ノーベル物理学賞 赤崎勇・中村修二・天野浩の3氏
2014年のノーベル物理学賞が発表された。受賞したのは日本人科学者3人、赤崎勇・名城大教授、天野浩・名古屋大教授、中村修二カリフォルニア大教授だ。同じ日本人として名誉であり、とてもうれしい。
さて、赤崎勇氏、天野浩氏、中村修二氏の受賞研究といえば、「青色発光ダイオード」である。1989年名古屋大学で、赤崎氏、天野氏が窒化ガリウムを使った、高輝度青色LEDの開発に成功した。
そして、量産化に成功したのが、1993年、日亜化学の研究者だった中村修二氏である。先日、LED照明を買いに行ったが、現在のLED照明は様々な色を選べるし、量産化のおかげで我々庶民も安く購入できる。中村氏の功績は大きい。

1980年代中頃までに、光の三原色、赤、緑、青に必要な純赤色は実用化されていたものの、青色は実用的な高い輝度を出す製品は無かった。今日昼光色、蛍光色などLEDの色が自由に選べるのも青色LEDが登場してからのことである。
中村氏は窒化ガリウムの純粋な結晶を得るために、「ツーフローMOCVD(Metal Organic CVD)」という珍しい手法をとった。一つの吐き出し口からアンモニアと有機金属ガリウムのガスを吹きつけるという一般的なMOCVDに加え、さらに基板の上を別の吐き出し口からのガスで抑えつけてやるというものだった。結果的に、これが最大のブレイクスルーとなった;。
ノーベル物理学賞に日本人3人 中村修二教授ら
スウェーデン王立科学アカデミーは9月7日、今年のノーベル物理学賞を、赤崎勇・名城大教授(85)と天野浩・名古屋大教授(54)、中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(59)の日本人3人に贈ると発表した。赤崎さんと天野さんは青色の発光ダイオード(LED)を初めて作り、中村さんが青色LEDの製品化に成功した。
日本のノーベル賞受賞は、2012年の山中伸弥・京都大教授に続いて20、21、22人目となる。物理学賞は2008年の小林誠・高エネルギー加速器研究機構特別栄誉教授と益川敏英・名古屋大素粒子宇宙起源研究機構長、南部陽一郎・米シカゴ大名誉教授(米国籍)の3人以来8、9、10人目。
授賞式は12月10日にストックホルムである。賞金の800万クローナ(約1億2千万円)は受賞者3人で分ける。
LEDは電気エネルギーを光に変える半導体素子だ。フィラメントを電気で熱したときに出る光を使った白熱電球と違い、電気を直接光に変えるので効率が良く、熱による材料の劣化も少なくて寿命が長い。光の3原色をLEDで実現すれば幅広い色を再現できて用途が広がるが、青色LEDはなかなか作れず、実用化が競われていた。
青色の光を出せる材料はセレン化亜鉛か窒化ガリウムに絞られていた。窒化ガリウムはきれいな結晶をどうしても作れず、多くの研究者が撤退する中で、赤崎さんと天野さんは窒化ガリウムにこだわり続けた。試行錯誤の末、名古屋大教授時代の1985年、高輝度のLEDに欠かせない良質な結晶を作製。1989年、窒化ガリウムの半導体で青色に光るLEDを作ることに成功した。
中村さんは日亜化学工業(徳島県阿南市)の研究員の時代に、製法を進化させた。1990年代前半に、アンモニアと水素にガリウムガスを混ぜて基盤に吹き付け、結晶を大きくする方法を開発。青色LEDの製品化にこぎ着けた。
3原色がそろったことで、白熱電球や蛍光灯に変わるLED照明が実用化。室内照明や携帯電話、交差点の信号機のほか、省電力・長寿命の大型フルカラー・ディスプレーなどに使われるなど、爆発的に普及した。また。青色LEDを発展させた青色半導体レーザーも実用化され、ブルーレイディスクの読み取りや記録に使われている。(毎日新聞)
青色発光ダイオードとは何か?
青色発光ダイオードは主に窒化ガリウム (GaN) を材料とする、青色の光を発する発光ダイオードである。青色LEDとも書かれる。日本の化学会社、日亜化学工業株式会社が大きなシェアを占めている。他の有力メーカーとしては、豊田合成、星和電機などがある。GaN系化合物を用いた発光ダイオードの開発とそれに続く青色半導体レーザーの実現により、紫外から純緑色の可視光短波長領域の半導体発光素子が広く実用化されるに至った。
発光ダイオードは低電力で駆動することができる光源のため、ディスプレイへの応用が期待されていた。RGBによるフルカラー表示のためには光の三原色(赤・緑・青)の発光素子が必要であるが、このうち1980年代中頃までに純赤色は実用化されていたものの、青色は実用的な高い輝度を出す製品が無かった。また黄緑色は早くから実用化されていたが、純緑色は青色と同じくGaN系半導体材料が用いられるため、純緑色LEDの実用化は青色LEDの登場以降である。これらのことから、発光ダイオードによるフルカラーディスプレイの実現は困難だった。
純青色発光の実現のためセレン化亜鉛 (ZnSe) 系化合物や炭化ケイ素 (SiC) を用いての研究が古くから行われ、ZnSe系による青緑 - 緑色発光ダイオードの開発に至った他、SiCの青色発光ダイオードは弱い発光強度ながら市販もされた。しかしその後、GaN系化合物による青色発光ダイオードが急速に普及したため、現在ではこれらの材料系の技術は白色発光素子や基板などの用途に転用されている。
窒化ガリウムを用いた高輝度の青色LED開発に関して、基礎技術の大部分(単結晶窒化ガリウム (GaN) やp型結晶、n型結晶の作製技術やpn接合のGaN LED)は赤崎勇、天野浩らにより実現されている。また発光層に用いられているInGaNはNTTの松岡隆志(現・東北大学教授)らによって実現されている。それらの技術を使って製品化したのが日亜化学工業である。
2001年8月、中村修二が職務上で1993年11月に発明した(職務発明)「404特許」を巡って元勤務先の日亜化学工業を提訴し、同特許の原告への帰属権確認ないし譲渡対価を巡って係争した(青色LED訴訟)。この訴訟は企業と職務発明者との関係について社会の関心を広く喚起し、日本の発明史上最高金額となる8億4000万円を会社側が支払うことで和解した。
2004年12月、東北大学金属材料研究所の川崎雅司(薄膜電子材料化学)らの研究チームはより安価な酸化亜鉛を用いた青色発光ダイオードの開発に成功した。青色LEDの再発明ともいわれている。この成果は同年12月19日付の英科学誌ネイチャーマテリアルズ(電子版)にて発表している。高コストの窒化ガリウムに取って代わる可能性もある。
赤崎、天野、中村の三名は青色発光ダイオードに関する業績が評価され、2014年のノーベル物理学賞を受賞した。
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