バイオプラスチックの長所・短所
 バイオプラスチック (bioplastic) とは、生物資源(バイオマス)から作られたプラスチックである。主にデンプンや糖の含有量の多いトウモロコシやサトウキビなどから製造される。技術的には木、米、生ゴミ、牛乳等からも製造可能であるとされている。

 バイオプラスチックの多くは生分解性プラスチックとしての性質を持つ。微生物によって水と二酸化炭素に分解され、その二酸化炭素を元に植物が光合成によってデンプンを作り出し、デンプンからまた生分解性プラスチックの原料を作り出すことができるので循環性がある。

 しかし、プラスチックの利点であった耐久性、機能性に劣り、我々の生活する環境に耐えられず、使用中あるいは保管中に分解が進み、使用不能となる可能性があった。


 今回、北陸先端科学技術大学と筑波大学の研究チームが、遺伝子組換えした大腸菌から得られるシナモン類を光化学的手法で加工して、世界最高耐熱性で、丈夫なポリイミドのバイオプラスチックを作るのに成功した。

 耐熱温度は、390℃超。得られた史上最高耐熱のバイオプラスチックシートは、透明性、低熱膨張率などの高い機能を持ち、電装部品や自動車部品などのガラスや金属の代替として期待される。


 世界最高耐熱のバイオプラスチックを開発
 遺伝子組換えした大腸菌から得られるシナモン類を光化学的手法で加工して、世界最高耐熱性のバイオプラスチックを作るのに、北陸先端科学技術大学院大学マテリアルサイエンス研究科の金子達雄准教授と筑波大学の高谷直樹教授らが成功した。JST課題達成型基礎研究「先端的低炭素化技術開発」の一環で、自動車部品や電装部品などの金属やガラスの代替物質として利用を目指している。

 植物や動物などの生物から作られるバイオプラスチックは、二酸化炭素削減に役立つ次世代の材料として期待されているが、強度や耐熱性などに問題があり、用途は限られている。この限界を超えるため、金子准教授らは、香辛料の成分で、堅い構造を持つシナモン系分子に注目した。まず大腸菌の遺伝子組み換えで、シナモン系分子のアミノ桂皮酸を大量に生産できるようにした。さらに効率的な光反応などで高分子にして、ポリイミドのバイオプラスチックを世界で初めて作製した。

 このバイオプラスチックは透明で、これまで最高耐熱と報告されている芳香族バイオポリエステルの305度を超える390~425度の耐熱性を備えていた。剛性や難燃性なども確認した。熱によるサイズの変化率も金属並みに低く、金属代替材料になりうる。自動車のエンジンの周囲の部材に使えば、自動車の軽量化の道も開ける。

 原料のアミノ桂皮酸は、石油化学的に生産すれば高価だが、今回の遺伝子工学による製造コストは1キロ当たり2千~4千円と食品添加物並みになると予想され、実用化の可能性は十分あるという。論文は2月18日、アメリカ化学会誌「Macromolecules」オンライン版で発表された。

 金子准教授は「どんな構造にすれば、有効なバイオプラスチックができるか、分子設計に5年間苦労した。この構造なら、バイオプラスチックの用途は飛躍的に拡大できる。透明性は思いもよらなかった。ガラスの代替材料としても活用できる」と話している。(サイエンスポータル)


 シナモンとは何か?
 シナモン(英:Cinnamon、学名:Cinnamomum verum、シノニムCinnamomum zeylanicum)とは熱帯に生育するクスノキ科の常緑樹の名、またその樹皮から作られる香辛料の名である。ニッキとも。また、生薬として用いられるときには桂皮(ケイヒ)と呼ばれる。特徴的な芳香成分はシンナムアルデヒド、オイゲノール、サフロールなど。

 原産地は中国南部からベトナムのあたりにかけてと推測されている。熱帯各地ではばひろく栽培される。香り高く、『スパイスの王様』と呼ばれる。

 世界最古のスパイスの1つといわれ紀元前4000年ごろからエジプトでミイラの防腐剤として使われ始めた。また、紀元前6世紀頃に書かれた旧約聖書の『エゼキエル書』や古代ギリシアの詩人サッポーの書いた詩にもシナモンが使われていたことを示す記述がある。

 中国では後漢時代(25年-220年)に書かれた薬学書『神農本草経』に初めて記載されている。日本には8世紀前半に伝来しており、正倉院宝物の中にもシナモンが残されている(「桂心」という名称で、薬物として奉納されたもの)。しかし樹木として日本に入ってきたのは江戸時代の享保年間のことであった。

 香辛料としてのシナモン(シンナモンとも)は上記のシナモンの樹皮をはがし、乾燥させたもの。独特の甘みと香り、そしてかすかな辛味がありカプチーノ等の飲料やアップルパイ、シナモンロールなどの洋菓子の香り付けに使われる。南アジア、中東、北アフリカでは料理の香りづけに頻繁に用いられる。

 インド料理の配合香辛料ガラムマサラの主要な成分でもある。インドのチャイの香りづけにもかかせない。近縁種のシナニッケイ(支那肉桂、ニッキ、C. cassia)の樹皮からも作られる。ただしシナニッケイからつくられるものはカシアと呼ばれ、成分が若干異なる。

 粉末状に加工したいわゆるシナモンパウダーのほか、樹皮のまま細長く巻いた形のシナモンスティック(カネール(フランス語: cannelle)とも)が広く流通する。

 シナニッケイやニッケイ(肉桂、C. sieboldii、シノニム:C. okinawense)は体を温める作用、発汗・発散作用、健胃作用を持つ生薬として利用されておりシナモンにもこれと似た利用法があるが、過剰摂取に対する注意が出されている。漢方では桂皮(ケイヒ)と呼ばれる。温熱の作用があるとされ、多くの方剤に処方されている。

 シナモンは、生であれ加熱調理後であれ、α-アミラーゼ、α-グルコシダーゼのいずれに対して、顕著な阻害作用を示し、糖尿病予防への可能性が示唆された。(Wikipedia)


 ポリイミドとは何か?
 ポリイミド (polyimide) とは、繰り返し単位にイミド結合を含む高分子の総称であり、通常は芳香族化合物が直接イミド結合で連結された芳香族ポリイミドを指す。芳香族ポリイミドは芳香族と芳香族がイミド結合を介して共役構造を持つため、剛直で強固な分子構造を持ち、且つイミド結合が強い分子間力を持つためにすべての高分子中で最高レベルの高い熱的、機械的、化学的性質を持つ。

 イミド結合により直接結合された芳香族環は共役構造を取るため、剛直で強固な構造を持つ。また、芳香族環が同一平面に配列して分子鎖が互いに密に充填(パッキング)され、極性の高いイミド結合が強い分子間力を有することから、分子鎖間の結合力も強固である。

 この強固な分子構造と分子間力の双方により、ポリイミドは通常の高分子にない優れた化学的・物理的性質を有するが、そのために不溶不融であるため、前駆体を用いて成形したあと、ポリイミドに転化することで利用される。

 物理的性質は、化学的構造や製膜条件により大幅に異なるが、市販のポリイミド樹脂(フィルム、コーティング)は下記の範囲の物性を有する。 弾性率: 3 - 7 GPA 破壊強度: 200 - 600 MPa 伸度: 40 - 90 % 線膨張係数: 10 - 40 ppm/℃ 融点: なし 熱分解温度: 500℃ 以上  通常の高分子に比べて破格の高強度、耐熱性を有する。

 電気絶縁性も優れており、電子回路の絶縁材料として用いられる。また線膨張係数は有機物としては非常に低く金属に近いため、電子回路の絶縁材料とするときに金属配線との熱膨張によるひずみが生じにくく、高い精度で配線加工が可能である。(Wikipedia)


参考 Wikipedia:ポリイミド シナモン 北陸先端科学大学院大学:390℃超、世界最高耐熱のバイオプラスチック開発!


バイオプラスチックの高機能化・再資源化技術
クリエーター情報なし
エヌ・ティー・エス
トコトンやさしいバイオプラスチックの本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ)
クリエーター情報なし
日刊工業新聞社

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