「ミツクリザメ」相模湾で捕獲
生きた化石と呼ばれる深海魚ミツクリザメが、11月14日から八景島シーパラダイスに展示されていたが、11月18日には死亡が確認された。これまでの飼育記録も最長10日という短さ。まだまだ生態がよく分かっていない深海魚なのだ。
深海に生息する「ミツクリザメ」10匹余りが神奈川県の相模湾でかに漁の刺し網にかかっているのが見つかり、横浜市の水族館に運ばれて飼育されていた。
「ミツクリザメ」は日本では相模湾や駿河湾などの水深1200メートルほどの深海に生息するサメで、口先がヘラのように長く突き出ているのが特徴。
「ミツクリザメ」が運ばれた横浜・八景島シーパラダイスの水族館によると、13日、横須賀市の長井沖で水深300メートルほどに仕掛けたかに漁の刺し網に13匹のミツクリザメがかかっていて、このうち生きていた11匹が水族館に運ばれた。
水族館によると、まとまった数が生きたまま捕獲されるのは珍しいということ。ミツクリザメは大きいものは体長3メートルほどになるが、見つかったサメは1メートル50センチほどで若いサメとみられていた。
飼育員の重秀和さんは「小さなサメは比較的浅いところにいるので網がちょうど通り道にあり、ひっかかったのではないか。8500万年前ほどのサメの化石と同じ形を持つ非常に珍しいサメで、長期間の飼育は難しいとされているが、できるだけ長く飼育して生態の解明に役立てたい」と話していた。(NHKnews 2013年11月14日)
ミツクリザメとは何か?
ミツクリザメ(箕作鮫、英: Goblin shark)は、ネズミザメ目ミツクリザメ科に属するサメ。ミツクリザメ科はミツクリザメ属 Mitsukurina 1属で、本種のみを含む。希少種。
日本の東京湾、駿河湾、相模湾などをはじめ、世界各地で散発的に報告されている。表層から水深1,300 m、あるいはそれ以上の深海に生息する。推定全長6m。ブレード状の長い吻(ふん)が特徴である。写真や図では顎が飛び出した状態のものが多いが、通常遊泳時は奥に引っ込んでいる。
相模湾、駿河湾、熊野灘、土佐湾、ポルトガル、スリナムなど 体長 最大全長約3.3m 特徴 長く突き出したヘラのような吻先が特徴のとてもユニークな体形をしたサメ。
長い吻先にはロレンチニ瓶(電気受容器)が散在しており、海底の餌を探すのに役立っている。また、くちばしのような口には鋭いトゲのような歯が並び、魚類や甲殻類 などを食べている。深海に生息するサメで、これまでの捕獲数も少なく、その生態は謎が多い。日本では、駿河湾や相模湾などの水深が1,200mにもなる深海で捕獲されている。
名前の由来
学名 Mitsukurina owstoni は発見者アラン・オーストン (A. Owston) と、東京大学三崎臨海実験所の初代所長であった箕作佳吉(みつくりかきち)に捧げられたものである。オーストンはイギリスの貿易商であったが、実験所の研究に理解を示し、ドレッジ(とくに深所にいる海洋生物を採集するための網)で捕獲した生物をたびたび寄贈していたようである。
ある日、彼は相模湾を航行中に、これまでに見たことのない奇妙な生物を採集した。このミツクリザメの記念すべき第一号は実験所に寄贈された後、1898年、アメリカの魚類学者、デイビッド・スター・ジョーダン (David Starr Jordan) により全くの新種であることが確認され、Mitsukurina owstoni と名づけられた。
英語では Goblin shark と呼ばれているが、これは本種の別名、テングザメの翻訳である。
世界各地から報告があるが、出現は稀。これまでの報告はほとんどが日本からのものである。とくに駿河湾や相模湾など水深が1,000 m以上になる深海湾でよくみられる。また千葉県沖の東京湾海底谷(とうきょうかいていこく)の入り口で多くの幼魚が見つかり漁の網にかかることがある。2003年にはそれまで報告が無かった台湾の北西沖で、100尾を超える非常に多数のミツクリザメが漁獲されている。他には、太平洋西部のオーストラリアや大西洋のギアナ、ビスケー湾、マデイラ諸島、インド洋の南アフリカなどの周辺海域で生息が確認されている。生息水深帯は30~1,300 m以深。
形態・生態
最大全長は推定540~617 cm。生存時の体色はやや灰色がかった薄ピンク色で、死後は褐色、さらに時間が経過すると灰色になる。やや透明な皮膚の下には血管が走っており、それが生きているときの独特なピンク色を生み出している。
背には比較的小さな背びれを2基、また胸びれ、腹びれ、臀びれを備える。尾びれは上葉(上半分)が長く、下葉(下半分)は上葉に比べてかなり短い。このタイプの尾鰭を持つサメは底生性であることが多く、あまり速くは泳げないと考えられる。
体には古代のサメの特徴を残しており、生きている化石などとも呼ばれる。大きく突出した扁平な吻(頭部先端の尖った部分)が特徴である。吻には電気受容器のロレンチニ瓶を多数備えており、海底の餌を探すのに役立っている。吻は軟骨性で柔軟なため、カジキ類の吻のように攻撃や防御を行うには適していない。
ミツクリザメは顎が前方に突出した姿で描かれることが多いが、突出自体はサメ類が共通して持っている性質であり、さほど驚くに値しない。本種の場合は顎が容易に、しかもかなり顕著に突出して目立つため、そのように描かれるのであろう。上顎は湾曲し、鳥の嘴のような形をしている。口の前半部の歯は長く尖り、表面は滑らかで内側に向けて曲がっている。それに対して後半部の歯はやや短く、ものを噛み砕くのに適している。
ミツクリザメは船上で逆さに吊り上げられると顎が飛び出し、嘴(くちばし)のような口には多数の鋭い歯が剥き出しになる。自身の体重で顔は膨らみ、ブヨブヨした軟らかい体はみるみる褐色に変色、さらに大量出血により全身が赤く染まる(深海棲息のため、水揚げに伴う周囲の水圧の有無・変化に因るとされる)。
ミツクリザメはその長い吻を使って海底の餌生物を探し出し、大きく顎を突出させて獲物を捕らえるものと考えられており、長く鋭く伸びた棘のような歯は、肉を食いちぎるというより、くわえた獲物を逃がさないために働いていると推測される。カニなど硬い甲羅をもつものは奥歯で噛み砕いて食べる。餌は主に深海性の甲殻類や頭足類、硬骨魚類や他のサメ類である。
雄の成熟サイズは全長264 cm、雌は全長335 cm。妊娠雌は知られていないが、ネズミザメ目に広くみられる卵食型と予想される。
参考:八景島シーパラダイス 生きた化石「ミツクリザメ」
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