気候変動、海水温は上昇
地球平均気温の上昇は、ここ10年ストップしているが、海水温の上昇は続いている。フィリピンを襲った台風30号も海水温の上昇が関係している。
九州の西の沖の東シナ海で平年より1.5度、四国・東海沖の太平洋で1.2度高く、いずれも1985(昭和60)年に統計を取り始めてから最も高くなった。
このほか、平年と比べて北日本周辺の日本海で2.1度高く、西日本周辺の日本海で2度、沖縄周辺でも0.7度から1度高く、統計を取り始めてから2番目か3番目に高くなっている。
海水温上昇の影響だろうか、7月に南極の氷河から分離した巨大な氷山が外洋に向かって流れており、国際航路を航海する船に危険を及ぼす可能性があることが明らかになった。氷山の面積は、シンガポールの国土とほぼ同じ700平方キロメートルもある。
9月に発表された、国連の気候変動に関する報告書(IPCC:第5次報告書)で、気温の変化だけではなく地球が温暖化していることを示す一連の証拠に焦点が絞られていることが分かった。
アメリカ国立大気研究センターの気候分析担当上級研究員、ケビン・トレンバース氏は、極地の解氷、海水温と海水面の上昇などがいずれも地球温暖化を示していると述べた。「その水準まで行く可能性は5%。何か異例なことが起きて大規模な氷床が実際に崩落すると解氷はかなり速まる」と述べた。2100年までの海水面の実際の上昇は約25-90センチメートルの間になる可能性が高いとみている。
シンガポール級の巨大氷山が南極海を漂流 航路に危険も
7月に南極の氷河から分離した巨大な氷山が外洋に向かって流れており、国際航路を航海する船に危険を及ぼす可能性があることが明らかになった。
氷山の面積は、シンガポールの国土とほぼ同じ700平方キロメートル。「この大きさの氷山だと、1年かそれ以上は溶けずに北まで流れ、南極海の国際航路の近くまで来る可能性がある」と、英サウサンプトン大学のロバート・マーシュ氏は声明で述べた。
マーシュ氏ら研究チームは氷山の動きを追跡する許可を得ており、付近を航行する船舶に注意を促すため今後の動きを推測している。
極地研究を行っている独アルフレート・ウェーゲナー研究所では、ドイツ航空宇宙センターの人工衛星「テラサーX」の画像を解析、7月に南極のパイン島氷河から氷山が分離したと報告。英シェフィールド大学のグラント・ビッグ教授がBBCに語ったところでは、当初は海氷の影響で氷河の近くにいたが、南極の冬が終わり海氷の一部が溶けるにつれ、外洋に向かって動き出したという。
ビッグ教授は「この数日で分離が始まり、今では氷河との間は1~2キロメートル離れている」と述べている。
巨大氷山が氷河から分離するには長い時間がかかる。最初に米航空宇宙局(NASA)が氷河の裂け目を発見したのは2011年10月のことだった。
巨大氷山の動きが追跡されるのはこれが初めてだという。(CNN.co.jp 2013年11月15日)
そもそも氷山とは何か?
氷山が見られる海域は限られており、南半球では南氷洋、北半球ではグリーンランド東岸とその周辺の島々から流出したものが北大西洋高緯度に広がる。北太平洋やベーリング海などでは氷山は見られない。
南極地域と北極地域では氷山の成因が異なる。南氷洋では、南極大陸から押し出された棚氷により形成されるため、上面の平らな台状を呈し、巨大なものが多い。北大西洋では氷河が海に流れ込んでできるので、とがった山型の形状のものが多い。
氷山の形成に関する説明は、1760年にロシア人のミハイル・ロモノーソフによって初めて発表された。
20世紀になると氷山の研究や監視のため幾つかの機関が設立された。タイタニックの事件を教訓にして1914年に設立されたInternational Ice Patrolは、北大西洋の氷山を監視している。
北大西洋に存在する氷山の平均的な一生は、およそ3,000年前に雪として降り、万年雪となって堆積して50年後には氷河となり、数千年かけて移動し、最後に氷河から分離して氷山として海に浮かぶことになる。同海域の氷山は、氷山になってから平均で3年経過したものである。
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