ザクロ果汁に糖尿病予防効果の可能性
 ザクロの果汁成分に、生活習慣に起因する糖尿病(2型糖尿病)に効く可能性のある成分が発見された。、「エラグ酸」というポリフェノール化合物である。エラグ酸は、ザクロ、ブラックベリー、ラズベリー、イチゴ、クランベリー、クルミ、その他多くの野菜や果物で見つかっている天然フェノール系の抗酸化物質である。

 ザクロの果汁については、2006年9月に前立腺がんに効く成分が入っていることが、名古屋市立大の研究グループによって発表されている。最近、トマトに抗酸化作用や、体内脂肪燃焼効果、アルコール濃度抑制、疲労抑制効果などがが発見されている。ザクロにも注目が集まりそうだ。(以下、サイエンスポータルより)

 今回、ザクロの果汁に含まれる、「エラグ酸」に、糖尿病発症に関わる悪玉ホルモン(レジスチン)の分泌を抑える効果を発見したのは、近畿大学農学部の河村幸雄教授と森山達哉准教授の研究グループで、マウスを使った実験で突き止めた。Ellagic acid

 2型糖尿病の発症要因としては、肥満に伴う「インスリン抵抗性」の病態が重要視される。これは血糖値を抑えるインスリンの効きが悪くなり、インスリンの無駄使いが起きている状態で、最終的に膵臓からのインスリンの分泌がなくなり糖尿病になってしまう。そのインスリン抵抗性が起きるのは、肥満によって肥大化した脂肪細胞で善玉ホルモンの「アディポネクチン」の分泌が減り、「レジスチン」などの悪玉ホルモンが増えるからとされる。

 研究グループは、培養した脂肪細胞からのレジスチンの分泌を抑制する植物由来の食品成分を探索し、ザクロから抽出した果汁成分に強い分泌抑制効果のあることを見いだした。この果汁成分を、血中のレジスチン濃度が高いマウスに摂取させたところ、有意にレジスチン濃度が低下したほか、善玉のアディポネクチンの分泌には影響を及ぼさなかった。また、有意差は見られなかったが、血糖値などの糖尿病に付随する病態も改善傾向を示した。この有効成分を詳しく調べたところ、「エラグ酸」という、抗酸化作用をもつポリフェノール化合物であることが分かった。

 「エラグ酸」にレジスチンの分泌抑制効果のあることが分かったのは、今回が初めて。糖尿病の予防に役立つサプリメントや機能性食品の開発につながる可能性があるという。(サイエンスポータル 2012年7月18日)

 ザクロ果汁成分「エラグ酸」に「レジスチン」分泌抑制作用
 肥満や運動不足など生活習慣に起因する糖尿病(2型糖尿病)の発症要因で最も重要とされるのが、肥満に伴う「インスリン抵抗性」と呼ばれる病態です。これは、インスリンの効きが悪くなり、インスリンが無駄遣いされる状態を指し、最終的にはインスリンの分泌がなくなって糖尿病になります。

 この「インスリン抵抗性」の原因の1つが、脂肪細胞から分泌されるホルモン類のバランスが肥満によって崩れることです。小型の脂肪細胞からは通常、善玉分子である「アディポネクチン」が分泌され、「インスリン抵抗性」を防いでいます。しかし、肥満により肥大化した脂肪細胞では「アディポネクチン」の分泌が減る一方、「レジスチン」や「TNFα」などの悪玉分子が分泌され、その結果、「インスリン抵抗性」を引き起こすと考えられています。

 従って、2型糖尿病の原因病態である「インスリン抵抗性」を予防・改善するには、脂肪細胞からの善玉分子「アディポネクチン」の分泌を増やすか減らさない一方で、「レジスチン」「TNFα」などの悪玉分子の分泌を抑えればよいと考えられます。

 しかし、これらの悪玉分子の分泌を抑える働きを持つ食品成分はこれまで、あまり知られていませんでした。このような研究は主にマウスをモデルにして進められてきましたが、ヒトにおいても2型糖尿病や炎症の発症に、この「レジスチン」が悪玉分子として作用することが広く認識されています。

 そこで、研究グループでは、培養した脂肪細胞から「レジスチン」の分泌を抑制する植物由来食品成分を探索したところ、ザクロの果汁(抽出物・糖分除去済み)に、強い分泌抑制効果があることを見出しました。

 また、善玉分子「アディポネクチン」の分泌には影響を与えないことも判明しました。 次に、血中の「レジスチン」濃度が高くなるような処置を施したモデルマウスにザクロ果汁(抽出物・糖分除去済み)を摂取させたところ、対照群と比べて有意に「レジスチン」濃度が低下しました。一方、善玉分子「アディポネクチン」は変化しませんでした。

 これにより、細胞レベルで観察されたことが動物実験でも実証されました。また、有意差は見られなかったものの、摂取により、血糖値など糖尿病に付随する病態も改善傾向を示しました。

 ザクロ中の有効成分を探索したところ、「エラグ酸」と呼ばれる成分がその効果を発揮することが判明しました。「エラグ酸」は天然のポリフェノール化合物で、抗酸化能などを有することは知られていましたが、「レジスチン」の分泌抑制効果があることは今回、初めて見出されました。

 今回の研究成果は、大昔から人類が食してきたザクロの果汁に含まれる食品成分が、糖尿病の予防・改善に寄与できる可能性を示したといえます。国内の患者・予備軍で2,200万人を超えるとされる糖尿病では、現段階で根本的な治療法がなく、予防こそが最大の対策であるといわれています。研究グループでは、糖尿病の予防に役立つサプリメントや機能性食品の素材として活用することで、広く国民の健康と福祉に貢献できる可能性があると考えています。(近畿大プレスリリース 2012年7月 9日)

 1型糖尿病と2型糖尿病
 今回、ちょっと聞き慣れ得ない“2型糖尿病”という言葉が出てきたが、これはなんだろう?

 まず、1型糖尿病であるが、これは、膵臓のランゲルハンス島でインスリンを分泌しているβ細胞が死滅する病気である。その病気のために血糖値を下げる、インスリンが低下、糖尿病になる。その原因は主に自分の免疫細胞が自らの膵臓を攻撃するためと考えられている(自己免疫性)。

 次に2型糖尿病はなんだろう?これは一般的な糖尿病。「生活習慣が悪かったので糖尿病になりました」と言う場合、1型糖尿病を指すことはほとんどなく、2型糖尿病である。

 欧米では肥満のため、感受性低下(インスリン抵抗性が高い状態)になり、これを原因として起きるが、日本では痩せていても、膵臓のインスリン分泌能低下していて、少々の肥満が原因となる場合が多い。少なくとも初期には、前者では太った糖尿病、後者ではやせた糖尿病となる。

 やせた糖尿病は、遺伝的因子と生活習慣がからみあって発症する生活習慣病で、日本では糖尿病全体の9割を占める。発症率を変動させる要因として、「マグネシウム摂取量が関与している」との報告があり、インスリン抵抗性、慢性炎症、飲酒習慣を有する患者では摂取量の上昇が発症抑制に効果があるとされている。

 2型糖尿病が発症する原因は完全に明らかではないが、大筋を言うと、遺伝的に糖尿病になりやすい体質(遺伝因子)の人が、糖尿病になりやすいような生活習慣を送ること(環境因子)によって2型糖尿病になると考えられている。

 炭水化物中毒
 糖尿病になりやすくなる環境因子としては、圧倒的な危険因子として肥満が挙げられるほか、喫煙や運動不足などがある。 2型糖尿病の発症メカニズムについて、一部で次のように説明されることもある。

 通常、食事で炭水化物を摂取し血糖値が上がると、膵臓からインスリンが出されて、血糖をグリコーゲンに変換し筋肉などに蓄える。そして、運動するときのエネルギーとしてグリコーゲンを使う。さらに、筋肉に蓄える分が一杯になると、今度は中性脂肪として脂肪細胞に蓄える。そして、血糖値が下がる。

 しかし、このメカニズムはインスリン抵抗性が高まっていると正常に働かなくなる。肥満になるほどインスリン抵抗性が高まり、インスリンが多く作られ高インスリン血症となる。このため脂肪として蓄えられやすく悪循環になってしまう。

 また、血糖値が下がり低血糖症になるため、体はエネルギーが足りないと感じ、食欲が出てくる。この状態を「炭水化物中毒」と呼んでいる。インスリンのメカニズムが暴走し、甘いものが見境いなく欲しくなる状態である。また低血糖症の時には気分が優れない。 インスリンをつくりすぎて膵臓が疲れると、インスリンを作れなくなり血糖値を下げることができない糖尿病になる。最終的にインスリンの注射が必要になる。

 ザクロの健康効果・成分
 ザクロ(石榴、学名: Punica granatum)とは、ザクロ科ザクロ属の落葉小高木、また、その果実のこと。 庭木などの観賞用に栽培されるほか、果実は食用としても利用される。

 古くから以下のような部位が薬用に供されてきた。なお、以下の利用方法・治療方法は特記しない場合、過去の歴史的な治療法であり、科学的に効果が証明されたものであることを示すものではない。

 樹皮: 根皮:乾燥させた樹皮または根皮は、生薬名として「石榴皮」(ザクロヒまたはセキリュウヒ:Granati Cortex)または「石榴根皮」(セキリュウコンピ)といい、古くから条虫(特に有鉤条虫)の駆虫薬として用いられてきた。ディオスコリデスの『薬物誌』でも樹皮が駆虫薬として用いられている記述が見られる。近代になり、1884年Schroder によって駆虫薬としての有効性が科学的に証明され、過去にはイギリスやアメリカ合衆国の薬局方にも収載されていた。日本薬局方には初版より「石榴根皮」として収載され(後にザクロヒ)、第7改正まで収載されていた。

 石榴皮の主な成分は、0.3~1 % 程度の揮発性アルカロイド(ペレチエリン (pelletierine)、イソペレチエリン (isopelletierine)、プソイドペレチエリン (pseudopelletierine) など)と 23 - 28 % 程度のタンニン(プニカラギン(英語版) など)である。通常、駆虫には乾燥させた樹皮または根皮 30~60g を 300 mL の水に 5~6 時間に浸したものあるいは煎じたものを服用する。多量に服用すると中毒を起こす場合がある。

また、『和漢三才図会』では下痢、下血、脱肛、崩漏、帯下を止めるのに用いるとの記述がある。更に、口内炎や扁桃炎のうがい薬にも用いられたという。漢方薬としては、石榴根皮、苦楝皮(クレンピ)、檳榔子からなる「石榴根湯」(せきりゅうこんとう)があり、駆虫に用いられる。

 果皮: 果皮を乾燥させたもの(石榴果皮:せきりゅうかひ)も樹皮や根皮と同様の目的で用いられることが多く、中国やヨーロッパでは駆虫薬として用いた。ただし、根皮に比べ揮発性アルカロイドの含有量は低く効果も劣る。また、回虫の駆除に用いられたこともあったようであるが、犬回虫を用いた実験では強い活性はみられなかった。日本や中国では、下痢、下血に対して果皮の煎剤を内服し、口内炎や扁桃炎のうがい薬にも用いられた。プリニウスは、果皮を利尿に用いるとしている。
 花: 粉末にした花(石榴花)は、出血性の傷に用いられた。

 種子:1964年Sharaf らが種子油(酸石榴)にエストロゲン活性があることをマウスを用いた実験で見出し、1966年Hefumann らによってこの活性がエストロンによることが示され、乾燥種子100g 中に1mg のエストロンが含まれることが1988年Moneam らによって確認され、更年期障害や乳癌などに対する効果が期待された。ただし、エストロンの含有量が微量であること、経口摂取ではエストロンは肝臓で速やかに代謝されること、また、エストロンの生理活性はエストラジオールの10 分の1 程度であることなどから実質的な効果は疑問視されている。

 果汁: 果汁にエストロゲンが含まれるとして1999年から2000年頃にブームとなったが、流通しているザクロジュースやエキス錠剤等10 銘柄を用いた国民生活センターの分析では、いずれもエストロゲンは検出されなかった。(Wikipedia)

参考HP Wikipedia:エラグ酸ザクロ サイエンスポータル:ザクロ果汁に糖尿病予防効果の可能性 近畿大学プレスリリース:ザクロ果汁成分「エラグ酸」に糖尿病予防効果

更年期とザクロの素敵な関係―天然果実の秘められたパワーで“女性らしさ”と健康を
谷 洋一
駿台曜曜社
ポメグラネイト(ザクロ)【エラグ酸40%含有】60粒
クリエーター情報なし
Nature’s Way社

ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ ←One Click please