「和食」を無形文化遺産に登録決定 ユネスコ
 国連教育科学文化機関(ユネスコ)は12月4日、アゼルバイジャンのバクーで開いた政府間委員会で、日本政府が推薦した「和食 日本人の伝統的な食文化」を無形文化遺産に登録することを決定した。日本からの登録は歌舞伎や能楽などに続き22件目である。

 食関連の無形文化遺産では「フランスの美食術」「地中海料理」「メキシコの伝統料理」などがすでに登録されており、和食は5件目となる。

 日本の良さが世界で認められて大変誇らしい。日本が世界に存在感を示すことが、これからの日本人の進むべき方向だと思う。良いものを惜しげもなく世界に提供していきたい。ところで、無形文化遺産とは何だろうか?


 無形文化遺産(Intangible Cultural Heritage)は、ユネスコの事業の一つ。同じくユネスコの事業である世界遺産が建築物などの有形の文化財の保護と継承を目的としているのに対し、民族文化財、フォークロア、口承伝統などの無形のものを保護対象とすることを目指したものである。

 日本政府は昨年3月、東京電力福島第1原子力発電所の事故で風評被害を受けた日本食の信頼回復を図り、震災復興の象徴にしようと「和食」の登録を提案。事前審査をするユネスコの補助機関が10月、和食の新規登録を求める「記載」勧告をしていた。(日本経済新聞社 2013/12/5)


 なぜ和食を無形文化遺産に?
 「和食=wasyoku」を次の時代に伝えていこうと政府はこの春、ユネスコ(国連教育科学文化機関)へ無形文化遺産にする申し込みをしました。早ければ来年の秋に審査されます。私たちは毎日いろんな料理を食べていますが、和食のすぐれたところ、日本らしさとは何でしょう。

 ユネスコの世界遺産には、すぐれた建造物や遺跡などを選ぶもの、貴重でゆたかな自然を選ぶものなどがある。無形文化遺産は、人から人へと伝えられてきた祭りやものづくりの技術などの価値を世界でみとめ、守っていくためのもので、2003年にできた。これまで世界全体で232件登録された。日本からは、京都の祇園祭の山鉾行事や茨城の織物の結城紬など20件がリストにはいっている。

 食の分野では2010年に初めて、「フランスの美食術」「地中海料理」「メキシコの伝統料理」の三つがはいり、11年に「トルコのケシケキの伝統」が加わった。登録の条件は、その料理がおいしいからとか、古い歴史があるからということではない。「その国、その地域の人たちが、自分たちの文化として残したいという気持ちを強くもっていることです」と、国立文化財機構東京文化財研究所・無形文化遺産部長の宮田繁幸さんは説明する。「反対に、専門家がいくら価値があるといっても、人びとが『いらない』と思うなら、リストに入れる意味はありません」

 日本は、「和食 日本人の伝統的な食文化」というテーマで申し込みをした。みそ汁やすしなど、料理ごとに和食かどうかを決めるのではない。北海道から沖縄まで全国に暮らす私たちには、自分たちの地域で長い時間をかけて育てた食事があることが文化で、その全体を和食とよぶ考え方だ。


 和食の特徴 自然の恵み生かし新鮮
 では、和食にはどんな特徴があるのか。専門家による話し合いでは、日本人の「自然を尊重する」という精神が和食を形づくったとして、大きく四つに整理された。

 まず食材の豊かさと、その持ち味を生かす調理技術や道具があること。日本は海にかこまれ、北海道から沖縄まで南北に長い。季節が春夏秋冬とうつりかわるなか、海や畑からさまざまな食材が手にはいり、新鮮なものを料理に使っている。たとえば、なまの魚をよく切れる包丁でさばく「さしみ」は、料理する人だけでなく、魚の鮮度(せんど)が落ちないように運ぶ流通や、魚を傷めないように釣る漁業の技術があって完成されたものだ。

 次に栄養のバランスがいいこと。主食のごはんに汁ものをそえ、おかずには魚や肉、豆腐や野菜を組みあわせた食事スタイルは、日本人が長生きで、太りすぎを防いできた理由だとして、海外からも注目されている。だしや調味料のうまみを利用することも、脂肪分の少ない食生活につながった。

 味だけではない。食事の場面で自然の美しさを表現することも和食の特徴だ。春に花びらの形をした食器を使ってサクラを連想させたり、夏なら盛りつけに緑のササの葉や氷を使ってすずしさを演出したり。食事をする空間にも気をくばる。

 四つ目が年中行事とのかかわり。正月や田植え、秋の収穫祭といった行事に食事はつきもので、ふるさとの料理が出される。いっしょに食べることで、家族や地域の人どうしがきずなを強めてきた。

 和食が無形文化遺産のリストにのるかどうかの審査が行われるのは、早ければ来年の秋だ。登録されれば、地域のよさを見直したり、海外に日本の食材をもっと売ったりするきっかけになると、期待されている。それは、国内で特に若い人の和食への関心が薄れていて、このままでは和食が消えてしまうという心配の裏返しだ。和食を受けつぐ気持ちをどう育てるかが問題だ。(asahi.com 2013年10月22日)


 無形文化遺産とは何か?
 無形文化遺産(Intangible Cultural Heritage)は、ユネスコの事業の一つ。同じくユネスコの事業である世界遺産が建築物などの有形の文化財の保護と継承を目的としているのに対し、民族文化財、フォークロア、口承伝統などの無形のものを保護対象とすることを目指したものである。

 2003年の第32回ユネスコ総会で採択された「無形文化遺産の保護に関する条約」の第2条では、「無形文化遺産とは、慣習、描写、表現、知識及び技術並びにそれらに関連する器具、物品、加工品及び文化的空間であって、社会、集団及び場合によっては個人が自己の文化遺産の一部として認めるものをいう」と定義している。

 同条約においては、無形文化遺産の重要性についての意識を向上させるために、ユネスコ内に設置された無形文化遺産保護に関する政府間委員会によって、人類の無形文化遺産の代表的な一覧表(Representative List of the Intangible Cultural Heritage of Humanity)を作成することとされている(第16条)。

 また、条約採択前に人類の口承及び無形遺産の傑作(Masterpieces of the Oral and Intangible Heritage of Humanity)として宣言されたものは、一覧表に記載されることになっている(第31条)。(wikipedia)


無形文化遺産とは何か: ユネスコの無形文化遺産を新たな視点で解説する本
クリエーター情報なし
彩流社
NHK「きょうの料理ビギナーズ」ハンドブック 和食のABC教えます (生活実用シリーズ)
クリエーター情報なし
NHK出版

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