マザーコンプレックス(母親依存体質)
マザーコンプレックスとは、母親に対して子供が強い愛着・執着を持つ状態を指す。なお、これは正確な心理学用語ではなく和製英語の俗語である。俗にマザコンとも略され、この場合、母親に強い愛着・執着を持つ子供のことも指すことがある。
今回、京都大学の研究で、離乳後の雄のチンパンジーは母親と死別すると、自分も早死にする傾向のあることが分かった。ヒトと同様にチンパンジーでも、とくに雄の成長における母親の役割の重要性を示す結果だ。
父系社会を築くチンパンジーの雄は、生後5歳ごろまでの授乳期を過ぎて母親を亡くしても、その後は生き延びられると考えられていた。研究グループは、アフリカ・タンザイニアの山林にいる野生チンパンジーを観察した2012年まで40年間の記録を基に、孤児となった雄37頭の寿命を調べた。
その結果、5歳までの授乳期に母親を亡くした8頭はその後間もなく死に、子供期から青年期に当たる5-15歳までに孤児となった雄29頭のうち19頭が、群れの標準年齢(22-25歳)に達する数年前に死んでいた。
子供の母親に関する感情の理論はジークムント・フロイトやカール・グスタフ・ユングが唱えた。チンパンジーにも、母親依存体質である「マザーコンプレックス」があったとは驚きである。
マザーコンプレックスという用語は日本においてコンプレックス用語が広まった際に、フェティシズム的な意味合いをもって派生した用語であり、意味の変容と混乱を繰り返しながら現在に至った用語である。
エディプスコンプレックスとマザーコンプレックスは混同されがちであるが、マザーコンプレックスにおいては母性が強調されるのに対し、エディプスコンプレックスでは息子の男性性の激しさを強調するという差異がある。
マザーコンプレックスの用語の初出についてははっきりとは分かっていない。だが、昭和40年代には一般的に使われるようになった。現代用語の基礎知識には1973年度に初出しているが「母親錯綜」としか述べられておらず、定義に関しては曖昧なものであった。また、1970年の長谷川町子の四コマ漫画には親孝行がマザコンとして扱われたことを風刺したものもある。
1992年にテレビドラマ『ずっとあなたが好きだった』(TBS系)が大ヒットした。このドラマの主人公の夫・冬彦は、世間が忌避する極度にステレオタイプ化されたマザコン男性像として脚色されていたのだが、実際にはマザコンというよりは母親依存症であった。だがマザコンに対する嫌悪感もあって一気に歪んだ認識が広まってしまったと言われる。(Wikipedia)
雄のチンパンジー、母の死別で短命に
離乳後の雄のチンパンジーは母親と死別すると、自分も早死にする傾向のあることが、京都大学野生動物研究センターの中村美知夫・准教授らの研究で分かった。ヒトと同様にチンパンジーでも、とくに雄の成長における母親の役割の重要性を示す結果だ。
父系社会を築くチンパンジーの雄は、生後5歳ごろまでの授乳期を過ぎて母親を亡くしても、その後は生き延びられると考えられていた。研究グループは、アフリカ・タンザイニアの山林にいる野生チンパンジーを観察した2012年まで40年間の記録を基に、孤児となった雄37頭の寿命を調べた。その結果、5歳までの授乳期に母親を亡くした8頭はその後間もなく死に、子供期から青年期に当たる5-15歳までに孤児となった雄29頭のうち19頭が、群れの標準年齢(22-25歳)に達する数年前に死んでいた。
この結果は、チンパンジーにおける母親の重要性が考えられていた以上に長く継続することを示している。雄のチンパンジーにとっては、母親との関係が成長するに従い疎遠になっていくとはいえ、重要な局面で母親と一緒に食物を食べることができ、他のチンパンジーとのけんかの際に母親からの助けがあるなどの利益がある。母親がいることが、心理的な安心感に繋がっている可能性もあるという。
中村さんは「ヒトの場合も、母親は授乳が終わった後も長い間、子供のサポートを続ける。こうした特徴が近縁なチンパンジーにも共有されていたことは、ヒトの親子関係がどのように進化してきたのかを明らかにする上でも重要な知見だ」と述べている。
論文“Orphaned male Chimpanzees die young even after weaning”は『アメリカ形質人類学(American Journal of Physical Anthropology)』に掲載された。
チンパンジーのオスは離乳後でも母親と死別すると早死にする傾向
京都大学(京大)は、タンザニア・マハレ山塊に生息する野生チンパンジーを長期的に観察したデータから、チンパンジーのオスは離乳後でも、母親を亡くすと生存が困難になることを明らかにしたと発表した。
同成果は、同大 野生動物研究センターの中村美知夫 准教授、同 伊藤詞子 研究員、同 座馬耕一郎 研究員、神戸学院大学の早木仁成 教授、鎌倉女子大学の保坂和彦 准教授らによるもの。詳細は米国科学誌「American Journal of Physical Anthropology」電子版に掲載された。
ほ乳類は生後しばらくの間、母親からの母乳を頼りに生きる必要があり、離乳前に母親が死別するなどの理由で母乳を得ることができなければその子供も死別してしまう。逆に言えば、ヒトを除くほ乳類は離乳さえしてしまえば、母親が不在でも生きていくことができると考えられてきており、ヒトに近縁な生物で、メスが集団間を移籍する父系社会を築くチンパンジーであっても、離乳期を迎える4~5歳を過ぎれば、そのように考えれてきた。
今回の研究では、タンザニア・マハレ山塊に生息する野生チンパンジーの長期データをもとに、孤児になった37頭のオスのデータを年齢ごとに分析。その結果、子供期から青年期にあたり、完全に自分で餌を食べることができるほか、次第に母親と疎遠になり、オトナのオスたちの「社交の場」に参加していく時期にあたる5~13歳のオスにおいて期待寿命に達する前に死亡してしまう例が多く確認されたという。
今回の知見について研究グループでは、チンパンジーにとっての母親の重要性がこれまで考えられていた以上に長く継続することを示唆するものだとし、重要な局面で母親と一緒に食物を食べることができたり、他個体とのけんかの際に母親からの助けがあったり、といった利益があるのだろうと考えられるとコメントしているほか、母親がいることが心理的な安心感に繋がっている可能性もあるとしている。
また、こうした授乳期間を終えた後も長期間、子供のサポートを続けるというヒトの特徴に近い今回の発見は、長期にわたって継続するヒトの親子関係がどのように進化してきたのかを明らかにする上でも、重要な知見と言えるとも説明しており、今後は、チンパンジーの母親から大きくなった子供へのサポートについての体系的な研究はあまりないことから、そうした具体的なサポート行動を調べることで、父系社会における母親の重要性を明らかにしていきたいとしている。
離乳後の6歳で母親を亡くしたニックというオス(写真は12歳の時のもの)。この個体は13歳までしか生きられなかったという 。(京都大学 青年期まで続くチンパンジーの母親依存)+
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