大雪後6日、未だに道に残る雪山
 2月14日、関東甲信地方で降り出した雪は次第に降り方が強まり、14日夜遅くから15日未明頃をピークにして、降り積もり、記録的大雪になった。ここ湘南でも、あれから6日ほど経つのに道にまだ雪の山が残っている。こんなことはこれまでなかった。

 大雪による物流の乱れは4~5日続き、東名高速道路など関東圏との大動脈が機能せず、自動車工場では一部で生産を停止したほか、食料品の調達が遅れるコンビニなどが相次いだ。

 山梨県の甲府では114センチを記録、これは観測史上1位の積雪となり、特に甲府・前橋・熊谷では過去120年ほど続く観測の歴史の中で最大の積雪。「歴史的」と言っても良いほどの記録的な大雪になった。


 しかも、この雪は、約1日程度で急速に降り積もった。甲府では、14日未明には2センチだった積雪が15日明け方には1メートルを突破。わずか24時間ほどの間に1メートルもの雪が降った。これは、雪の多い北日本日本海側や北陸でもそう頻繁にある降雪ではない。

 たしかに、交通やそれに伴う物流など都市機能が麻痺してしまうレベルの大雪だった。現在まだ、1都5県で386世帯1542人が孤立化している。しかし残念なことに、記録的・歴史的な降雪や積雪にもかかわらず、大雪特別警報が気象台から出されることはなかった。

 未だに道ばたに山になっている雪。交通の妨げにもなっている。この雪早く溶かす方法はないのだろうか?調べてみると、融雪剤としては、塩化カルシウムなどが使われており、融点を降下させたり、融解熱で雪や氷を融雪するメリットがあるという。

 今冬、ほぼ全域で厳しい寒さが続くアメリカでも、各輸送機関が雪や氷を溶かすために大量の塩を道路に散布する必要に迫られているという。


 米寒波で大活躍、道路用塩の需要と供給
 バージニア州に本拠を置く業界団体「ソルト・インスティテュート(Salt Institute)」の代表ロリ・ローマン(Lori Roman)氏は、「昨年、アメリカの自治体は1700万トンの塩を道路に撒いた。今年はさらに増える見込みだ」と話す。

  業界団体「パシフィック・ノースウェスト・スノーファイターズ(Pacific Northwest Snowfighters, PNS)」の共同設立者で、アイダホ州の雪氷除去を管理するロン・ライト(Ron Wright)氏は、「特に東部と中西部の運輸当局が、塩の調達に奔走している」と話す。

 しかし、ラーム・エマニュエル(Rahm Emanuel)シカゴ市長は、「道路用の融雪剤は、冬を乗りきるのに十分な量を確保した」と強調。アンドリュー・クオモ(Andrew Cuomo)ニューヨーク州知事も同様だ。この冬、塩は“引っ張りだこ”の人気商品になっている。


 道路に散布する融雪剤は「岩塩」
 道路に散布する融雪剤は、主に粒子が粗い「岩塩」が使われる。同じ塩化ナトリウムだが、食塩は粉末状に精製され、ヨウ素(甲状腺種の発症を抑える働き)などの添加物や抗凝集剤が含まれる場合もある。

 ローマン氏によると、主な製塩方法は3種類ある。高級料理に使われる海塩は、太陽光で海水を蒸発させて生成。食卓塩は、地下に水を注入して塩分を溶かす「溶解採掘法」で作られる場合が多い。汲み上げて乾燥させると、塩が結晶化する。

 融雪剤の岩塩のほとんどは、地下の塩の結晶化層から乾燥した状態で採掘される(乾式採掘法)。古代の海が地殻変動によって蒸発し、塩分が残って形成された地層だ。地下の岩塩抗で採れた塩の岩板を、ダイナマイトやパワーショベルで砕き、トラックやコンベヤーで破砕機まで運ぶ。

 「岩塩は世界中で採れる。アメリカでも、クリーブランド近郊やデトロイトの地下、ニューヨーク州、カンザス州、ルイジアナ州など全域に鉱床がある」とローマン氏は説明する。

 1895年に発見されたデトロイトの岩塩鉱床は、資源開発が徐々に進み、1914年には毎月8000トンの生産量に成長。当時の運搬用のロバは、地下に降ろされると、再び地上に戻ることはなかったという。資源量が豊富だったデトロイトは1940年、道路に塩を撒いた世界最初の都市となる。

 塩の価格下落により1983年に閉鎖されたが、1998年に再開。デトロイト氏の地下365メートルには全長160キロ超のトンネルが伸び、北西は隣のディアボーン市郊外から南西のアレンパークまで広がっている。


 冬に大活躍「スノーファイター」
 PNSのライト氏によると、ほとんどの自治体担当者は、冬の初めに予想される必要量の25%増しの道路用塩を準備するという。防水シートで覆ったり、倉庫に保管したりして保護する。

  今シーズンはどこもそうだったが、季節が進んでさらに必要になると、追加注文する。イリノイ州、シカゴ郊外のメイウッドの公共事業担当者ジョン・ウェスト(John West)氏によると、「納入までには通常10~14日かかる」という。

  需要の増加に伴い、価格上昇が懸念されている。「最近の追加注文は1トンあたり54ドル(約5500円)の既存の契約でカバーできた。さらに必要になったら、公開市場で調達しなければならないだろう。倍近い100ドル(約1万円)に跳ね上がる」とウェスト氏は案じている。

  塩に頼りすぎると環境に与える影響も心配になるが、やはり人の命には代えられない。ウィスコンシン州ミルウォーキーにあるマーケット大学が実施した調査によると、衝突事故が88%、負傷事故が85%、災害コストが85%減少したという。

 「ファイヤーファイター(消防士)よりもスノーファイターの方が多くの命を救っている、と言う人もいるよ」とローマン氏は誇らしげに語っている。(Brian Clark Howard, National Geographic News February 14, 2014)


 融雪剤とは何か?
 融雪剤とは、雪や氷などを溶かし、生活に支障をきたさない状態にする剤のこと。凍結防止剤、凍結抑制剤とも。融雪剤には次のようなものが使用される。塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、尿素、カーボンブラック(着色による融雪)、炭素粒子。

 融雪の仕組みはどうだろう?融雪剤の散布によって、塩化カルシウムなどの成分が水に溶けて凝固点降下が起こり、融点が低下する。これによって、融点が気温を下回れば雪は水へと変化する。加えて塩化カルシウムが水に溶けるときに発生する溶解熱も、融雪に寄与する。

 なおこれらによって低下する融点は数度から十数度程度であるため、極端に低い温度の中では効果が得られない。 着色による融雪は、雪や氷の表面に黒色の粉末を散布することにより、太陽の熱エネルギーを吸収しやすくすることで融雪する。この方法は融雪に太陽を利用するため、夜間の融雪には適さない。

 融雪剤による塩害
 融雪剤の主成分は塩化カルシウムであり、雪や氷を融雪するメリットの反面、鉄製品(ガードレールや基礎)・植物・コンクリート・通行する自動車などに悪影響を与え、これが近年はきわめて重大な問題となっている。特に鉄筋の橋梁などで融雪剤がコンクリートの割れ目などから浸透し、鉄骨を錆により腐食・劣化させ、強度減少が発生し安全性が保てなくなってしまう。

 また、植物に関しては、生化学的性質が食塩に類似しているため、塩化カルシウムの塩害により、海岸部のように草木が生えなくなってしまう(植物を植えても枯れてしまう)。このような事態を防ぐために塩化カルシウムに代わる『代替品』に切り替える等の対策が模索されている。

 代替品に関しては、塩化物イオンを避けることのできる酢酸カルシウム・マグネシウム(CMA)や酢酸カリウム、鉄製品に全く反応(腐食)しない尿素などが挙げられるが、コストが塩を利用した時の約4.5倍程度かかることや、効きの悪さ、異臭が出るなどの弱点があり、あまり利用されていない。(Wikipedia)


参考 Wikipedia:融雪剤 National Geographic news:米寒波で大活躍、道路用塩の需要と供給


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