電子レンジで使われるマイクロ波
電子レンジは、熱を出さないのにどうやって食品を温めるのだろう?
電子レンジはマイクロ波という波長の短い電波を使って食品を温める機器だ。マイクロ波は、空気やガラス、紙などを通り抜け、金属には反射され、水に吸収されるという性質がある。
レンジの中には小さな穴がたくさん見える。このなかにある「マグトロン」という真空管がマイクロ波を発生させ、食品に発射される。電子レンジに使用される電波は、マグネトロンという発振器で発生され、1秒間に24億 5千万回(2450MHz=2450×106Hz←水分子の固有振動数)プラスとマイナスの電極の変化を 繰り返す。
これはFMラジオの約30倍、AMラジオの約2000倍に相当する周波数。電波は金属に当たると反射するので、これにより電子レンジ内では反射して中の物質に 有効にあてることができる。逆に電波をガラスや陶器にあてると透過する。
電波は、食品のように水分を含む材料にあたると吸収されて発熱する。水は極性分子なので、プラス・マイナスの極を持っていて、これが電波によって分子が 振動し、摩擦熱を発生し、食品の内部から発熱する。これを「誘電加熱」と言う。正・負の電荷を帯びていない分子(無極性分子)や、振動しにくい物質(固体)には電磁波の影響が少なく、加熱されにくい。
食品を温めるだけではない、今、マイクロ波の新しい性質が注目されている。廃油のリサイクル、アスベストの無害化、無線送電システムなど実に多様な可能性がある…。
未知のマイクロ波効果を活用せよ
2013年1月27日、NHKサイエンスZEROで放送した、「未知のマイクロ波効果を活用せよ」は興味深かった。電子レンジでおなじみの“マイクロ波”。今マイクロ波に様々な効果が発見されている。
“マイクロ波”はこれまで、お弁当を温めるものとして考えられていた。マイクロ波は、水に極性があることを利用して、水を振動させることができる。分子の運動はすなわち熱と同義であるから、当然温度も上がる。
しかし、温めるのは水だけでない。炭素の粉と砂鉄を容器に入れ、これを電子レンジに入れると、砂鉄が溶け鉄の塊ができる。電子レンジは金属も温めることができるのだ。また、イオンも温めることができる。イオンは電気を持っているから、マイクロ波でつよく振動させられる。だから、普通の水よりも食塩水の方がよく温まる。お弁当よりも塩の効いたおにぎりの方が温まるのである。
また焼き物をつくる窯元では、これまでガス窯で加熱してきたが、近ごろはマイクロ波を使った窯が主流だ。ガスでは焼き方にむらがあるが、マイクロ波は焼き物全体を加熱するので焼むらがなく、短時間で焼きあがる。従来の1/4の時間ですみコストも2~3割安くなった。
真っ黒になった使用済み食用油は、これまで捨てるしかなかった。しかし、この廃油に触媒を入れ、これにマイクロ波をあてる。すると、触媒が活性化して汚れだけを分解してくれるのだ。その結果、サラサラのエステルに蘇った。このエステルはプリンターのインクなどに利用される。大阪大学の塚原保徳準教授の造った触媒はマイクロ波によく反応する。
東北大学の滝澤博胤(ひろつぐ)教授は、チタンの粉に金属の塊を容器に入れ、これを電子レンジに入れ、マイクロ波をあてる。すると金属の表面に窒化チタンの膜ができて、きれいにコーティングされる。チタンは酸素と結びつきやすいので、通常この作業は酸素のない状態で反応を行う。しかし、マイクロ波をあてることで酸化チタンは分解し、かわりに窒素と反応する。この理由はまだよくわかっていないが、マイクロ波に磁石の性質があり、磁力で酸化チタンを還元すると考えられている。
これだけではない。東日本大震災でもマイクロ波は活躍する。震災で発生した大量の瓦礫。その中には大量のアスベスト(石綿)が含まれていた。これは知ってのとおり、肺の中に入ると肺に突き刺さり健康を害する。しかし、溶かしてしまえば害はない。だが、その施設の数は限られている。従来これを処分するには埋めるしかなかった。しかし、これにマイクロ波をあてることで、石綿の先端が溶け無害化することがわかった。
マイクロ波とは何か?
マイクロ波(Microwave)は、電波の周波数による分類の一つである。「マイクロ」は、電波の中で最も短い波長域であることを意味する。
一般的には波長 1mから100μm、周波数 300MHzから3THzの電波(電磁波)を指し、この範囲には、デシメートル波 (UHF)、センチメートル波 (SHF)、ミリメートル波 (EHF)、サブミリ波が含まれる。しかし、明確な定義がある用語ではなく、より狭い範囲やより広い範囲に対して用いられることもある。
マイクロ波の発振には、マグネトロン、クライストロン、進行波管 (TWT)、ジャイロトロン、ガンダイオードを用いた回路などが用いられる。伝播(アンテナより電波として空中を伝播させるものを除く)には一般的に同軸ケーブルが使われるが、出力(電力・ワット数)の高いものには金属製の導波管が用いられる。また、近年ではマイクロストリップ線路など共に固体化(半導体)された発信器の利用も増えてきている。
マイクロ波の応用分野は広く、衛星テレビ放送、マイクロ波通信、レーダー、マイクロ波プラズマ、マイクロ波加熱(中でも最もポピュラーなものが電子レンジ)、マイクロ波治療、マイクロ波分光法、マイクロ波化学、マイクロ波送電などがある。これらを研究する学問を総じてマイクロ波工学と呼ぶ。
日本の地上波テレビ放送では、難視聴地域用に第63チャンネルから第80チャンネルまで12GHz付近が割り当てられている(「チャンネル (テレビ放送)」の記事を参照)。
電子レンジはマイクロ波という波長の短い電波を使って食品を温める機器だ。マイクロ波は、空気やガラス、紙などを通り抜け、金属には反射され、水に吸収されるという性質がある。
レンジの中には小さな穴がたくさん見える。このなかにある「マグトロン」という真空管がマイクロ波を発生させ、食品に発射される。電子レンジに使用される電波は、マグネトロンという発振器で発生され、1秒間に24億 5千万回(2450MHz=2450×106Hz←水分子の固有振動数)プラスとマイナスの電極の変化を 繰り返す。
これはFMラジオの約30倍、AMラジオの約2000倍に相当する周波数。電波は金属に当たると反射するので、これにより電子レンジ内では反射して中の物質に 有効にあてることができる。逆に電波をガラスや陶器にあてると透過する。
電子レン ジで加熱したとき茶碗が熱くなるのは内部の食品が温められその熱が茶碗に伝導するため。電波は、食品のように水分を含む材料にあたると吸収されて発熱する。水は極性分子なので、プラス・マイナスの極を持っていて、これが電波によって分子が 振動し、摩擦熱を発生し、食品の内部から発熱する。これを「誘電加熱」と言う。正・負の電荷を帯びていない分子(無極性分子)や、振動しにくい物質(固体)には電磁波の影響が少なく、加熱されにくい。
電磁波の周波数は、2.45GHzでISMバンドのひとつであり、周波数を共用している無線LANや直下の2.4GHz帯アマチュア無線などは、電子レンジを動作させると影響を受ける場合が多いが、総務省告示周波数割当計画脚注に「容認しなければならない」とされている。
マイクロ波による太陽エネルギー利用技術(M-SSPS)
マイクロ波の応用分野は広い。現在、宇宙で太陽光発電した電気を、マイクロ波にして、地上に送る計画も考えられている。これをマイクロ波送電という。JAXAでは「マイクロ波M-SSPS」を計画している。
この計画では、静止軌道上の太陽電池で発電した電力をマイクロ波に変換して地上に伝送する。地上では、受けたマイクロ波を電力に再度変換して利用する。地上の受電設備を直径2~3kmの規模とすることで100万kW程度(原子力発電所1基分相当)の発電を行うことができる。宇宙から地球への送電に使われるマイクロ波は大気の中を伝送するため、雲や雨の影響を受けにくい周波数帯を使用する予定。現在は、産業、科学、医療用に割り当てられている2.45GHz帯、または5.8GHz帯を用いることを想定している。
マイクロ波SSPSの仕組みはどうなっているのだろうか?
マイクロ波SSPSの宇宙プラントは主に二対の反射鏡(一次反射鏡、二次反射鏡)と発電送電モジュールから構成されている。太陽光を常に太陽電池面に導くために二対の反射鏡を利用する。
そのために一次反射鏡は常に太陽光を思考する姿勢をとる。反射鏡を集光型にすることで、太陽電池面に入射させる太陽光の密度を多角することもできる。地上で100万kWの電力を得るためには、一次反射鏡は一枚あたり直径2.5km~3.5kmもの大きさになるが、これらは大変軽量な素材で作られる予定。
発電送電モジュールは太陽電池、マイクロ波発振回路および送電アンテナを一体化したものである。太陽電池と送電アンテナがひとつのモジュールの表と裏の面に設置されており、その間にマイクロ波発振機器や回路が収められている。
モジュールの片面に貼られた太陽電池により発生した電気エネルギーが内部のマイクロ波発振器によりマイクロ波エネルギーへと変換し、反対面の送電アンテナから送出される。送電アンテナは常に地球に指向するように制御されるため、マイクロ波は地上の受電設備に向けて伝送される。
個々の発電送電モジュールは一辺が数メートルの大きさだが、このモジュールを多数組み合わせることにより直径2km~3kmの太陽電池面/送電アンテナ面を形成する。(JAXA)
参考HP Wikipedia:マイクロ波 JAXA:マイクロ波による太陽エネルギー利用技術(SSPS) サイエンスZERO:電子レンジで鉄が作れる?未知のマイクロ波効果を活用せよ
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