「暴走する温室」ペルム紀末の大量絶滅
今から約2億9,900万年前から約2億5,100万年前までの期間をペルム紀とよぶ。以前はドイツの地層(上下二分される)名から二畳紀と呼ばれることが多かったが、近年はペルム紀と呼ばれることが多い。石炭紀の後、三畳紀(トリアス紀)の前の紀である。また、古生代の最後の紀であり、ペルム紀が終わると中生代となる。ペルム紀という名前は、ロシアのペルミという都市から名付けられた。
ペルム紀には、様々な植物、巨大な両生類や爬虫類が生息していた。その中には、恐竜や現生爬虫類の祖先となる双弓類もいた。哺乳類の祖先に当たる単弓類(哺乳類型爬虫類)も繁栄し、陸上には豊かな生態系が築かれていた。ペルム紀の浅い海の堆積物からは、豊富な軟体動物、棘皮動物、腕足動物の化石が産出する。三葉虫なども繁栄していた。植物では、シダ植物に加え、イチョウ類やソテツ類といった裸子植物も繁栄を始めた。
このペルム紀(二畳紀)末から三畳紀初期にかけては生物が大量絶滅し、地球がほぼ不毛の地と化した。この大きな原因は、地球が文字通り“死ぬほど”暑かったからだとする最新の研究が発表された。
今から2億5200万~2億4700万年前、地球は「ペルム紀末の大量絶滅」と呼ばれる出来事に見舞われた。これによって、陸上植物を含む地球の生物のほとんどが姿を消した。植物が死滅した結果、CO2濃度は上がり、地球は温暖化、生き残った赤道付近の生物たちも死に瀕した。
植物は地球の温度を上げる二酸化炭素を吸収する。そのため、植物が死滅すると、地球は「暴走する温室」と化して「コントロールがきかなくなり」始めたと、研究共著者でイギリス、リーズ大学の古生物学者であるポール・ウィグナル(Paul Wignall)氏は言う。
殻の硬い巻貝や二枚貝など、ペルム紀の大量絶滅を生き延びたわずかな生物もこの猛烈な暑さによって命を落とし、以来、地球は500万年の間ほぼ「死の世界」になったとウィグナル氏は述べる。
ペルム紀末の致死的猛暑、再び起こる?
ウィグナル氏らの研究チームは、中国南部の浅い海から採取した小さな化石を調べた。そこは当時、赤道上に位置していたところだ。
当時の海水温を知る「信頼性の高い」手がかりとなる化石の酸素同位体を調べたところ、ペルム紀直後(三畳紀初期)には海面温度が摂氏40度に達していたことが明らかになった。研究チームが致死的な暑さと評する高温だ。同じ領域における現在の平均温度は摂氏25~30度だ。
この高温が、長らく研究者たちを悩ませてきた謎を解くカギかもしれない。地球は他の大量絶滅からは数十万年で回復したにもかかわらず、なぜペルム紀の大量絶滅では回復に500万年も要したのか、という謎だ。どうやら、単純に暑すぎたせいらしい。
同じことは再び起こるだろうか? 「理論的には起こりうる」とウィグナル氏は言う。
NASAのゴダード宇宙科学研究所によると、地球の平均気温は、1880年から摂氏約0.8度上昇した。そのうち3分の2は、1975年以降に上昇した分だ。
しかし、現在の温暖化傾向をもってしても「当時の深刻な状態に到達するにはまだまだ遠い」とウィグナル氏は述べる。というのも、そうなるにはまず地球の植物の大半が死滅しなければならないが、現在のモデルではまず起こらないシナリオだからだ。それでも、今回の研究結果は「世界がどれだけひどい状態になりうるか」を地質学的なタイムスケールで示していると同氏は語った。今回の研究は10月19日付で「Science」誌オンライン版に発表された。(Christine Dell'Amore for National Geographic News October 19, 2012)
ペルム紀(Permian period)とは何か?
今から約2億9,900万年前から約2億5,100万年前までを指す地質時代である。ただし開始と終了の時期はそれぞれ数百万年の誤差がある。以前はドイツの地層(上下二分される)名から二畳紀(にじょうき)と呼ばれることが多かったが、近年はペルム紀と呼ばれることが多い。石炭紀の後、三畳紀(トリアス紀)の前の紀である。また、古生代の最後の紀であり、ペルム紀が終わると中生代となる。ペルム紀という名前は、ロシアのペルミという都市から名付けられた。
ペルム紀には、様々な植物、巨大な両生類や爬虫類が生息していた。その中には、恐竜や現生爬虫類の祖先となる双弓類もいた。哺乳類の祖先に当たる単弓類(哺乳類型爬虫類)も繁栄し、陸上には豊かな生態系が築かれていた。ペルム紀の浅い海の堆積物からは、豊富な軟体動物、棘皮動物、腕足動物の化石が産出する。三葉虫なども繁栄していた。
植物では、シダ植物に加え、イチョウ類やソテツ類といった裸子植物も繁栄を始めた。
また、特異な例であるが、この時代の微生物の培養が報告されている。約2億5000万年前に形成された岩塩層から、結晶内部に封じ込められていた古細菌と真正細菌の培養に成功し、古細菌の方はハロバクテリウム科の新属新種Halosimplex carlsbadenseとして記載された。
ペルム紀の初期には、赤道付近に存在していたユーラメリカ大陸と、南半球から北上してきたゴンドワナ大陸が衝突し、パンゲア大陸と呼ばれる超大陸が形成されていた。北半球にはシベリア大陸が存在していたが、やがてシベリア大陸もパンゲア大陸と衝突し、ウラル山脈が形成され、ほぼ全ての陸地が1つの超大陸としてまとまることとなった。パンゲア大陸は赤道を挟み三日月状(Cの字)の形をとった。大陸の周囲はパンサラッサと呼ばれる大洋が囲んでおり、大陸の東側(三日月形の内側)には古テチス海と呼ばれる海が広がり、シベリア大陸からゴンドワナ大陸に、小大陸や島が点々と連なっていた。
ペルム紀の初期には、ゴンドワナ大陸が南極地域にあり、大規模な氷床が発達していたため、気候は寒冷だった。しかしゴンドワナ大陸が北上して南極地域を脱したことから、氷床は融解しはじめ、気温は上昇に転じた。ペルム紀の末期には激しい気温上昇が起こり、地球の平均気温は23℃にも達した。これは、6億年前から現在まででもっとも高い気温である。(Wikipedia)
ペルム紀末の大量絶滅(P-T境界事変)
古生代後期のペルム紀末、P-T境界(約2億5100万年前)に地球の歴史上最大の大量絶滅がおこった。海生生物のうち最大96%、全ての生物種で見ても90%から95%が絶滅した。既に絶滅に近い状態まで数を減らしていた三葉虫はこのときに、とどめをさされる形で絶滅した。
この大量絶滅は化石生物の変化から実証されているが、絶滅の原因には幾つかの仮説がある。
1.全世界規模で海岸線が後退した痕跡がみられ、これにより食物連鎖のバランスが崩れ、大量絶滅を引き起こしたという説がある。
2.巨大なマントルの上昇流である「スーパープルーム」によって発生した大規模な火山活動が、大量絶滅の原因になったという説もある。超大陸であるパンゲア大陸の形成が、スーパープルームを引き起こしたとされる。
実際、シベリアにはシベリア・トラップと呼ばれる火山岩が広い範囲に残されており、これが当時の火山活動の痕跡と考えられている。火山活動で発生した大量の二酸化炭素は温室効果による気温の上昇を引き起こした。これによって深海のメタンハイドレートが大量に気化し、さらに温室効果が促進されるという悪循環が発生し、環境が激変したと考えられる。
また、大気中に放出されたメタンと酸素が化学反応を起こし酸素濃度が著しく低下した。このことも大量絶滅の重要な要因となった。古生代に繁栄した単弓類(哺乳類型爬虫類)はこの際に多くが死に絶え、この時代を生き延びて三畳紀に繁栄した主竜類の中で、気嚢により低酸素環境への適応度を先に身に付けていた恐竜が後の時代に繁栄していく基礎となったとされる。
なお、単弓類の中で横隔膜を生じて腹式呼吸を身につけたグループは低酸素時代の危機を乗り越え、哺乳類の先祖となった。(Wikipedia)
参考HP Wikipedia:ベルム紀末の大量絶滅 National Geographic news:ベルム紀末の致死的猛暑、再び起こる
![]() | 大量絶滅がもたらす進化 巨大隕石の衝突が絶滅の原因ではない?絶滅の危機がないと生物は進化を止める? (サイエンス・アイ新書) |
クリエーター情報なし | |
ソフトバンククリエイティブ |
![]() | NHKスペシャル 地球大進化 46億年・人類への旅 第4集 大量絶滅 巨大噴火がほ乳類を生んだ [DVD] |
クリエーター情報なし | |
NHKエンタープライズ |
��潟�<�潟��