奇跡の糖
希少糖とは自然界にわずかしかない糖。ガムで使われているキシリトールも希少糖のなかまである。その一つ「プシコース」は血糖値の上昇を抑え、脂肪の蓄積も防ぐ効果がある。1g数万円の価値がある。
「プシコース」は一見すると砂糖のようにも見えるが、砂糖の約7割くらいの甘さでさわやかな甘さがする。カロリーはゼロだ。
「プシコース」は今、「奇跡の糖」として、世界中の研究者から大注目を集めている。実はこのプシコース、40億年以上も前に地球で糖が誕生して以来、まったく日の目を見ることのなかった、いわば「落ちこぼれの糖」! 様々な自然の偶然と、研究者の努力によって、私たちの前に現れたのである。
希少糖は「自然界にその存在量が少ない単糖とその誘導体」と定義されている(国際希少糖学会)。自然界に存在量が少ないことは、研究を行うにも入手が困難であること、仮に得られても高価であるため、量を要する応用開発が困難な研究対象だった。
香川大学では、自然界に大量に存在する天然型単糖を自然界に微量にしか存在しない「希少糖」に変換する新規酵素D-タガトース3-エピメラーゼの発見によ り、全単糖とその分子構造、生成酵素の関連をリング状に体系化した「イズモリング」を構築した。これにより全希少糖の生産戦略が構築されているほか、 希少糖の生理活性が次々に発見され、今後、医薬品、食品、農薬等への用途開発が期待されている。
プシコースの効果
同じ量のエサを与えている2匹のネズミの一方にはプシコースを与えるという実験を行ったところ、普通のエサのネズミは682グラム、プシコースを与えたネズミは536グラムと2割り程軽くなっていた。また内臓脂肪の蓄積も3ヶ月で30%抑えられるという結果も出ている。
また2匹のネズミのの片方にはプシコースを含んだ水を、もう一方のネズミにはただの水を食後にたっぷりと飲ませたところ、プシコースを飲んだラットの食後血糖値の上昇が20%も低くなった。
ネズミだけではなく人でもその効果は実証されていて、プシコース入りのシロップを普段の食事に加えて摂取し続けるという実験を行ったところ、3ヶ月で平均1.8キロ減ったという結果が出た。
また健康な人20人にブドウ糖を飲んでもらい、その時の血糖値の変化を調べた所、プシコースを加えた時は血糖値の上昇を25%抑えることができた。
なぜ体重が減るのだろう?
通常、食事で取った糖は連なった状態で入ってくるが、腸内にある酵素などによって分解されブドウ糖になる。そして多くは小腸で血液中に取り組まれるが、余ると脂肪として体内に蓄積される。
ところがプシコースは、酵素の働きを弱め、ブドウ糖の吸収できる量が減るため、結果として脂肪の蓄積が抑えられると考えられている。またプシコース自体にもインスリンを出したり、細胞を守る働きがあり、血糖値が上がりにくくなる。
プシコースの形も影響している。プシコースの化学式はブドウ糖と全く同じC6H12O6。腸の壁にはブドウ糖を取り込むゲートがある。ブドウ糖が来るとピタッとはまりゲートが開いて吸収される。
プシコースも糖のなかまなのでブドウ糖のゲートに入ろうとする。ところがブドウ糖とプシコースは形が少し違うのでなかなか入れない。ここにブドウ糖が来てもプシコースによってはじかれるためブドウ糖の吸収が阻害される。
なのでブドウ糖と一緒にプシコースをとると血糖値の上昇が抑えられる。さらにカロリーの吸収も減るのだ。(サイエンスZERO:奇跡の糖が人類を救う)
プシコースとは何か?
プシコース (psicose, Psi) は、六炭糖およびケトースに分類される単糖の一種。フルクトースの3位のエピマーである。抗生物質プシコフラニンから単離され、命名された。
当量のスクロースのわずか0.3%のカロリーしかエネルギーとして利用されないという特徴がある。また、インシュリン分泌作用、動脈硬化を防止する作用などが知られている。植物に対しては多くの種類で生育を阻害させる働きがあり、ズイナという植物はこれを利用してプシコースを含んだ葉を土壌に落とす事で自らのテリトリーを守っている。
D-タガトース3-エピメラーゼ (DTE) によりフルクトースから大量に合成され、様々な希少糖生産の出発物質となっている。
水溶液中では異性化を起こし、環状構造との混合物となる(変旋光)。平衡状態に達したときに最も存在比が高いのは α-フラノース体である。(Wikipedia:プシコース)
希少糖とは何か?
希少糖(rare sugar)とは、「自然界にその存在量が少ない単糖とその誘導体」と定義され、D-グルコースやD-マンノースなどのいくつかを除いた単糖の大部分を占め、これまでに約50種類が知られている。
1852年、ナナカマドの実からL-ソルボースが発見された。当時はD型糖のみが自然界に存在すると考えられており、また追試に成功した者がいなかったので、この報告は間違いだと思われていた。
1896年、ベルトランが、酢酸菌がD-ソルビトールをL-ソルボースに変換することを発見した(L-ソルボース発酵)。
1994年、香川大学の何森健らによって、フルクトースをプシコースに変換する酵素、D-タガトース3-エピメラーゼ(DTE)が発見された。これにより希少糖を体系的に生産するシステム(イズモリング)が考案され、大量生産への道が拓かれた。
希少糖の研究は、香川大学農学部教授の何森健によって、その扉が開かれた。何森による30年以上にわたる研究により、希少糖を体系的に生産する戦略図「イズモリング」が構築され、希少糖の大量生産が可能となったことが、今日の香川における希少糖研究発展の礎になっている。 香川大学は、希少糖研究センターを持ち、希少糖の生産、生理活性に関する研究開発を行っているほか、2001年からは国際希少糖学会が置かれている。 なお、この間の経緯については、何森の著書「希少糖秘話」に詳しく書かれている。(Wikipedia:希少糖)
希少糖研究センター
希少糖の機能については、香川大学医学部を中心に研究が進められている。数ある希少糖の中で、最も研究が進んでいるのが、「D-プシコース」である。「D-プシコース」は、砂糖の7割程度の甘味がありながら、カロリーはほぼゼロ。さらに、「食後の血糖値上昇を緩やかにする」、「内臓脂肪の蓄積を抑える」、「動脈硬化になりにくい」、「虫歯になりにくい」といった研究結果が報告されている。また、「D-プシコース」の次に研究が進んでいるのが「D-アロース」である。ストレスに伴う血圧の上昇を抑えるといった研究結果が報告されている。
希少糖を活用した食品開発については、香川大学農学部を中心に研究が進められている。これまでに、「ケーキの食感が軟らかくなり、焼き上がりの色が良くなる」、「かまぼこの弾力が増して、魚の臭みが軽減される」といった研究結果が報告されている。
「D-プシコース」などの希少糖を15%程度含むシロップ(液糖)が、既に商品化されている。ブドウ糖、果糖、希少糖が、それぞれの長所を活かすように、バランスよく含まれた次世代の機能性甘味料であり、香川大学の元学長が代表を務める同大学発のベンチャー企業とその関連会社により製造販売がされている。
香川県内のホテルや人気洋菓子店などでは、このシロップを活用したケーキやドーナツなどが多数販売されている。また、同県のタウン情報誌などの特集記事でも希少糖入りのスイーツが頻繁に取り上げられているほか、最近では、大手百貨店のギフトカタログにも掲載されている。スイーツ以外の分野でも、同県内の道の駅のレストランなどで、あんかけや焼き魚などの料理に活用されているほか、最近では、県内のさぬきうどんのチェーン店で、うどんのつゆに使用する試みも始まっている。(香川大学:希少糖研究センター)
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