝突は、しばしば地球の環境に大きな変化をもたらし、生物の大量絶滅を引き起こしてきたと考えられる。 今から6500万年前に、恐竜が絶滅したのも、1個の隕石が引き起こしたことだとされる。

 この時、直径10キロの隕石がメキシコのユカタン半島沿岸に落下して現在の「チクシュルーブ・クレーター」を作り、これが世界規模の気候変動を引き起こした。このクレ-ターは、上空の人工衛星などから発見された。

 今回、グリーンランド南西部で、約30億年前に出来たとみられるクレーターの痕跡が見つかった。これまで最古とされてきた南アフリカのクレーター「フレデフォート・ドーム」より10億年ほど古く、地球最古とみられる。デンマークや英国などのチームが見つけ、専門誌に発表した。

 クレーターは直径約100キロ。地表にはクレーターとして特徴的な地形は全く残っていない。チームは3年間の調査で、地下20~25キロに、小惑星か彗星(すいせい)の衝突で起きた衝撃波による割れ目のような構造や特徴的な鉱物などを見つけた。

Barringer Crater

 チームの計算では、衝突した天体の直径は30キロ以上。クレーターの直径も出来たころは500~600キロあった可能性もある。今、この大きさの天体が衝突すると、舞い上がったちりなどで地球全体の気候が大きく変化し、すべての高等生物は死滅するという。(asahi.com 2012.7.3 )

 地球上のクレーターは月のようにハッキリと見えないが、地球上空から撮影した、地表の画像を観察することで発見される。そのほとんどは風化しており原形をとどめていない。地球にはどのようなクレーターがあるのだろう?

 バリンジャー・クレーター
 一番有名なのがバリンジャー・クレーター(Barringer Crater)だ。このクレーターは、アメリカ合衆国アリゾナ州フラッグスタッフの東約55キロメートルに広がる衝突クレーターである。北緯35度1分38秒西経111度1分22秒に所在。バリンジャー・クレーターは今から約5万年前に地球に衝突した隕石によって形成されたクレーターであり、直径約1.2 - 1.5キロメートル、深さ約170メートルである。

 クレーターを取り囲む周壁が特徴的で、周囲の平原からの高さは30メートルである。バリンジャー・クレーターを形成した隕石が衝突した時代、バリンジャー・クレーターが位置するコロラド高原は現在よりも寒冷湿潤な気候であり、マンモスや地上オオナマケモノが生息する草原地帯であった。

 バリンジャー・クレーターを作ったのは直径約20 - 30メートルの鉄金属隕石である。隕石は太陽よりも輝かしく燃えながら大気圏を通過し、時速4万キロメートルを超える速度で落下したと考えられる。そして、地上に激突した隕石は凄まじい爆発を引き起こした。そのエネルギーはツングースカ大爆発の3倍を超えると推測される。この爆発は、総重量は1億7,500万トンと推定される岩石を掘り起こし、孔の直径1.2キロメートル、深さ170メートルのクレーターを残した。

 周辺からは30トンもの隕鉄の破片が発見されており、周辺のディアブロ峡谷 (Diablo Canyon) の名を取って「キャニオンディアブロ隕鉄」と呼ばれている。

 こ衝突地点ではあらゆる物質が融解・気化し、高温高圧によって炭素からダイヤモンドが生成された。衝突によって生成されたダイヤモンドはクレーターのごく近くと、ディアブロ峡谷でのみ発見されている。衝突はマグニチュード5.5以上の地震を引き起こし、クレーターの外側にあった30トンの石灰岩の塊を突き動かした。

 衝突地点から半径3キロメートルから4キロメートル以内の生物は、衝突と同時に死滅した。その後、衝突によって発生した巨大な火の玉によって半径10キロメートル以内のあらゆる物質を焦がし、時速2,000キロメートルに及ぶ衝撃波が半径40キロメートル近くまで広がり、半径14キロメートルから22キロメートルまでのすべてを何もない荒野に変えた。しかしながら、この衝撃が地球の気候に大きな影響を及ぼすことはなく、100年ほどで動植物が再び根付いた。(Wikipedia)

 フレデフォート・ドーム
 これまで、地球最古のクレーターとされてきたのがフレデフォート・ドーム(Vredefort dome)である。南アフリカ共和国フリーステイト州にある世界最大の隕石衝突跡(クレーター)である。2005年7月に開かれた第29回世界遺産委員会で世界遺産の自然遺産物件として登録された。フレデフォート・ドームはヨハネスブルグの南西120kmの位置にある。隕石の衝突跡の直径は約190kmと世界最大。隕石の衝突跡は、中央のドーム(直径約50km)とそれを取り囲む外輪山(リング)からなる。

 今から約20億2300万年前(古原生代)に直径10から12kmの小惑星が速度約20km/sで衝突し、フレデフォート・ドームが生成されたと考えられている。衝突時のエネルギーはTNT火薬に換算して87Tt(テラトン、広島型原爆が約15kt、即ち58億倍) にのぼる。この時の衝突で地殻はえぐられ、地下25kmまで到達したと考えられている。この時の衝突熱でマントルが溶融して多量のマグマが発生し、大量の岩石が蒸発し、急激に冷却したことを示す地質が確認されている。また衝突による地殻の溶解と攪拌により金鉱床が形成された。

 衝突後まもなくのドームの大きさは300km程度あったと推定されているが、現在は長年の侵食により50km程度が残る。この衝突は、カナダに残るサドベリー・クレーター、メキシコに残るチクシュルーブ・クレーター(恐竜絶滅の原因ともいわれている衝突)と共に地球史の3大隕石衝突(3大インパクト)の1つに数えられている。

 現在は、草原地帯となっており、固有の蝶、鳥、哺乳動物が生息している。また付近の川ではラフティングや沢登りが楽しめ、乗馬やハイキングコースもある。(Wikipedia)

 スアヴィヤルヴィ・クレーター
 フレデフォート・ドームよりも古いとされているのが、スアヴィヤルヴィ・クレーター(英語:Suavjarvi Crater、ロシア語:Суавъярви)である。ロシアのカレリア共和国にある直径約16 kmの衝突クレーターだ。

 メドヴェジエゴルスクの町の約50 km北にあり、中央におよそ3 km幅のスアヴィヤルヴィ湖がある。形成年代は約24億年前と推定されており、この見積もりが正しければ地球上で知られている最古の衝突クレーターである。

 円形構造は空中写真で判別できるが、強く浸食され後の時代の変成も受けているため、もともとあったクレーター構造の多くが失われている。変成を受けたポリミクト角礫岩が一部だけ残っており、構成ブロックの鉱物に衝撃変形が見られるため、衝突構造の残存であると考えられている。スアヴィヤルヴィの角礫岩が、約23億年前と推定されているヤトゥリアン累層(Jatulian Formation)に覆われ、堆積前に強い浸食があったはずであることから、約24億年前という衝突年代が提唱されている。(Wikipedia)

 今回、グリーンランド南西部に発見されたクレーターは、約30億年前に出来たとみられ、これが地上最古のものとなった。

参考HP Wikipedia:フレデフォート・ドーム バリンジャー・クレーター

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