COP19ワルシャワで開催
ポーランドの首都ワルシャワで開催されている、国連気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)。
COPとは、締約国会議(Conference of the Parties)の略。今回は気候変動枠組条約(United Nations Framework Convention on Climate Change、略称:UNFCCC、FCCC)に関する締約国会議である。
地球温暖化問題に対する国際的な枠組みを設定する会議で、大気中の温室効果ガス(二酸化炭素、メタンなど)の増加が地球を温暖化し、自然の生態系などに悪影響を及ぼすおそれがあるとし、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させ、現在および将来の気候を保護することを目的とする。気候変動がもたらすさまざまな悪影響を防止するための取り組みの原則、措置などを定める。
11月11日、ポーランドの首都ワルシャワで始まった国連気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)では、フィリピンを直撃し、死者1万人と推定される観測史上最大規模の超大型台風30号「ハイエン」について、同国政府のサニョ代表が涙を流しながら17分超の大演説を行った。
フィリピンでこの3日間、食事も口にせず、両手で遺体を集め続ける兄弟を思いながら、サニョ代表は「COP19で意義ある合意を形成できるまで、私は自発的に断食する」と宣言。会議場ではスタンディング・オベーションが1分近く鳴り響いた。
ポーランドで開かれているCOP19では、すべての国や地域が参加する2020年以降の新たな枠組みについて、再来年のCOP21で合意するためどこまで道筋をつけられるかが焦点で、各国が自主的に策定した削減目標を提出し国際的に協議したうえで確定させる方法を軸に協議が進められている。
これについて、日本時間の21日夜行われた閣僚級の対話で、石原環境大臣は「主要な温室効果ガスの排出国の合意が得られれば、日本はCOP21に先立って約束を提出する用意がある」と述べ、中国などの主要な排出国が新たな枠組みで削減に取り組むことを条件に、2020年以降の目標をCOP21の前に提出する考えを初めて示した。
また、これまでの交渉で、新たな枠組みについて話し合ってきた作業部会の議長がまとめた案では、各国が提出した目標をCOP21で国際的に確定することや、COP21より一定期間先立って目標を提出するため各国が国内で準備することが盛り込まれている。
しかし、この案について、中国やインド、それにフィリピンなどの新興国や途上国のグループの一部が、温室効果ガスを削減するための先進国の2020年までの取り組みが不十分でそれ以降の議論は進められないと強く反発していて、最終日に合意に至るかどうか不透明な情勢。
NGOが一斉に退場する一幕も
一方、今回のCOP19の交渉に進展が見られないことに抗議するため会議に参加していたNGOのメンバーおよそ300人が会場からそろって退場する一幕もあった。ポーランドで開かれている今回のCOP19には、国際的なNGOがオブザーバーとして参加している。
このうち「グリーンピース」や「WWF=世界自然保護基金」など主要なNGOは21日、交渉に大きな進展が見られず、日本などの一部の先進国が温室効果ガスの削減目標を後退させたことに抗議して、会場から一斉に退場すると発表した。
NGOのメンバーは現地時間の21日午後1時半ごろ、会場の一角で各国のメディアを前に抗議の声を上げ、このあとおよそ300人がそろって会場を後にしていた。COPの開催期間中に多数のNGOのメンバーが会場から一斉に退場するのは初めてだという。
フィンランドから来たNGOの女性メンバーは、「先進国からは、温暖化の問題を解決しようという気持ちが全く感じられなかった。私たちはこうした状況を受け入れられません」と話している。
日本政府代表団「合意まで努力」 COP19の最終日を前に、日本政府の代表団で外務省の香川剛廣地球規模課題審議官は「途上国と先進国の対立が大きいので協議が難航しているが、2015年のCOP21での合意に向けて、少しでも道筋をつけるため、最後まで努力をしていきたい」と述べた。
また、焦点となっている、各国が温室効果ガスの削減目標を提出する時期については「見通しとしてはたいへん厳しい状況だ」と述べ、COP19で各国が合意するのは難しいという認識を示した。(NHKnews 2013年11月22日)
地球温暖化対策:イチからわかるCOP19 日本はどうする?
地球温暖化対策について話し合う国際会議であるCOP19が、11月11日から22日までの日程でポーランドで開かれている。そもそもCOPとはどのような会議で、日本はこれによってどんな影響を受けるのか?
COPは1992年の地球サミットで採択された「気候変動枠組条約」に基づいて開催される国際会議です。95年の第1回会合以来、毎年開催されています。COPでは地球温暖化の原因と言われている温室効果ガスの排出量をどのように削減するのかが話し合われる。
97年に京都で開催されたCOP3では、2012年までの具体的な温室効果ガス排出削減目標を示した「京都議定書」が採択され、各国に削減目標が課された。
京都議定書では、1990年との比較で日本は6%、EUは8%、米国は7%の削減が義務付けられた。しかし米国は自国に不利であるとして批准を拒否し、枠組みから離脱してししまった。
米国の身勝手な行動に非難が集中しましたが、米国の主張にも一理ある。EUを構成する国の半分はまだ途上国に近い経済水準であり、省エネルギー対策はゼロに等しい状況。EUは新しい技術を導入することで容易に温室効果ガスを削減することができるが、米国はすでに先進国であり、国土も広く削減は容易ではない。
米国の離脱で京都議定書は中途半端なものになってしまったが、もっとも損をしたのは日本といってよい。日本は世界で最も省エネが進んだ国であるにも関わらず、EUと同じ水準の削減を実施しなければならないからだ。
結局、EUはこの目標を楽々とクリアする見込みだが、日本はむしろ排出量が増加しており公約達成は絶望的。東日本大震災で原発が停止したこともあり、結局、日本も2011年12月に開催されたCOP17において京都議定書から事実上脱退してしまった。
今回のCOP19は、京都議定書の効力が切れる2020年以降の新しい枠組みを話し合うためのもの。今回の会合では、前回一方的に離脱を宣言した米国が議論をリードしている。それは、米国において温室効果ガスの排出量が少ないシェールガスの開発が急速に進み、排出量削減のメドが立ってきたからだ。
日本の新目標「2005年比で3.8%削減」
日本は京都議定書からは脱退したが、1990年比で2020年までに25%削減するという中期目標は変更していなかった。今回の会合では、2005年と比較して3.8%削減するという新しい目標を提示したい考えである。ただこの数字は1990年と比較すると逆に3.1%の増加となっており、日本は目標を後退させることになってしまう。
地球温暖化が本当に温室効果ガスによるものなのか疑問視する声があるのも事実。だが、少なくとも日本はこの条約に積極的に関わってきました。日本では原発が停止し、エネルギー政策が迷走した状態だが、今後もCOPに関わっていくのであれば、なるべく早くこの状態を解消する必要がある。そうしなければ、次回以降の会合においても、再び諸外国の都合で日本が不利な状況に追い込まれる可能性も出てくる。(The Capital Tribune Japan)
11月20日には、石原環境相が演説を行い、日本の削減目標を正式に表明し、各国からは厳しい声が上がった。 演説で石原環境相は、2020年までに、温室効果ガスを「2005年に比べて3.8%削減する」と正式に表明した。
「1990年比25%減」とした、これまでの目標から大きく後退したことに対して、各国から厳しい声が上がった。小島しょ国連合代表は「非常に低い目標値で、がっかりした。他国に悪影響を与えてしまう」と述べた。南アフリカ代表は「日本のやり方には、がっかりした」と述べた。(FNNnews 2013/11/21)
COP18:新枠組み計画「ドーハ合意」を採択
国連気候変動枠組み条約第18回締約国会議(COP18)は12月8日、2020年以降に始まる温暖化対策の新枠組みに向けた作業計画などを盛り込んだ「ドーハ合意」を採択した。ただし、先進国と途上国・新興国の激しい対立から、詳細を詰めることができず、来年から本格化する交渉は難航が予想される。
米国、中国、インドを含めた全ての温室効果ガス排出国が参加する新枠組みを2020年に開始することは、昨年末のCOP17で合意された。今会合は2015年中の新枠組み採択に向け、2014年のCOP20までに交渉の要素を整理し、2015年5月までに交渉文書をまとめるとの作業計画を作った。2020年までの各国の削減目標の引き上げについても議論する。
途上国は、排出量削減には先進国からの資金・技術援助が不可欠とし、具体的な援助内容を引き出そうと必死だった。一方で先進国は、経済の悪化や政治状況で、具体的な約束ができず、最後までもめた。最終的には、過去に合意された「先進国が2020年までに官民合わせて年1000億ドルの援助」の達成に向け、努力を続けることを盛り込んだ。また、2013~2015年は2010〜2012年(先進国全体で300億ドルを約束、336億ドルを達成)の水準を維持するとした。
一方で、京都議定書の延長期間(第2束期間)が2013~2020年の8年間と決まり、国際的な枠組みの「空白期間」が生じることは避けられた。ただし、第2約束期間に参加するのは、欧州連合(EU)やスイス、ノルウェー、オーストラリアなど。国際エネルギー機関(IEA)によると、参加国・地域の二酸化炭素(CO2)排出量は、世界全体の排出量の十数%に過ぎない。(毎日新聞 2012年12月09日)
昨年のCOP18、「ドーハ合意」の骨子
前回ドーハで開催されたCOP18。CO2排出大国の米国・中国の温室効果ガス削減が2020年となった。「ドーハ合意」とはどんなものだろう?
今後、2020年に全ての国が参加して温室効果ガス削減を進める、新しい枠組み作りに向けた作業計画や、京都議定書を8年間延長する改正案などを盛り込んだ。先進国に2012年まで5年間の温室効果ガス削減を義務づけた京都議定書は、2020年末まで延長することになった。だが、日本は参加せずに自主的に削減を進める。日本のような非参加の先進国は、クリーン開発メカニズム(CDM)を使った途上国での削減事業で生じた排出枠の取得は認められるが、売買はできなくなる。
ドーハ合意の骨子は次の通りである。
1.新たな削減枠組みについては、2015年5月までに交渉のたたき台の文書をまとめる。
2.京都議定書延長については、期間は2020年末まで8年間。削減義務を負わない国のクリーン開発メカニズム(CDM)の使用を制限。余剰排出枠の売買はごく一部に限定する。
3.途上国への資金支援は、来年のCOP19で先進国が増額する方法を示す。 (2012年12月10日 読売新聞)
COP18日本の成果と課題
長浜博行環境相は12月5日、国連気候変動枠組み条約第18回締約国会議の閣僚級会合で演説した。温室効果ガス排出量を「2020年に90年比25%削減する」との国際公約には触れなかった。
この国際公約は、2009年鳩山由紀夫首相(当時)が表明したが、東京電力福島第1原発事故に伴い、達成は事実上不可能となった。ところが、新しいエネルギー政策の決定が遅れたうえ、衆院選に突入したため、国際社会に方針を説明できない状況だ。
長浜環境相は原発事故に触れ「厳しい状況にあっても、気候変動問題に積極的に取り組む意欲を失っていない」と主張。再生可能エネルギー固定価格買い取り制度や地球温暖化対策税を導入したことを挙げ、温暖化対策に前向きな姿勢をアピール。世界で唯一の温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」と後継機を例に「気候変動科学の進展や国際的な温暖化対策に貢献していく」と述べた。(毎日新聞 2012年12月05日)
日本の存在感は薄かった。長浜博行環境相は5日の演説で、先進国が10~12年に拠出した途上国向け短期資金の総額336億ドルのうち、日本が約4割を占めたことを強調した。 だが、会議ではアジアの途上国から「日本は国際貢献に後ろ向きだ」と非難され、日本の交渉担当者が「これまでの支援実績をどう見ているのか」とやり返す場面もあった。
会議終了後に、この途上国からは「日本の支援に感謝しているが、中国などの手前、強く出ないといけなかった」と謝罪を受けたという。
21世紀政策研究所の澤昭裕研究主幹は「COPは政治的な駆け引きの場。この現実を理解し、戦略的に支援策のカードを切るべきだ」と指摘した。今回、日本は「2020年の温室効果ガス排出量を1990年比25%削減する」との国際公約が達成困難になったにもかかわらず、目標を取り下げずに信頼を失った。信頼を回復するためにどうカードを切るのか、政府は早急に戦略の練り直しを進める必要がある。(産経news 2012年12月9日)
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