日本の常識は世界の非常識?
日本ではエビやカニはよく食べるが、たいして構造上違いのない、他の節足動物を食べる文化がないことを以前述べた。世界の人口が70億を超え、このまま人口が増え続ける状況を考えると、食べる文化を考えなおすことも必要かもしれない。
そこに必要なのは、これまで常識としていたことを、ぶち壊す意識改革だ。私たちはどうしても新しい考え方が身につきにくいが、意識して新しいもの取り入れることは、グローバルな世界を理解するためには必要なことだと思う。
日本では、犬というとゴールデンリトリバー、コーギー、トイプードルなどの愛らしいペットをイメージする。犬を食べるなんて考えたこともないだろう。しかし、犬を食べる文化は、現代日本にはないが、過去にはあったし、世界では今でもごく普通のことである。
以上を前置きにして、次のニュースを読んでみよう。
「タイで横行する犬の密輸、年20万匹が食用としてベトナムへ」・・・これは、6月3日付CNN newsの記事のタイトルである。まず、犬を食用とすることにショックを受けてしまうが、98%が飼い犬で、盗難されたうえに、密輸されていることの方が問題なので注意が必要だ。
タイで横行する犬の密輸、年20万匹が食用としてベトナムへ
タイで捕らえた犬を食用としてベトナムなどへ密輸する業者に対し、動物愛護団体が抗議の声を上げている。生きたままの犬がトラックに詰め込まれ、残酷な方法で殺されている現状を、活動家らは「まさにこの世の地獄」と非難する。
活動家らによると、タイ北東部からメコン川を渡って密輸される犬は、年間20万匹にも及ぶ。
トラック1台に1000匹も詰め込まれることは珍しくない。多くの犬が運搬中に脱水状態や窒息で生死の境をさまよい、ストレスのあまり互いに噛み付き合いを始める。
「ストレスや恐怖で出るホルモンが肉の味を上げる」という言い伝えの下、犬はベトナムに着いてからも網の中に閉じ込められる。最後には殴り殺されるか、他の犬の目の前でのどを切られる。生きたまま皮をはがれるケースもあるという。
ベトナムの動物愛護団体「アニマル・アジア財団」を率いるチュアン・ベンディクセン氏は「犬は非常に知能が高い。他の犬が目の前で殺されれば、次に殺される犬も状況を理解する」と話す。
密輸業者はタイの街で犬を捕らえて売りさばく。同国の野良犬救済団体「ソイドッグ財団」のジョン・ダリー氏によると、その98%は飼い犬で、首輪を付けたり訓練を受けたりしている犬も目立つ。
問題は犬を食べることでなく、不法な取引
「ゴールデンレトリバーや長毛のテリアなど、あらゆる種類がいる。業者に直接持ち込まれるケースもあるが、路上や寺院、さらには民家の庭からさらわれることもある。飼い犬は人懐こく、捕まえやすいから狙われる」と説明する。
食用の犬の需要は近年特に高まっている。「体を温める」作用があるとされるため、冬場はなおさらだ。
タイ国内では1匹10ドル(約1000円)、ベトナムのレストラン向けには約60ドルで売れる。ベトナムの消費量は年間100万匹を超えるとみられ、密輸業者は大繁盛だ。血統の良い犬は中国でも高い値がつく。
タイ当局が取り締まりに乗り出し、動物の不法取引を禁じた法律などで業者を裁いているが、業者側は「法的根拠があいまいだ」と抵抗する。同国には動物愛護法がないため、ソイドッグ財団などが法案成立を目指して動き始めた。
だが現状では、密輸業者の刑は禁錮数カ月にとどまり、救出された犬も結局路上に戻って再び捕らえらるという繰り返しだ。
ダリー氏は「犬を食べることがいいか悪いかという問題ではない。犯罪組織による大規模な不法取引が問題なのだ。犬は残酷な方法で運ばれ、殺され続けている」と強調した。(CNN 2013.06.03 Mon)
日本にもあった“犬食文化”
犬食文化(けんしょくぶんか)とは、食用として犬を飼育してその肉を食べる習慣、及び犬肉料理の文化の事である。
犬食文化は、中国や朝鮮半島のような古くからの農耕社会、或るいはアジアやオセアニア島嶼域の様な農村的社会が支配的な地域に認められる。一方、犬食が忌まれる地域は、牧畜社会、遊牧社会、狩猟採集社会の支配的な地域と、西アジアのように、食用動物に関する宗教上の忌避が存在する地域がある。
犬肉料理としては、韓国料理のポシンタン等が有名だが、犬食の歴史は古く、中国大陸をはじめとする広い地域で犬を食用とする習慣があった。犬食の習慣は日本を含めた東アジア、東南アジア及びハワイ、ポリネシア、ミクロネシア、オセアニアなどの島嶼に於いて多く存在した。
多くの現代人が犬食に対して示す忌避感は、自分たちが常食しないものに対する「食わず嫌い」であり、その心理的忌避と倫理的な善悪認定がしばしば混同されることから、犬食文化がしばしば文明論における優劣や人種差別の格好の材料とされることには問題がある。
日本では、縄文時代に集落遺跡などの土坑底部から犬の全身骨格が出土する例があり、ある犬の上腕骨には、解体痕の可能性が高い切痕が確認された。調査報告では、当時犬を食用として解体していた事を示す物的証拠と評価している。
『日本書紀』天武天皇5年(675年)4月17日のいわゆる肉食禁止令で、4月1日から9月30日までの間、稚魚の保護と五畜(ウシ・ウマ・イヌ・ニホンザル・ニワトリ)の肉食が禁止されたことから、犬を食べる習慣があったことはあきらかである。
日本に犬食の習慣がなくなったのは、徳川綱吉の「生類憐れみの令」で、表立っての動物殺生に対する忌避感が増幅され、犬がとりわけ「将軍家の護神」とされて保護されたことによる可能性が大きい。また、「座敷犬」「抱き犬」として狆などが流行する等、日本では犬は食料ではなく愛玩用としての存在に変化し、犬食文化の衰退の要因は増えた。
中国には「羊頭狗肉」「狡兎死して走狗烹らる」などの諺があるように、現在でも、体を温める食材として広く食されている。広東省広州では「狗肉」(広東語カウヨッ)の隠語として「三六」(サムロッ)や「三六香肉」(サムロッヒョンヨッ)と呼ぶが、「3+6=9」で同音の「狗」を表した表現である。おおむね、シチューに似た煮込み料理に加工して食べられる。調理済みのレトルトパックや、冷凍犬肉も流通している。(Wikipedia)
殺処分される動物について
犬が20万匹も食用にされることに驚いた人も多いだろう、しかし、こんなことに驚いてはならないと思う。現代日本では、犬は年間約10万、猫は約20万、合計30万匹が殺処分されているからだ。
日本国においては殺処分方法は政令に定められており、対象となる動物は動物愛護法第44条4項に定められた家庭動物、展示動物、実験動物、産業動物が対象であり、すなわち人が所有する動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するものが対象となる。
例えば動物実験が終了した後の実験動物、伝染病まん延防止の目的で狂犬病予防法や家畜伝染病予防法に指定された伝染病に罹患している家畜・家禽を殺す場合、もしくは非常事態において人間の管理下に置けなくなる(なった)猛獣等を殺す場合にもちいられる。また、動物愛護法にしたがった場合の結果は「安楽死」とみなされる。
平成19年度の犬殺処分数は100,963匹、猫殺処分数は209,494匹、犬猫合計で310,457匹にのぼりる。1日850匹、約100秒に1匹の犬や猫が殺されている。
「引っ越すから」「子供がアレルギーだったから」「(飼い主が)年をとって面倒をみれなくなったから」「ペット不可の住宅で大家に見つかったから」「リストラにあったから」……。どれももっともらしく聞こえますが、いのちを手放す理由には値しない。
さらに、耳を疑うような放棄理由も数多くある。「トイレを覚えないから」「マンションの規約にある大きさよりも大きくなってしまったから」「かわいくないから」「子供が飽きたから」…。
動物を飼う以上、最期まできちんと面倒をみるのが常識であり、いのちを預かる者としての責任ですが、彼らには常識も責任もモラルさえもあない。
以前に比べ飼い主のモラルも高まってきているが、無責任な理由によってペットを手放す飼い主がまだまだ多いのが現状である。(NAVERまとめ)
参考HP CNNnews:タイで横行する犬の密輸 Wikipedia:犬食文化 NAVERまとめ:殺処分される動物について
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