2億1500万年前の大量絶滅の理由
 大量絶滅は、ある時期に多種類の生物が同時に絶滅すること。過去、地球には5回の大量絶滅があり、これをまとめて、ビッグファイブとよぶこともある。恐竜が絶滅した、中生代白亜紀末が有名だが、三畳紀末にもあった。

 三畳紀末(約2億1500万年~1億9960万年前)の大量絶滅では、アンモナイトの多くの種が絶滅してしまった。また、爬虫類や単弓類も大型動物を中心に多くの系統が絶え、当時はまだ比較的小型だった恐竜が以降、急速に発展していく。全ての生物種の76%が絶滅したと考えられている。

 今回、この原因は直径が最大で8km弱の超巨大隕石だったとする、研究成果が、九州大学・熊本大学・海洋研究開発機構(JAMSTEC)から発表された。


 この隕石は、カナダにあるマニクアガン・クレーターを作り出した隕石の衝突と見る説もある。岐阜県坂祝町にある木曽川の河床にある、このクレーターが作られた時期である約2億1500万年前の地層から、白金族元素が通常の20倍から5000倍の濃度で見つかった。

 白金族元素は地殻にはほとんどないが隕石には豊富に含まれており、隕石の衝突で広範囲にばら撒かれたと考えられている。この考え方は、白亜紀末の大量絶滅と共通した考え方である。

 そもそも地質時代の「代」や「紀」の区分は、化石として発見される動物相の相違によるものである。原生代・古生代・中生代・新生代の「代」の時代区分は、大量絶滅により従来の動物の多くが絶滅し、新たな動物が発生した事による区分である。

 以下はマイナビニュースの記事「2億1500万年前の衝突は直径8km弱の巨大隕石だった」から引用する。


 2億1500万年前の衝突は直径が最大で8km弱の超巨大隕石だった
 九州大学(九大)、熊本大学、海洋研究開発機構(JAMSTEC)は9月16日、岐阜県坂祝町および大分県津久見市から採取された岩石試料について、白金族元素の1つである原子番号76番の「オスミウム(Os)」の同位体分析を行った結果、およそ2億1500万年前に、直径3.3~7.8kmの巨大隕石が地球に衝突した強固な証拠であることを発見したと共同で発表した。

 成果は、九大大学院理学府 地球惑星科学部門の博士課程2年佐藤峰南氏、熊本大大学院 自然科学研究科の尾上哲治 准教授、JAMSTEC 地球内部ダイナミクス領域(IFREE)の野崎達生 研究員らの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、日本時間9月16日付けで英オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載された。

 今から約2億~2億3700万年前の三畳紀後期(三畳紀は前・中・後の3世に細分される)は、最古のほ乳類化石が発見された時代として知られる。また、それまで陸上生態系で主要な位置を占めていたほ乳類型爬虫類が絶滅し、代わりに恐竜が進化発展したことが挙げられることも特徴の1つだ。そして、生物の大量絶滅イベントが繰り返し起こった時代としても有名である。

 この絶滅イベントの原因は、6500万年前の「白亜紀/古第三紀境界」に恐竜が滅ぶきっかけとなった理由とされるのと同様に隕石衝突の可能性が指摘されてきたが、これまで確かな証拠はみつかっていなかった。

 2012年、岐阜県坂祝町の木曽川沿いに露出するチャートと呼ばれる岩石に挟まれた粘土岩から、三畳紀後期に隕石が落下した証拠が世界ではじめて発見された。

 同時期に形成された巨大なクレーターとしては、カナダ・ケベック州の直径100kmのマニクアガンクレーターがあり、粘度岩から発見された証拠はこのクレーター由来する可能性があるとされている。しかしその確実な証拠はなく、また落下した隕石が地球環境に大きな変動をもたらすほどの巨大な隕石であったかどうかもわかっていなかった。


 オスミウム(Os)同位体による隕石の分析
 研究チームは、岐阜県坂祝町および大分県津久見市から発見された隕石衝突を記録した粘土岩について、Osの同位体の化学分析を実施。

 Osは、質量184、186、187、188、189、190、192の7つの同位体(原子番号は同じ、つまり陽子の数は同じだが、中性子数が異なるために質量が異なる)を持っており、親鉄性元素であることから、地球の中心核やマントルには豊富に存在するが、大陸地殻においては非常に少ないのが特徴で、貴金属である。地球に落下する大部分の隕石が、高いオスミウム濃度と低いオスミウム同位体比(オスミウム188に対するオスミウム187の比:187Os/188Os)を持つことが知られている。

 今回の研究では、JAMSTEC IFREEに設置されている「マルチコレクター誘導結合プラズマ質量分析装置(MC-ICP-MS)」を用いた分析により、隕石に特有の高いオスミウム濃度と低いオスミウム同位体比を三畳紀後期の粘土岩から発見した(画像5)。マルチコレクター誘導結合プラズマ質量分析とは、高温のプラズマによりイオン化された試料中の元素を複数の質量分析部で検出し、ある元素の存在量や同位体比を決定できる装置のことだ。

 この結果は、巨大隕石の衝突により蒸発した隕石由来の大量のオスミウムが海洋に供給され、最終的に深海底の堆積物中に固定されたことを意味するという。さらに今回の研究では、当時の海洋に供給された隕石由来のオスミウム量を見積もることで、衝突した隕石の大きさを推定することにも成功した。計算の結果、衝突した隕石は直径3.3~7.8kmと、巨大なサイズであったことが明らかになった。


 巨大隕石がもたらす大量絶滅
 2013年2月15日にロシア南部のウラル地域に隕石が落下したのは誰もが知る衝撃的な出来事だったが、この時の隕石は直径が約17m、重さは1万トンという推定だ。今回の研究結果から、三畳紀後期に落下した隕石は最大で直径約8km、重さ5000億tと推定され、ロシアの隕石とは桁違いの巨大隕石が、過去の地球上に落下したことがわかる。ウラルの隕石ですらあれだけの破壊規模をもたらしたことから、三畳紀後期の隕石がどれだけの破壊をもたらすか想像に難くない。

 三畳紀後期の隕石のサイズは、地球の歴史においては、現在わかっているところで、冒頭でも触れた恐竜の絶滅の大きな理由とされる隕石(直径6.6~14kmと推定)に次ぐ巨大なサイズと見られ、全球的な環境変動を引き起こすには十分な大きさだと考えられるという。

 研究チームは今後、隕石衝突により引き起こされた環境変動について詳細な研究を進める予定としている。また、隕石衝突が当時の海洋生態系に大きな変化をもたらした可能性も、チャートに含まれる化石記録から明らかになりつつある。化石記録という古生物学的視点も合わせて、巨大隕石の衝突が生物に与えた影響に関する研究も発展させていく予定とした。(マイナビニュース 2013/09/18)


 三畳紀とは何か? 
 三畳紀(Triassic period)は、現在から約2億5100万年前に始まり、約1億9960万年前まで続く地質時代である。トリアス紀(トリアスき)と訳すこともある。三畳紀の名は、南ドイツで発見されたこの紀の地層において、赤色の砂岩、白色の石灰岩、茶色の砂岩と堆積条件の異なる3層が重畳していたことに由来する。中生代の最初の紀であり、ペルム紀(二畳紀)の次、ジュラ紀の前にあたる。開始および終了の時期は、研究者やその学説によっていずれもたがいに1000万年前後の年代差がみられる。

 古生代末、ほとんど全ての大陸が合体し、三畳紀には北極から南極に至るパンゲア大陸と呼ばれる超大陸が形成された。また、山地をくずして内陸部に広大な平野をつくる陸地の平原化現象がおおいに進行した。内陸部の平野には乾燥気候の影響で砂漠化の進行がいちじるしく、赤色の砂が堆積していった。

 砂漠のところどころにはオアシスが点在した。パンゲア大陸の周囲には、パンサラッサと称されるひとつながりの巨大な海洋と、大陸の東側にはテチス海と呼ばれる湾状の海が広がり、一部は珊瑚礁となっていた。 古生代終期に寒冷化した気候も、三畳紀を通じて気温は徐々に上昇していったものと推定される。

 ペルム紀に30パーセントほどあった酸素濃度も10パーセント程度まで低下し、ジュラ紀頃までの約1億年間、低酸素状態が続いた。 三畳紀は、広大な大テチス地向斜の発展がみられた時期と考えられている。この地向斜から、2億もの年月を経たのち、アルプス・ヒマラヤ造山帯など新期造山帯と称される若い山脈が形成されていくものとみられている。

 三畳紀の海成層の示準化石として重要なものとしては、セラタイト型アンモナイト、翼形二枚貝(ダオネラ、ハロビア、モノティス等)のほか、原生動物の放散虫、貝蝦(エステリア)、ウミユリ(棘皮動物)の一種エンクリヌス・リリイフォルミスがあり、歯状の微化石コノドントは生物学上の位置づけが未解決の部分もあるが、層位学的にはきわめて重要である。なお、ダオネラは、現在のホタテガイに近縁する絶滅種であり、ダオネラ頁岩は堆積学的見地からも重視される。

 三畳紀の終わりに、再びやや小規模な大量絶滅があった。海洋ではアンモナイトの多くの種が姿を消し、魚竜などの海洋棲爬虫類も打撃を受けた。陸上ではキノドン類、ディキノドン類の大半の種といった大量の単弓類(哺乳類型爬虫類)が絶滅した。

 三畳紀の終末を生き延びた恐竜など陸生脊椎動物は、繁殖様式(卵など)や生活様式から乾燥にとくに強いタイプのものと考えられる。また、爬虫類も単弓類同様に大型動物を中心に多くの種が絶滅した。まだ比較的小型だった恐竜は、三畳紀末期には竜脚類のような大型種も出現し、そののち急速に発展していく。絶滅の原因としては、中央大西洋マグマ分布域(Central Atlantic Magmatic Province)における火山活動との関連が指摘されている。(Wikipedia)


参考 マイナビニュース:2億1500万年前の衝突は直径8km弱の巨大隕石だった Wikipedia:三畳紀 大量絶滅


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