秒速30キロ、激しい衝撃波
2月16日早朝、地球に接近する小惑星が話題になった。わずか45mしかない天体を、はるかな宇宙空間に捉えることができるのであるから、現代の観測技術は素晴らしい。もはや、隕石の落下で被害はあるまいと思われたが・・・。
ロシア南部ウラル地方のチェリャビンスク州周辺で2月15日、隕石が落下した。隕石が上空で爆発し、ロシア内務省によると同州内の3カ所に破片が落下した。
人口が密集する都市部への落下は免れたが衝撃波で大気が激しく振動、非常事態省によると、割れたガラスの破片などで約500人が負傷し、112人が入院した。死者はいなかった。隕石落下で多数の負傷者が出るのは極めて珍しい。
隕石はごう音とともに、白い閃光を広範囲に放ち、白煙を引いて空を横切った。チェリャビンスク州によると、破片の一部は同州中部のチェバルクリ郊外の湖に落下したとみられる。 ロシア宇宙庁は、隕石は秒速30キロで低空を横切ったと説明している。 負傷者の大部分はガラスの破片などによる切り傷で、軽傷と「中程度」のけが。生命に関わる重傷者はいないもようだ。学校では授業中で、子どもも多数が負傷した。(産経news 2013.2.15)
永久凍土解け、森林枯死
一方、東シベリア・ヤクーツク周辺では永久凍土の融解が進み、土壌の水分が増えてカラマツ林の枯死が目立っていると、海洋研究開発機構と名古屋大、ロシア科学アカデミーなどの研究チームが国際的な科学誌エコハイドロロジーに発表した。
北極域では近年の温暖化により、北極海の海氷の夏の減少が記録的な水準にある。森林の枯死も広がれば、日本を含む北東アジアの気候に影響する可能性があるという。(2013/02/12-11:10)
ロシアの東シベリアで地表付近の永久凍土が融解し、過剰な土壌中の水分によってカラマツ林の枯死が進んでいることが、海洋研究開発機構地球環境変動領域の飯島慈裕・主任研究員らと名古屋大学、ロシア科学アカデミーなどの共同チームの研究で分かった。大規模な森林の変化は、東シベリアにおける大気と陸の間の熱や水蒸気のやり取りも変化させ、日本を含む北東アジアの気候に影響する可能性があるという。
研究チームは1998年から東シベリアのヤクーツクで、気温や降水量、地温、土壌水分などの総合的な観測を行っている。その結果、2004年以降に冬の積雪量と夏の降雨量が共に増加する年が3年間続いたことで、地表付近の永久凍土の融解が進み、表層土壌の水分が過剰な状態となっていること、森林の枯死も2007年から顕著になっていることが分かった。
森林が枯死している場所は、調査指標とした50メートル四方のカラマツ林のうちでも、永久凍土が周囲よりも深く融け、地下水が集まりやすくなっていた。2006~11年の間に約15%のカラマツが枯れ、生き残っている樹木の蒸散能力もかなり低下していた。根の生育環境が悪化したことで、枯死が進行していると考えられるという。
こうした現象は、地球温暖化の影響による「水循環の変化」が、東シベリアでの降雪量・降雨量を増加させ、陸上植物に現れたものと考えられる。永久凍土の融解は、森林の衰退による炭素の収支にも変化をもたらし、永久凍土地域からの二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスの放出にも影響を与えることから、今後も北極域の変化に注視していく必要があるという。
研究結果は環境学術誌「Ecohydrology」に10日、論文“Sap flow changes in relation to permafrost degradation under increasing precipitation in an eastern Siberian larch forest”として掲載された。
永久凍土からマンモス発見
ロシアの永久凍土が溶けたことで、思わぬお宝が地中から出てきた。ほぼ無傷のマンモスが見つかったのだ。 およそ3万年前のものと考えられているマンモスは、肉、骨、牙、脂肪がほぼそのまま残っていた。
2012年10月、ロシア東シベリアの北部タイミル半島で、11歳の少年が極めて保存状態のよい約3万年前のマンモスの死骸を発見、専門家らは「100年に一度の発見」と指摘している。タス通信などが6日までに伝えた。
マンモスが見つかったのはエニセイ川の川岸付近。11歳のエフゲニー・サリンデル君が8月、散歩中に異様な臭いに気付き、永久凍土の下に埋もれているマンモスのかかとの部分を見つけた。
両親から連絡を受けた専門家が先月に発掘作業を実施したところ、マンモスは体長約3メートル、死亡当時15~16歳の雄で、皮や肉、牙だけでなく内臓の一部も残されていることがわかった。これほど保存状態のよいマンモスの死骸が発見されたのは1901年以来だという。
このマンモスは発見者のエフゲニー君の愛称にちなんで「ジェーニャ」と名付けられた。(共同 2012.10.7)
氷づけのマンモスから取り出したDNAの断片を現生ゾウのDNAと比較することで、これらの種の遺伝的な関係を明らかにするという研究がなされている。また、マンモスのDNAは長い年月の間に分解され断片化しているが、完全なDNAが見つかればクローン技術によってマンモスを復活させることができるかもしれない。
氷づけのマンモスから、完全なDNAが残されている細胞核を取り出し、現生ゾウの卵細胞に注入することで、マンモスの復活を果たすというものである。必要なDNAを得るべく、氷づけのマンモスの探索が続けられている。
永久凍土とは何か?
永久凍土とは2年以上連続して凍結した状態の土壌を指す。永久凍土は北半球の大陸の約20%に広がっている。永久凍土の厚さは数百m(アラスカのバローでは440m)にも及ぶこともある。永久凍土の上部には夏の間融けている活動層があり、ポドゾルという酸性の土壌となり、タイガや草原となっている。活動層の厚さは年や場所によって変化するが、典型的なものでは0.6~-4mの厚さである。日本では、富士山頂上付近および大雪山頂上付近に永久凍土が確認されている。
永久凍土は、氷河や氷床を形成するような大量の降雪が無ければ、年平均気温が氷点下より低いあらゆる気候、典型的にはツンドラ気候で形成され、その規模は気候に応じて変化する。しかし、季節ごとの地面の温度変化が気温の変化より平均的に小さくなれば(上層が融けて)その深度は深くなる。
もし年平均気温が0℃に近い温度まで上昇すると凍土は部分的に融解し、点在して分布するようになる。これを不連続永久凍土という。一般に、永久凍土は年平均気温が-5℃から0℃の間の気候下条件で不連続になる。年平均気温-5℃以下では凍土の融解はおこらず連続永久凍土地帯が形成される。氷期に例外的に「非氷河地域」だったシベリアやアラスカは(冬は)現在より11℃寒冷であり、現在の凍土の深さは当時の気候状態を保存している。
北半球の連続永久凍土境界は、極東から北方向の地域に分布する。この境界の北ではすべての地面は永久凍土もしくは氷河・氷床に覆われる。東西方向の広がりを見ると、場所によって地域的な気候の影響を受け、境界が北や南へ遷移する。南半球の場合、もしも陸地があったなら連続永久凍土境界は南極海とほぼ平行して、氷河氷床に覆われていなければ大陸のほとんどが連続永久凍土地帯であったと思われる。
地球温暖化で減少する凍土
最終氷期最寒期には連続永久凍土が現在よりもはるかに広く地上を覆っていた。ヨーロッパの氷に覆われていないすべての土地、南はポーランドのセゲドから、乾燥し干上がっていたアゾフ海まで、中国では北京まで広がっていた。日本では中部から東北にかけての高地や、北海道のほとんどが連続もしくは不連続凍土に覆われていた。北アメリカでは氷床の南端、緯度にしてニュージャージー州からアイオワ州南部、ミズーリ州の北部のきわめて狭い一帯のみにしか分布していなかった。南半球でもこの時期、ニュージーランドのオタゴ中央やアルゼンチンのパタゴニアで永久凍土が形成されたいくつかの証拠がある。だが、きわめて高緯度の地域以外では不連続で、高度が極めて高い場所に限られていたようである。
永久凍土の分布と深度を計測することで、近年(1998、2001年)アラスカとシベリアの永久凍土の融解が報告されたように、地球温暖化の指標になる。カナダのユーコンでは、連続永久凍土帯が1899年以来100km北へ移動した。しかし正確な記録は30年しかさかのぼれない。永久凍土にはメタンハイドレートが含まれており、融解すると、強力な温室効果ガスであるメタンや他の炭化水素を大気に放出し、世界的な温暖化を激化させると考えられている。また永久凍土は北極地方の平原を安定させているが、温暖化によって侵食や建築地盤の沈下などが進むと予想される。(Wikipedia)
参考HP マイナビニュース:凍土融解で森林が枯死 Wikipedia:マンモス
![]() | 新版 再現!巨大隕石衝突―6500万年前の謎を解く (岩波科学ライブラリー) |
クリエーター情報なし | |
岩波書店 |
![]() | 北極にマンモスを追う 先端科学でよみがえる古代の巨獣 (角川ソフィア文庫) |
クリエーター情報なし | |
角川学芸出版 |
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