ヒュマノイド「KIROBO」
 ヒューマノイド(humanoid)とは、「人間によく似た」人型ロボットなどを指し、アンドロイド (android)と、ほぼ同義である。2011年、2月25日に打ち上げられたスペースシャトル「ディスカバリー」には、ヒューマノイド・ロボット「ロボノート2」が初搭乗した。

 今回、日本の人型ロボット「KIROBO」が8月4日、国際宇宙ステーション(ISS)に向けて打ち上げられることが決まった。KIROBOは音声認識によって会話機能などを備え、宇宙飛行士の若田光一さんの“相棒”として、世界初となる宇宙での会話実験に挑む。

 6月26日に都内で開かれた完成発表会で、KIROBOは「これは小さな一歩ですが、ロボットにとっては大きな一歩です」と自らあいさつ。プロジェクトメンバーは「ロボットと共生する夢の未来を宇宙という舞台から世界に発信したい」と意気込んでいる。


 電通と東京大学先端科学技術研究センター、ロボ・ガレージ、トヨタ自動車が宇宙航空研究開発機構(JAXA)の協力で進めてきた「KIBO ROBOT PROJECT」が開発。宇宙に打ち上げられる「KIROBO」と、バックアップ用の地上用ロボット「MIRATA」の2体で、それぞれ身長34センチ、重さ約1キロ。デザインなどは数々のロボットを手がけてきた高橋智隆さんが代表を務めるロボ・ガレージがまとめ、トヨタが音声認識や自然言語処理による知能化を、電通がコンテンツなどを担当した。双葉電子工業なども参加しており、日本のモノ作りへの「KIBO」も込められている。

 これまでのヒューマノイドは、ヒトに似せようとすると、どこか違和感を感じてしまうものが多かった。また、逆にヒトから離れたデザインにすると、冷たい機械のような印象を持つものもあった。

 「KIROBO」は、人に似すぎず、機械的でもない。かわいく親しみの持てるデザインだ。たとえて言うならば、ゆるキャラのような印象である。高橋智隆さんのデザインはいいところをついていると思う。


 国際宇宙ステーションに滞在する、ロボット宇宙飛行士「KIROBO(キロボ)」完成
 「KIROBO(キロボ)」は、2013年8月4日、種子島宇宙センターより「こうのとり」4号機にて打上げ、国際宇宙ステーションに滞在する予定だ。以下はSankeiBizの記事からの引用だ。(SankeiBiz:ロボット宇宙飛行士

 株式会社電通(以下、電通)、東京大学先端科学技術研究センター(以下、東大先端研)、株式会社ロボ・ガレージ(以下、ロボ・ガレージ)、トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ自動車)は、宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)の協力のもと、国際宇宙ステーション(以下、ISS)に滞在するロボット宇宙飛行士「KIROBO(キロボ)」の共同研究“KIBO ROBOT PROJECT”を進めてきました。

 東大先端研とロボ・ガレージはロボット躯体の開発と動作生成、トヨタ自動車は音声認識を用いたロボットの知能化を、電通は会話コンテンツ作成とプロジェクトのとりまとめを、行ってきました。そして、このたび、打上げに必要な審査・実験をすべて通過し、完成したことをご報告いたします。

 来たる2013年8月4日(日)午前4時48分頃、H-IIBロケット4号機に搭載される、宇宙ステーション補給機「こうのとり」4号機に乗って、種子島宇宙センターより打上げられます。そして、同年11~12月頃からISSに滞在する若田光一JAXA宇宙飛行士の到着を待ち、世界で初めてとなる“宇宙における人とロボットとの会話実験”を、きぼう日本実験棟内で実施する予定です。

 <今後の予定(打上げ日程と場所)> ※作業状況により変更する可能性があります
 2013年8月4日  種子島宇宙センターからISSに向けて打上げ予定
 2013年8~9月  宇宙で初めてロボットが発話する予定
 2013年11~12月 若田宇宙飛行士、ISSに到着予定
 2013年12月    若田宇宙飛行士との会話実験開始予定
 2014年5~6月 若田宇宙飛行士をISSから見送る予定
 2014年12月~ 地球へ帰還予定

 【本発表に関する問い合わせ先】
 KIBO ROBOT PROJECT事務局(※電通内 担当:西嶋)
アドレス kibo-robo@dentsu.co.jp 電話番号03-6216-2540/8381 ウェブサイト http://kibo-robo.jp/


 KIROBOが乗り越えた試験とは?
 ロボットが宇宙空間で生活するためには、数々の条件がある。KIROBOはその試験に合格して、今回の任務に就くことになった。その試験の内容とは何だろう?以下は「KIBO ROBOT PROJECT」記事からの引用だ。(ロボット宇宙飛行士になるために


 無重力試験
 ロボットが滞在する国際宇宙ステーションの中もごくわずかな重力しかありません。数字にすると10のマイナス6乗~4乗くらいの重力、地球上の100万分の1から1万分の1という値。つまり、わずかな力で動いたり、何かを動かしたりできるということです。

 ロボットはおしゃべりをする時に、身振り手振りを交えてコミュニケーションをとります。無重力の状態で、その動作はどうなってしまうのか? 「無重力試験」は、それを確かめるために行われました。もしロボットの動きがこの環境に対応できていないと、自分自身の動作の反動により、その場でくるくる回ってしまう可能性がありました。試験は小型のジェット飛行機内で。上空を急上昇させ、10のマイナス2乗(地上の100分の1)の無重力の状態を1回あたり約20秒間つくり出して行われました。

 なぜ、地球上で無重力の状態がつくれるのか?実はみなさん、無重力を経験したことがあるんです。ほんの一瞬だけですけど、エレベーターの中で。エレベーターが下降する瞬間に、フワッとカラダが浮き上がりますよね? そうアレです。あの感覚が無重力状態。ちなみに、今回の試験では1度の飛行で10回の無重力状態をつくりだしました。映像を見るとちょっと楽しそうに見えますが、人によっては激しい乗り物酔いをするほどの過酷な試験でした。


 騒音試験
 この試験では、ロボットの出す音が他の宇宙飛行士たちの迷惑にならないかを確かめました。宇宙ステーションの中で、宇宙飛行士のみなさんが快適に作業できる環境とは、2~4メートルくらい離れても普通に会話ができるくらいの静かさです。騒音のレベルでいうと49dB以下という値。ロボットはそのくらい静かでいられるでしょうか?

ロボットから出るのは、モーター音と空冷ファンの音の2種類。モーターは、全身で20個付いています。ロボットの動作に応じて必要な部分のモーターが動くようになっています。また、空冷ファンは、ロボットが高い熱を持たないように付けられたもの。電源が入っている間は、ずっと回り続けます。

吸音材に囲まれた静かな試験室の「騒音箱」。電源の入ったロボットは、同時にたくさんのモーターが動くようにして、最大の音が出る状態で試験に挑みました。結果として、ロボットが出した騒音のレベルは47.9dB(A特性)。そのほかの騒音の制限要素と合わせて、無事クリアできました。技術協力会社から提供された、静音性の高いモーターのおかげです。


 EMC試験
 EMCとは、「Electro-Magnetic Compatibility=電磁適合性」の略。飛行機や電車などで、携帯電話の電源を切るように指示されますよね。あれは、携帯電話が発する電磁波が、飛行機の計器などやペースメーカーの誤作動を起こす可能性があるから。それと同じようなことがロボットと宇宙ステーションの間に発生しないかを確かめるのがEMC試験です。

 今回は、
・ロボットが出す電磁波が、宇宙ステーションの機器や装置に影響しないのか。
・逆に、宇宙ステーションから発せられる電磁波に、ロボットが耐えられるのか。
この両面をチェックしました。

 ロボットから宇宙ステーションへの電磁波の影響は問題なくクリア。しかし、苦労したのは宇宙ステーションの電磁波に対するロボットの感受性のテスト。なかなか、合格ラインに達することができません…。いろんな問題があって、当初難航していました。じつに7回もの再試験を行うことになってしまったのです。

 しかし、地道な工夫や発見を積み重ねながら、試験を長期間繰り返し行って、なんとかクリアすることができました。

 KIROBOはその他「結合試験」「加振力試験」「オフガス試験」など12の試験に合格しています。


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