老化防止物質:青ジソから発見
京都大薬学研究科の久米利明准教授(薬理学)らは8月6日、がんや老化、メタボリック症候群の原因とされる活性酸素の働きを抑えるDDCという有機物質を、青ジソから発見したと発表した。健康食品への応用が期待できるという。米科学誌に8月15日掲載される。
酸素の一部は活性酸素となって細胞を傷つけ、老化を促進する。通常は体内のビタミンやポリフェノールが活性酸素を中和するが、喫煙や大気汚染、ストレスなどでバランスが崩れると、生活習慣病などを引き起こすとされる。
研究グループは桃やリンゴなど12種類の果物や野菜の成分を抽出し、培養したラットの細胞に加え、酸化を抑える酵素の働きを調べた。その結果、青ジソから抽出したDDCを加えると、酵素の活性化を示す指標が約70倍になった。他の野菜類は数倍程度だった。さらに、化学合成したDDCにも同様の働きがあることを確認した。
久米准教授は「青ジソ1枚に含まれるDDCはわずか。青ジソそのものを食べるより、化学合成して食品に加えるなどの活用方法が有効だろう」と話している。(毎日新聞 2012年08月06日)
生体内抗酸化システム
私たちの病気の多くは活性酸素によるものが多い。この酸化ストレスを防御するには、活性酸素種と直接反応し、除去できるビタミンC・Eやポリフェノールなどの抗酸化物質を大量に摂取する方法と、生体内の抗酸化酵素の発現を上昇させる方法があげられる。
しかしながら、前者の抗酸化物質の生体内濃度を高く維持するのはなかなか困難。後者の抗酸化酵素を発現誘導する生体内抗酸化システムとしてNrf2-ARE経路が知られている。
転写因子であるNrf2は通常Keap1と結合し細胞質に留められているが、生体が酸化ストレスにさらされると核内に移行し遺伝子の上流に存在するARE配列に結合することで、グルタチオンペルオキシダーゼ、ヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)、カタラーゼなどの抗酸化酵素やNAD(P)Hキノンオキシドレダクターゼ1(NQO1)などの第二相薬物代謝酵素の発現を誘導する。このNrf2-ARE経路を低分子量化合物で活性化できれば、生体は酸化ストレスに対して抵抗性を獲得した状態を維持できると考えられている。
近年の研究から、老化や発がん、メタボリックシンドローム、動脈硬化、心筋梗塞、アルツハイマー病やパーキンソン病など様々な疾患の病態形成の一因として、酸化ストレスが関与すると考えられている。
さらに疫学調査から、果物や野菜の摂取はこれらの疾患を予防する効果が期待できることが示唆されている。今回、研究グループは、身近な食品に着目し、生体内抗酸化機能の亢進に有効な新規成分の探索およびその機能解析を行うことを目的とした。(京都大学)
抗酸化システム活性の強い「青ジソ」
果汁サンプルとしてピーチ、りんご、ストロベリー、クランベリー、ラズベリー、温州みかんを、野菜サンプルとして青ジソ、モロヘイヤ、春菊、セロリ、パセリ、赤ジソを用いて、Nrf2-ARE経路の活性化作用を有する化合物を探索した。
これらの果汁・野菜サンプルをジエチルエーテルにより抽出し、Nrf2-ARE経路の活性化作用を検討したところ、青ジソ抽出物が強力なARE活性の上昇を誘導した。青ジソ抽出物中の活性成分を逆相HPLCにより単離・精製した後、核磁気共鳴(NMR)や質量分析(MS)による構造解析を行ったところ、活性成分の構造は2',3'-dihydroxy-4',6'-dimethoxychalcone(DDC)であると推定された。
そこで、化学合成したDDCはARE活性化を誘導し、Nrf2-ARE経路により制御される抗酸化タンパクが増加した。以上の結果から、青ジソ中にNrf2-ARE経路の活性化作用を有するDDCが含まれることを発見した。
DDCは、熱帯に生息するバンレイシ科の植物の葉よりすでに発見されていたが、青ジソのような身近な食品に含まれることは報告されておらず、またその薬理作用に関する検討は今回が初めてである。(京都大学)
シソの健康成分
シソ(紫蘇:Perilla frutescens var. crispa)は、シソ科シソ属の植物。ヒマラヤやビルマ、中国などが原産。日本には中国から伝わったとされている。一年草で、高さ1m程になる。葉は対生につき、広卵形で先端は尖り、緑色または赤みを帯びる。品種によっては葉が縮れる場合もある。花序は総状花序で、白から紫色の花を多数つける。
シソには次のような逸話が伝えられている。後漢末、洛陽の若者が蟹の食べすぎで食中毒を起こした。若者は死にかけていたが、名医・華佗が薬草を煎じ、紫の薬を作った。薬を用いたところ、若者はたちまち健康を取り戻した。「紫」の「蘇る」薬だというので、この薬草を「紫蘇」というようになった。
シソの成分としては、カロチン(カロテン)を多く含み、野菜の中でもトップの含有量。またカルシウム、鉄分といったミネラルやビタミンB1・B2・C・Eも豊富に含んでいる。
健康成分としては、シソの葉にロズマリン酸、葉と実にはルテオリン(フラボノイド・酵素)という成分を含み、アレルギー疾患に有用として健康食品としても利用されている。
漢方医学では、主に赤紫蘇の葉を「蘇葉」(そよう)または「紫蘇葉」(しそよう)といい、理気薬(気が停滞している状態を改善する薬物、精神を安定させる目的もある)として神秘湯、半夏厚朴湯、香蘇散などに配合される(日本薬局方では、チリメンジソ(狭義のシソ、学名:P. frutescens var. crispa f. crispa)の葉及び枝先を「蘇葉」としている)。
また熟した果実を「蘇子」(そし)といい、咳、喘息、便秘などの治療に用いる。(Wikipedia)
参考HP Wikipedia:シソ(紫蘇) 京都大学プレス:青ジソから老化やメタボリックシンドローム予防に有望な生体内抗酸化力を高める成分発見!
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