国連が昆虫食を推奨
エビやカニが大好きな日本人、考えてみれば、同じ節足動物で、構造上さほど変わらない昆虫をなぜ食べないのだろう?
世界的に見ると、食糧不足の国も多い。そのためだろうか、5月13日、国連食糧農業機関(FAO)が昆虫食を推奨する報告書を発表した。地球上には食べられる昆虫が1900種以上存在し、既に数百種がさまざまな国の食卓に上っているという。
昆虫を常食としている地域はアフリカ36カ国、南北アメリカ23カ国、アジア29カ国、ヨーロッパ11カ国に広がり、延べ人口はおよそ20億人に達する。
身の回りの昆虫は、追い払ったり、たたき殺したり、時には殺虫剤で戦ったりするような不快な存在だ。しかし、栄養学的には、例えばガの蛹や幼虫では、乾燥重量の50パーセント以上がタンパク質であり、ミネラル類にも富む。加熱することで雑菌等の問題もなくなるので、食品として摂取にはなんら問題はない。
生態学的に見ると、昆虫が食べた植物のエネルギーを体質量(ボディマス)に変換する二次生産の効率は平均40パーセントで、魚類の10パーセントや恒温動物の1~3パーセントに比べ非常に優れているため、昆虫類は生態学的および経済的に効率の良い動物性蛋白質の供給源となりうる。
さらに飼育の観点からも利点がある。必要な土地は、ウシやブタ、ヒツジなどを育てるよりもはるかに狭くて済むし、食べたエサを家畜より効率的にタンパク質に変換するので、少ない投資で多くの成果を得ることができる。また、ゲップが地球温暖化の原因ともなるウシなどとは異なり、排出される温室効果ガスも少ない。以下はナショナル・ジオグラフィックnewsからの引用である。
世界の食用昆虫「Best 8」
今回は、これから訪れるかもしれない昆虫食ブームを先取りして、「世界の食用昆虫、人気ベスト8」を紹介しよう。
1. 甲虫類 カミキリムシやコガネムシ、フンコロガシ、カブトムシといった甲虫類は、アマゾン盆地やアフリカの一部など、熱帯や温帯の深い森林に覆われた地域で食用となっている。樹皮や倒木、森の地面で、さまざまな種を簡単に見つけることができるし、樹木のセルロース成分を人間が消化可能な脂肪に効率的に変換してくれる。また、含まれるタンパク質の量も昆虫界ではトップクラスだ。
2. チョウ、ガ チョウやガの幼虫、さなぎは、非常に“ジューシー”で、タンパク質や鉄分を多く含む。特にアフリカ諸国で人気があり、栄養が不足がちな子どもや妊婦にとって、優れた“サプリメント(栄養補助食品)”となっている。中央アメリカや南アメリカでは、リュウゼツランの葉の間に生息するガの幼虫が人気の食材で、「メスカル」というメキシコ特産の蒸留酒に入れて飲むことで有名である。
3. ハチ ハチミツは世界で愛されているが、ハチも立派な食材だ。アジアやアフリカ、オーストラリア、南アメリカ、メキシコでは、卵や幼虫、さなぎを巣から取り出して食べる。ハリナシミツバチが断トツの人気で、大型のハチがそれに続くがランキングでは大きく離されている。
4. アリ 1匹1匹は小さいが、例えばアカアリを100グラム集めると、14グラムのタンパク質が採取できる。鶏卵よりも多い優秀な食品だ。ほかにも、カルシウムが48グラム含まれ、鉄分なども多い。その一方、熱量は100カロリー未満で、炭水化物も少ない。
5. バッタ類 イナゴやコオロギを含むバッタ類は、量的に世界で最も食用にされている昆虫といえる。どこにでも生息し捕獲も簡単だ。さまざまな種類があり、いずれも優れたタンパク質源となる。無味ではあるが、逆にどのような味付けにも適していると言えるだろう。大量発生するトビバッタなどは、既に飢饉に陥っている地域で作物を荒らし回るやっかい者で、食用の習慣が生まれたのは当然かもしれない。
6. ハエ、カ ほかの種ほど一般的ではないが、ハエやカ、シロアリ、シラミなども食用になる場合がある。チーズをエサに育ったハエはチーズ味、水場で育った種はカモや魚に似た味になるという。
7. 水生昆虫 ミズムシやマツモムシなど水生昆虫は世界各地に生息し、飼育も容易だ。水生植物の茎に卵を産み、淡水・海水、水たまりでも繁殖する。
8. カメムシ 悪臭を放つカメムシ類は、ソースに混ぜるとリンゴ味になるという。ヨウ素の貴重な供給源でもあり、麻酔・鎮痛成分が含まれている昆虫としても知られている。 (Jennifer Holland for National Geographic News May 15, 2013)
昆虫をたべて火星にいこう
日本の宇宙開発機構(JAXA)では、狭い宇宙船の中で大量に飼育できる「昆虫」を、宇宙食のタンパク源として考えている。
2008年4月、「飢餓の被害者から宇宙飛行士にいたるすべての人々に昆虫食を普及させる国連の会議がチェンマイで開かれた」というニュースが、ウェブ上で世界を駆けめぐった。
アフリカ、ラテンアメリカ、アジアの90の国で1,400種にのぼる昆虫がたべられている。昆虫は飢饉に対して有効な食材なのだから、持続可能な文明をつくるためにも、昆虫食の意義をきちんと主張しようという会議であった。
JAXAの宇宙農業サロンでは、火星で、食料や酸素、水を、人間の排泄物や口からはきだす二酸化炭素を原料にして、植物のはたらきで再生するという生命維持のしくみを研究している。植物起源の食材だけでは健康をそこねる。
インドの菜食主義者は牛乳を食材に加えている。火星では、樹木の栽培にあわせてカイコを、またイネと一緒に水田でドジョウを育てようという構想を、検討してきた。
冒頭のニュースの「宇宙飛行士に昆虫」は宇宙農業サロンのメンバーの一人の三橋淳先生が、チェンマイの会議で発表したものである。
欧米風の肉食を中心とする食事が高級でよいものだとすると、世界中の人があまねく饗するには、地球が6個もいる。すなわち6人に5人は食べることができない。昆虫(やドジョウ)を食べるなら、人間の食料植物生産とそれほど競合はしないので、皆が食べることができる。バイオエタノールで車を走らせるというのは(宇宙でもハレの日にはお酒で乾杯をと、醸造をしてみた経験からすると)狂気の沙汰だ。
さて、宇宙農業をこれからになう若者をリクルートしようと、高校1年生の生物の授業におしかけた。教室では、研究者の間からは浮かび上がらないような よい質問がたくさん飛び出した。
カイコをどのように食べるのだろうか?生のサナギを天ぷらにしてそのままたべるのが一番。進化系統樹でわかるように、カイコなど昆虫とエビやカニは近縁であり、サナギの天ぷらは、カニ味噌風味である。
天ぷらのほかに、ゆでたサナギそのもの(スナック)、サナギ入り味噌風味豆腐ハンバーグ、サナギ・つくね、サナギ・きなこ・玄米粉のケーキやクッキー、サナギ入り福寿餅などたくさん考案されている。
中国では中年・老年者むけ強壮薬膳にカイコ・サナギがつかわれている。韓国では、コンビニエンス・ストアで日本でのツナ缶とおなじようにカイコのサナギ(韓国語でポンデキ)の缶詰が売られている。日本でも、甘辛く煮たサナギは長野名物である。
昆虫食とは何か?
昆虫食(Insect eating)とは、ハチの幼虫、イナゴなど、昆虫を食べることである。食材としては幼虫や蛹(さなぎ)が比較的多く用いられるが、成虫や卵も対象とされる。アジア29国、南北アメリカ23国で食べられ、アフリカの36国では少なくとも527の昆虫が食べられており、世界で食用にされる昆虫の種類を細かく集計すると1,400種にものぼるといわれる。
野生動物においては、アリクイ、センザンコウなど、昆虫食が専門の動物のみならず、キツネ、タヌキ、霊長類などの雑食性の動物においても昆虫は常に食べられている。タイの市場でもイナゴ、竹虫、蛹、コオロギ、サソリ、ガムシ、タガメなど食用昆虫が売られている。
昆虫食は世界各地で行われており、中国の『周礼』「天官冢宰」で「蚳醢」と呼ばれたシロアリの卵の塩辛で客をもてなしたとあり、ヨーロッパにおいても古代ギリシャや古代ローマでセミなどを食べたという記録が残っている。
アフリカ諸国、南米のアマゾン、メキシコ、メラネシアなどの熱帯、亜熱帯地域などの多くの地域で常食されている。アフリカ北部などでは、しばしばサバクトビバッタが大発生により農作物を食い尽くされる蝗害が発生するが、こういう場合には、農作物の代わりにサバクトビバッタを緊急食料として食べ、飢饉の軽減が行われる。
また、アジアにおいてもラオス、ベトナム、タイ、中国でタガメを食べたり、中国、東南アジアなどでセミを食べたりするように、一部の民族、または民族集団の一部が食べる例がある。日本においても同様で、現代日本人の多くは日常的には昆虫食をしていないが、群馬県、長野県、岐阜県、宮崎県等の一部地域において、地方の食文化として現存しており、また、土産物などとしても売られている。
現代社会では、一部地域、民族を除いて共通的、日常的には昆虫は食べられていないが、これは人口の大部分が昆虫から充分な栄養分をまかなえるだけの供給機構が構築されていないことと、他の食材が豊富となったためと考えられる。
日本では一般的においしくない、気持ち悪いなどの心理的嫌悪が強い。また、日常的な昆虫食が貧困の象徴や時代遅れの習慣と考えられていたり、ユダヤ教やキリスト教のセブンスデー・アドベンチスト教会など特定の宗教・宗派によっては特定の種類の昆虫がタブーとされている場合もある。
イスラム教では、アリやハチを食べることは禁じられているが、バッタを食べることは明確に許可されており、ハディースにも預言者ムハンマドがバッタを食べ、遠征を行ったことが記されている。
近年では地域固有の食文化として積極的に見直されている例もある。中国では、昔の質素な食事を再現した都市部のレストランで昆虫がメニューに載っていることがよくある。雲南省では、訪れた観光客が昆虫食を食べてみる姿をよく目にする。タイの都市部では、調理済みの昆虫を屋台やレストランで観光客や都市部の住民に売っている光景がしばしば見られる。
EUでは2011年に新規輸入と区別するため在来の食用昆虫の種類を調べている。また、昆虫を食用家畜として捉えた場合、少ない飼料で生育可能なこと等から資源が限られる宇宙などでも得られる動物性食物として優れており、将来人類が長期の宇宙ステーション滞在や火星などへ移住する際の食糧としての研究もされている。(Wikipedia)
参考HP JAXA:昆虫を食べて火星へ行こう Wikipedia:昆中食 National Geographic news:国連が昆虫食推奨
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