50年に一度の積雪？2月8日、関東に記録的な大雪をもたらした理由 : サイエンスジャーナル

　一生に一度の積雪？
　2014年2月8日、昨日は記録的な大雪になった。東京は8日午後8時に積雪が27センチとなり、気象庁が「50年に一度の積雪」という記録的な大雪となった。20センチを超えたのは1994年2月以来、20年ぶり。27cmを記録したのは1925年 1月30日以来のことである。

　昨夜は積雪のためか何度も停電したが、すぐに回復した。東京電力によると、積雪の影響などで、神奈川、静岡、千葉、東京などで約7万1600戸が一時停電したという。

　東海道新幹線では約2時間の遅れが生じ、東北、上越、長野の各新幹線も一時、運転を見合わせ、8日夜になると、首都圏のJR在来線も相次いで運転を見合わせた。首都高速道路や中央道、圏央道の一部で通行止めとなった。空の便では、日本航空が正午から、全日空が午後3時から、東京・羽田空港を出発する全便を欠航にした。交通事故や転倒などで3人が死亡、462人が負傷した。（読売新聞 2014/2/9）

　東京23区内に大雪警報が発表されたのは13年ぶり。なぜ今回のような大雪になったのだろうか？

　記録的な積雪を記録した理由
　2013年１月14日の成人の日の首都圏の大雪が記憶に新しい中、大雪の恐れが現実になった。低気圧が急速に発達しながら本州の太平洋側を北上し、冷たい空気をひきこんで、広い範囲に雪を降らせた。低気圧の発達源は「暖かい空気と冷たい空気の温度差」。

　今回、低気圧の南側に入った沖縄では暖かい空気が流れ込んで、雨雲が発達した。沖縄市では、12時間で「平年の2月の月間雨量の約1.5倍」の雨が降ったほどである。

　一方で、2月4日「立春」から流れ込んできた寒気は“ひと冬に1度あるかどうか”というレベルの強さ。2月6日の朝は水戸で氷点下7度6分、宇都宮で氷点下7度8分まで下がったが、これは18年前の1996年2月3日以来の低さ。

　東京都心でも日差しがたっぷり降り注いでも気温は上がらず、厳しい寒さに見舞われた。これだけ冷たい空気に覆われているところに、沖縄に記録的な雨を降らせるような暖かい空気が流れ込むため、低気圧が発達すると予想されていた。

　低気圧の発達具合は去年1月14日ほどではなくても、今回のほうが「冷たい空気」に覆われている範囲が広い。このため四国など西日本でも雪が降り積もり、大雪になる恐れがある。（日本経済新聞　気象予報士　伊藤みゆき 2014/2/7）

　低気圧の発達源は「暖かい空気と冷たい空気の温度差」。なるほど、冬が終わろうとしている時期に気温差が生じ今回の大雪になったというわけだ。

　ちょうど、昨年11月4日フィリピンを襲った台風30号もそうであった。南の暖かく湿った空気に北から寒気が流れ込んだため大型化した。原理は同じだ。

　では、これまでの日本の積雪の最高記録はどのくらいなのだろう？

　観測史上1位の積雪記録は？
　東京の最深積雪の観測史上1～10位は、1位 46cm (1883/ 2/ 8)、2位 38cm (1945/ 2/22)、3位 36cm (1936/ 2/23)、4位 33cm (1951/ 2/15)、5位 31cm (1887/ 1/18)、6位 30cm (1969/ 3/12)、7位 27cm (1925/ 1/30)、8位 25cm (1892/ 2/19)、9位 23cm (1994/ 2/12)、10位 23cm (1968/ 2/16)。

　1位は1883年の46cm。10位以内で過去最も近い年は1994年の23cmという記録である。今回は７位の27cmの記録にならんだ。

　今回の積雪、関東では千葉市で66年の統計開始から最多の32センチ、埼玉県熊谷市で43センチ、、横浜市16センチの積雪を観測。甲信では甲府市43センチ、長野県松本市で最大49センチに達した。

　では全国一の積雪量は何cmだろう？積雪量最高記録を調べてみた。

　まず、積雪量の多いスキー場を調べてみると、日本一積雪量が多いのは、新潟県糸魚川市のシャルマン火打スキー場で、積雪量は600cmに達している。このほか新潟県妙高市の関温泉スキー場も560cmである。

　次に、鉄道ファンには知られたネタなのだが、長野県と新潟県を結ぶJR飯山線・森宮野原駅の構内には1本のひょろ長い塔が立てられており、そこには「日本最高積雪地点」という文字が掲げられている。

　塔には「ここは全国屈指の豪雪地帯であり、昭和20年2月12日に7m85cmの積雪がこの地点で観測されました」という文字が刻まれており、長野県公式の『長野魅力発信ブログ』にも「多分日本一」と記されている。

　そして、天気のことならやはり気象庁に尋ねなくてはいけない。日本気象協会は、HP内に質問コーナーを設置しており、2012年7月8日に「世界一の積雪って何センチくらいですか?」という質問が寄せられている。それに対し気象庁は、「有人観測史上１位の世界記録は1182cmです。これは日本記録でもあります。

　つまり日本が世界記録保持者。しかも滋賀県です。1927年2月14日伊吹山での記録です」と回答し、「ギネスブックにも載っています」と補足している。そういえば、富山県にそびえる立山の室堂平も、毎年平均8m程度の積雪が観測されることが分かっている。

参考　アメーバニュース：　積雪世界最高記録は日本が保持、記録は1128cm　NAVERまとめ：　過去130年東京の大雪の記録