火力発電ではCO2が大量に出る
CCS技術とは二酸化炭素回収・貯蔵技術のことである。 英語で「Carbon dioxide capture and storage(CCS)。原発が十分に稼働できない日本では、火力発電にたよっており、排出する温室効果のあるCO2を回収する技術は重要だ。
二酸化炭素の具体的な回収方法は、火力発電所や鉄工所などCO2排出量の多い所で「アミン法」という化学吸収法を実験しており、現在発生するCO2のうち97%まで回収することに成功。以前は80%であった。
「アミン法」と、空気ではなく酸素だけで燃焼する「酸素燃焼法」を使えば二酸化炭素だけを効率よく回収することができる。課題としては、アミン液を再利用するときに120℃程度に再加熱するのにコストがかかる点である。
このため近年、化学吸収法に替わる、省エネルギーで安全かつ低コストの革新的なCO2分離回収技術が世界的に求められている。
これまで、活性炭やゼオライトなどの多孔質吸着体を用いたCO2の吸着分離法が検討されているが、CO2吸着量が不十分、耐久性が低いなど、エネルギーが比較的大きいといった問題があり、より優れた吸着能を持つ新しい多孔質吸着体が求められていた。
今回、産業技術総合研究所(産総研)は2月13日、セリウムの酸化物を用いて、優れたCO2吸着能を示す多孔質吸着体を安価で簡単に合成する技術を開発したと発表した。
同成果は、同所 環境化学技術研究部門 化学システムグループの遠藤明研究グループ長、上村佳大研究員らによるもの。詳細は、2月14日につくば国際会議場で開催される「平成25年度・産総研 環境・エネルギーシンポジウム」で発表された。
産総研、CO2吸着能に優れた多孔質吸着体を開発
火力発電所、製鉄所、化学プラントなどから排出されるCO2は、地球温暖化の大きな要因になっており、排出削減への関心が高まっている。特に、物理化学的な手法によるCO2の分離回収技術は排出削減効果が大きいことから、温暖化対策の1つとして期待されている。従来のCO2分離回収技術としては、主にアミン溶液を用いた化学吸収法がある。
しかし、この技術は、アミン溶液の再生時(CO2の脱離)に膨大な熱エネルギーを要するため、プロセスコストが高い。溶液の寿命が短く、性能がすぐに劣化してCO2吸着量が低下する。劣化した溶液の処理と新しい溶液の補充のためのプロセスが煩雑でコストが高くなる。溶液が高い毒性、腐食性、可燃性を示すため、特殊な設備が必要となる。などの問題点がある。
今回、CO2吸着能を示し、毒性や腐食性が少なく、比較的安価な素材であるセリウムの酸化物に着目した。しかし、これをCO2吸着剤として実用化するには、大きな比表面積(重量当たりの表面積)を持つ多孔質吸着体を作り出すことが課題となった。
多孔質吸着体の比表面積を増大させるには、テンプレートと呼ばれる高価な添加剤を用いる方法が一般的だった。しかし、テンプレートを用いる場合、高温での熱処理など合成プロセスが煩雑になり、さらに反応後の廃液処理も必要となるため、製造コストや環境負荷の増大を招いていた。
そこで、テンプレート法に代わる簡単な手法を用いて、セリウム酸化物の多孔質吸着体の比表面積を増大する方法を考案し、既存のゼオライトや活性炭に比べて高いCO2吸着能を示す多孔質吸着剤を開発した。ここでは、特定条件下で反応を行うことで、セリウムの溶液から、テンプレートを用いずに、セリウム酸化物の4nm程度の粒子が凝集した構造体が得られた。この構造体は、粒子の表面だけでなく、粒子の間にもCO2を取り込めるのが特徴である。
セリウムを使った多孔質吸着体
今回開発したセリウム酸化物の多孔質吸着体のCO2吸着特性を調べると、ゼオライトや活性炭よりも高いCO2吸着量を示した。また、再生には加熱を必要とせず、減圧操作だけでCO2を100%脱着できた。1tのCO2の脱着に必要な熱エネルギーを指標に試算したところ、今回開発した多孔質吸着体を用いる固体吸着法では、アミン溶液を用いる化学吸収法に比べて、約40%の省エネルギー効果が見込めることが分かったという。
同技術により、従来のテンプレート法よりも簡単なプロセスで、同体積の活性炭やゼオライトよりも高いCO2吸着量を示す新しい多孔質吸着体が合成できる。今後、反応条件の改善によって粒子径を小さくして表面積を増加させることにより、CO2吸着量の向上が期待される。
また、高価なテンプレートや熱処理などが不要なため、製造コストの大幅な削減が見込める。さらに、化学吸収法を代替できる省エネルギーで低コストなCO2分離回収プロセスへの応用と波及効果が期待できる。今後は、多孔質吸着体のCO2吸着性能のさらなる向上や、合成プロセスの簡便化を目指した研究開発を続けるとともに、企業との連携を開始し、CO2分離回収プロセスへの応用とその実用化を推進していくとコメントしている。
これまでのCO2の吸収法
化学吸収法: 二酸化炭素を反応吸収するアミンなどのアルカリ性の溶液を用いて、二酸化炭素を分離・回収する手法。吸収した溶液を加熱してCO2を分離する「再生工程」で消費する熱コストが問題となっている。商業機が既に稼動している。
固体化学吸収法: 二酸化炭素のみを吸収するような固体に、二酸化炭素を吸収させて分離・回収する手法。固体にはリチウムシリケートや酸化亜鉛などを用いる。
物理吸収法: 高圧でメタノール、ポリエチレングリコール等の溶解度を上げた液体に二酸化炭素を物理的に吸収させ、分離・回収する手法。大規模化が比較的容易。化学吸収法に比べて必要な熱量が小さく、排気ガス中に含まれる硫黄酸化物の影響による吸収液の劣化程度も小さい。
物理吸着法: ゼオライト、活性炭、アルミナなどの吸着剤に、二酸化炭素を選択吸着させ、分離・回収する手法。さらに、圧力を変化させて二酸化炭素を選択的に分離・回収を行う方法をPSA法といい、湿度を変化させて行う方法をTSA法という。その双方を組合わせた方式をPTSA法という。日本国内では、電力会社に実施例がある。
膜分離法: セルロースアセテートなどの多孔質の高分子膜にガスを透過させ、透過速度の違いを利用して、二酸化炭素を選択的に分離・回収する手法。プロセスが簡単で運転が容易であるため、将来的には期待できる技術である。二酸化炭素の回収率が低さ、膜材料の耐久性、分離膜が高価なことなどに課題がある。
深冷分離法: ガスを圧縮液化し、蒸留により他の不純物を除去し、二酸化炭素を選択的に分離・回収する手法。液化二酸化炭素としての回収は実用化されている。
酸素燃焼法: 二酸化炭素が発生するボイラーや燃焼炉において、支燃ガスに空気ではなく酸素を利用する酸素燃焼が二酸化炭素回収でも利用される。窒素が含まれないため、燃焼後の排ガス中の二酸化炭素成分が大きく、そのまま回収することができるからである。排ガス中の窒素酸化物も抑えられ、硫黄酸化物などの耐久性への影響も考慮する必要がなく、既存の燃焼炉などの改造が容易で、なおかつ燃焼炉の燃焼効率を向上させるなどの特長がある。(Wikipedia)
セリウムとは何か?
セリウム (cerium) は原子番号58の元素で、元素記号は Ce。軟らかく、銀白色の、延性に富む金属で、空気中で容易に酸化される。セリウムの名は準惑星ケレスに因んでいる。
セリウムは希土類元素として最も豊富に存在して、地殻中に質量パーセント濃度で0.046 %含んでいる。さまざまな鉱物中で見つかり、最も重要なのはモナザイトとバストネサイトである。
セリウムの商業的な用途はたくさんある。触媒、排出物を還元するための燃料への添加剤、ガラス、エナメルの着色剤などがある。酸化物はガラス研磨剤、スクリーンの蛍光体、蛍光灯などで重要な成分である。
灰色がかかった銀白色の金属で、常温・常圧での安定結晶構造は、面心立方格子構造(FCC、β型)だが730 °C以上で体心立方格子構造 (BCC) となり、低温では六方最密充填構造(HCP、α型)、更に-150 °C以下で再び面心立方格子構造が安定となる。比重は6.77、融点は804 °C、沸点は3,470 °Cで、融点と沸点の開きが大きいのが特徴。
空気中で酸化されやすく、次第に酸化セリウム(IV) (CeO2) となるほか、加熱すると160 °Cで発火する。水にはゆっくりと溶け(熱水と反応)、酸(無機酸)には易溶。アンモニアにも溶ける。原子価は+3、+4(ランタノイドで唯一4価が安定なのが特徴)。
モナズ石(モナザイト)やセル石(セライト)に含まれる。最も存在量の多い希土類元素だが、資源としては90 %以上を中国が産出している。
酸化物が研磨剤として用いられるほか、ガラス添加剤、製鋼原料、触媒としても使用される。化学反応における酸化剤としての用途は、使用量こそ少ないが非常に重要である。
ガラス研磨剤、紫外線吸着材、蛍光体、蓄光材料、顔料、着色剤、脱色剤、磁性材料、鉄鋼添加剤、合金添加剤、触媒、固体電解質、医薬品、超伝導物質など、用途は広い。(Wikipedia)
参考 Wikipedia: セリウム マイナビニュース: 産総研CO2吸着剤を開発
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