ロシアに落下した、直径15mの隕石
ロシア南部のチェリャビンスク州周辺で2月15日の朝9時ごろ、隕石が落下した。隕石は上空で爆発した模様で、強烈な光が広がり、その後、爆音が数回響いた。隕石の破片がビルの窓ガラスなどを割り、割れたガラスの破片などで1100人以上がけがをした。隕石でけがをするケースは非常に珍しい。
その後、隕石はチェリャビンスク州西60キロのチェバルクリ湖に落下したことが分かった。凍結した湖面にできた直径8メートルの穴まわりには、無数の隕石のかけらが散らばった。氷の下には「重さ約100キロ」ほどの隕石が沈んでいる可能性がある。
地球の陸地の約12%を占めるロシアでは理論上、隕石落下の可能性が世界一高い。調べてみると過去にも隕石の落ちた後がクレーターになって残っていた。世界で4番目に大きい、直径約100kmのポピガイ・クレーターだ。
2012年9月、シベリアのポピガイ・クレーターに、世界の市場に今後3000年間にわたってダイヤモンドを供給できるほどの大量の「衝突ダイヤモンド」が存在していることが公表された。
このクレーターは、約3,570万年前に直径5~8kmの小惑星が衝突したことにより形成されたものだ。その時の衝突により、世界の市場に今後3000年間にわたってダイヤモンドを供給できるほどの大量の「衝突ダイヤモンド」が形成されたのだ。これは、もともとあったダイヤモンド鉱脈に、巨大な落下物が衝突したことでできたものだ。
「Christian Science Monitor」紙によると、これらのダイヤモンドは、通常のダイヤモンドの「2倍の硬度」があり、産業や科学的目的での使用に最適だという。
1970年代には発見、公表しなかったロシア
シベリアの中心的都市ノヴォシビルスクにある地質学・鉱物学研究所のニコライ・ポキレンコ所長は、ポピガイ・クレーターに存在するダイヤモンドの総量は数兆カラットに上る可能性があると述べている。世界のそれ以外の埋蔵量の10倍の規模だ。
ポピガイ・クレーターは世界で4番目に大きな隕石衝突クレーターとされている(最大は、メキシコのユカタン半島にあるチクシュルーブ・クレーター。その後、カナダにあるサドベリー隕石孔、南アフリカ共和国にあるフレデフォート・ドームが続く)。
ソビエト政府はすでに1970年代の研究探査でダイヤモンドの埋蔵を発見していたが、その情報を公開しなかったと伝えられている。世界市場の混乱を防ぎ、すでに利益を上げていた東部のミールヌイ鉱山の価値を下げないためにだ。さらにソビエト政府が当時、高品質の人造ダイヤモンド製造に多額の投資を行っていたことも影響した。
ミールヌイ鉱山は、最盛期には毎年1000万カラットのダイヤモンドを産出していたが、ダイヤモンド産出量が低下したために現在は閉山されている。同鉱山は世界で2番目に大きな人工の穴で、下降気流に飲み込まれる危険があるため、ヘリコプターが同鉱山の上を飛ぶことは禁じられている。(この穴を利用したドーム都市計画についての日本語版記事はこちら)
南アフリカの英国領でダイヤモンドが発見されてから100年以上の間は、同国のデビアス社が世界のダイヤモンド供給量の約80%を支配し、ダイヤモンド価格を独占的に維持していた。この独占状態はその後、ロシアやオーストラリアなどの国々が大規模なダイヤモンド鉱山を発見し産出を開始したことから、2000年に崩壊し、デビアス社の株価はおよそ45%にまで落ち込んだ。
39億年前の巨大隕石群が地球に金をもたらした?
ダイヤモンドだけではない、ときに隕石は黄金をもたらすこともある。
およそ39億年前に地球へ襲来した大量の隕石群が、地球に「金」をもたらした可能性がある。今回、地球最初期の岩石層を分析したところ、隕石群の衝突によって地球の化学組成が変化した証拠が初めて確認された。
地球のマントルと地殻に貴金属が存在する事実を科学的に説明することは、実はそれほど容易ではない。貴金属は地球の核を構成する鉄と結び付きやすい性質を持っているからだ。
およそ45億年前、誕生した直後の地球はマグマの塊であった。冷えるにつれて、密度の高い物質が中心に向かって沈み込んで行き、最終的には鉄を主成分とする核が形成された。この過程で、原始地球のマグマに含まれていた親鉄元素(鉄との親和性が高い元素)も核へと移動したはずである。
実際、初期の地球とほぼ同一組成と考えられる隕石を分析した結果、現在の地球の核には相当量の金が含まれていると推定されている。仮に地球表面を覆うと、厚さは4メートルにも達するという。
研究に参加したイギリス、ブリストル大学のマシアス・ウィルボールド(Matthias Willbold)氏は、「親鉄元素はすべて核に取り込まれたはずだ。しかし、現在の地球表面付近には金などの貴金属が存在する」と話す。(National Geographic)
ポピガイ・クレーターのダイアモンド鉱床
ポピガイ・クレーター (Popigai crater)はロシアのクラスノヤルスク地方 (旧タイミル自治管区) にある、直径約100 kmの衝突クレーターである。クレーターの一部はサハ共和国のアナバル地域に及ぶ。地球上の衝突クレーターの中で、マニクアガン・クレーターとともに第4位の大きさであり、ユーラシア大陸にある衝突クレーターとしては最大である。
約3,500万年前の始新世後期に直径数kmの小惑星が衝突したことにより形成された。アメリカ合衆国東海岸で近年発見されたチェサピーク湾クレーター (直径約90 km) と形成の地質年代が近いことが明らかになっており、2つの天体衝突の関連性や、相次いだ巨大衝突が始新世から漸新世への生物相の移行に与えた影響について、各方面から研究が進められている。
1972年にはポピガイの岩石から初めてダイアモンドが発見された。最初は岩石試料を切断するあいだに非常に硬いものが含まれていることに気づく者がいて、ダイアモンド粒が偶然発見された。ダイアモンドはタガマイトとスーバイトの両方に含まれている。ダイアモンドが確認された衝突構造はポピガイが最初であるが、その後リース・クレーターなど他の衝突クレーターからも衝突ダイアモンドが発見されている。
キンバーライト以外から天然ダイアモンドが産出したのもこれが初であった。 何十年にもわたってポピガイ・クレーターは惑星学者と地質学者を魅了してきた。しかしこの領域全体がスターリンの下でグラグの囚人たちによって建設されたダイアモンドと鉱山の地であったために、完全に制限されていた。1997年、大規模な調査探検が行われ (IPEX 1997)、この奇妙な構造の理解を大きく前進させた。しかしロシア国内の経済的理由により、ポピガイの研究は10年以上止まったままである。
ポピガイ・クレーター中のダイアモンド総量は、世界中の他のダイアモンド鉱脈の合計埋蔵量を超えると推定されている。しかし宝石の品質となるものは皆無で、ドリルやカッターなどに使う研磨剤としての利用が考えられている。
ポピガイ・クレーターは、同じく約3,500万年前に形成されたと考えられているチェサピーク湾クレーターおよびトムズ・キャニオン・クレーターと同時に形成された可能性が指摘されている。イタリアのマッシニャーノで発見されたイリジウム含有量の異常と衝撃石英を含む層や、各地の後期始新世の深海堆積物から見つかった単斜輝石を含む球状体は、ポピガイ・クレーターおよびこれらの同時代衝突クレーターに関連づけられている。これらの同時多発衝突が、破壊された小惑星の破片によるものか、彗星シャワーによるものかは論争となっている。(Wikipedia)
フレデフォート・ドームの金鉱床
フレデフォート・ドーム(Vredefort dome)は、南アフリカ共和国フリーステイト州にある世界最大の隕石衝突跡(クレーター)である。現存する世界最古の隕石跡でもある。2005年7月に開かれた第29回世界遺産委員会で世界遺産の自然遺産物件として登録された。
フレデフォート・ドームはヨハネスブルグの南西120kmの位置にある。隕石の衝突跡の直径は約190kmと世界最大。隕石の衝突跡は、中央のドーム(直径約50km)とそれを取り囲む外輪山(リング)からなる。 今から約20億2300万年前(古原生代)に直径10から12kmの小惑星が速度約20km/sで衝突し、フレデフォート・ドームが生成されたと考えられている。
衝突時のエネルギーはTNT火薬に換算して87Tt(テラトン、広島型原爆が約15kt、即ち58億倍) にのぼる。この時の衝突で地殻はえぐられ、地下25kmまで到達したと考えられている。この時の衝突熱でマントルが溶融して多量のマグマが発生し、大量の岩石が蒸発し、急激に冷却したことを示す地質が確認されている。また衝突による地殻の溶解と攪拌により金鉱床が形成された。 衝突後まもなくのドームの大きさは300km程度あったと推定されているが、現在は長年の侵食により50km程度が残る。
この衝突は、カナダに残るサドベリー・クレーター、メキシコに残るチクシュルーブ・クレーター(恐竜絶滅の原因ともいわれている衝突)と共に地球史の3大隕石衝突(3大インパクト)の1つに数えられている。 現在は、草原地帯となっており、固有の蝶、鳥、哺乳動物が生息している。また付近の川ではラフティングや沢登りが楽しめ、乗馬やハイキングコースもある。(Wikipedia)
参考HP Wikipedia:フレデフォード・ドーム ポピガイクレーター WIRED:ロシアのクレーターみ数兆カラットのダイヤモンド
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