2015年10大科学ニュース

 今年も色々なことがあった。うれしいニュースとしては、9月のラグビーW杯で、日本が歴史的3勝をあげる快挙があった。

 エディー・ジョーンズをHCに迎え、独特のポーズでゴールを狙う五郎丸歩選手が一躍有名になった。グループリーグ初戦では、過去優勝2回の強豪、南アフリカと対戦、終了間際にトライが決まり34-32で逆転勝ち。国際統括団体ワールドラグビーの「W杯の最高の瞬間」賞にも選ばれた。

 また、ノーベル賞では物理学賞では梶田隆章さん、医学・生理学賞で大村智さんが受賞した。また、「あかつき」金星探査機による周回軌道投入に成功したのは素晴らしかった。日本の科学技術が世界のトップを走っているのは間違いがない。スポーツや科学技術で日本の存在感を示せた1年だった。

 残念な出来事としては、日本の東京オリンピックの新国立競技場のデザインやエンブレムの取り消し事件があった。どうみても最初に決めたデザインが一番かっこいいいと思う。そう思うのは私だけだろうか?

 そして、フランスで起きた同時多発テロ。世界では、宗教的対立関係の根深いことを思い知らされた感じがした。それに対して、国内の宗教について、公平に報道しない日本のマスコミの不正や、日本政府の態度がはっきりしないことが情けない。ISによる湯川氏、後藤氏の日本人拘束事件が起きたのも、今年の1月のことである。

 世界は混迷を深めている。このように、経済と科学技術はあるが、宗教について正邪がわからず、無視し続けるマスコミ。どちらかというと中国に似た、共産主義国や全体主義国に近い、日本のおかれている状況を考えながら、それでも、この国を繁栄・発展させる2015年の10大科学ニュースを選んでみた。


 第10位 神の怒りか?天災の続く日本!

 わが国では古来「天災は神意である」という言い伝えがある。それは間違っていないと思う。今年も不気味な天変地異が続いている。

 気象庁が5月6日に、箱根山(神奈川県箱根町)の大涌谷周辺で、小規模な水蒸気噴火が発生する恐れがあるとして噴火警報を発表し、噴火警戒レベルを1(平常)から2(火口周辺規制)となり、6月30日には噴火警戒レベルは3に引き上げられた。

 その後、11月20日午後2時、気象庁が箱根山(大涌谷周辺)の噴火警戒レベルを1(活火山であることに留意)に引き下げたが、大涌谷周辺では、現在も高い濃度の火山ガスが観測されているため、引き続き、立ち入りの規制が行われている。

 北関東や東北の記録的豪雨で、茨城、栃木、宮城3県の避難者数は、9月12日時点で5618人に上った。床上浸水の被害は約4700棟に及ぶ。気象庁は後に、9月9日から11日に関東地方と東北地方で発生した豪雨について「平成27年9月関東・東北豪雨」と命名した。

参考 http://sciencejournal.livedoor.biz/archives/5021797.html http://sciencejournal.livedoor.biz/archives/5106885.html


 第9位 NASAの探査機「ニューホライズンズ」冥王星に接近

 7月14日に冥王星に最接近した探査機「ニューホライズンズ」は膨大な撮影データを少しずつ地球に送信中であるが、観測データから、驚くべきことが発見されている。

 準惑星の冥王星の表面は豊かな色彩にあふれていることが分かった。NASAが9月15日に発表したこの分析結果に、天文学者らは非常に驚いている。

 前回の報告では、冥王星には大気があり、窒素が循環していることが発見された。循環という点において冥王星が地球のようであることは驚きであった。

 今回初めて発表された、ニュー・ホライズンズの観測データの科学分析結果は、冥王星の赤道付近に暗赤色の部分があり、緯度が高くなるにつれて赤が薄くなり、青みがかってくることを明らかにした。

参考 http://sciencejournal.livedoor.biz/archives/5126365.html


 第8位 経済・流通革命「ドローン宅配」

 政府は12月15日、地域を絞って規制を緩める国家戦略特区に千葉市を指定し、小型無人飛行機(ドローン)を使った宅配ができるようにすると発表した。米通販最大手アマゾンが参入する方針で、3年以内の事業化をめざしている。実現すれば、世界初となる可能性がある。

 採算が問題だが、意外なことに効率が良い。何しろ渋滞する都心を車で運ぶ必要がない。配送費用は1/8、配送時間も1/4になる。掛け算すると1/32になりかなりお得だ。

 さらに、スマホにスーパーコンピューターが入るのは、10年後。その時にはドローンもガラッと変わる。あたかも人が乗っているかのように自律飛行が完璧になる。

参考 http://sciencejournal.livedoor.biz/archives/5154531.html


 第7位 COP21 歴史的合意

 COP21が閉幕した。「世界全体が参加する前例のない合意だ」「合意はそれぞれの国にとって、完璧なものではない。しかし、地球にとっては成功だ」と議長国フランスのオランド大統領は胸を張った。各国の代表らは一斉に立ち上がり、会場には割れるような拍手が響いた。

 パリで開かれていた国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)は、日本時間13日午前、地球温暖化対策の新たな枠組みとして法的拘束力がある「パリ協定」を採択した。

 交渉は最後まで難航したが、会議日程を1日延長し最終的に世界の195カ国が合意した。パリ協定は京都議定書に代わる18年ぶりの新たな枠組みになる。

 米国、中国、日本などの排出大国が最初から不参加だったり途中から離脱するなどした京都議定書と異なり、先進国、発展途上国を問わず世界各国が温暖化の危機感を共有し、今世紀後半に世界の温室効果ガス排出量を実質的にゼロにする「ゼロ炭素化」を目指すことになった。

 協定はまず、温暖化による深刻な影響を防ぐために産業革命前からの気温上昇を「2度未満」に抑えることを目的とする、と宣言した。交渉で一部の島国が「2度未満でも海面上昇などにより大きな被害が生じる」と主張したことを受けて「1.5度に抑える」という努力目標も加えた。

 最大の焦点である温室効果ガスの長期的削減目標については、具体的な数値は入らなかったものの、世界全体の排出量をできる限り早期に増加から減少に向かわせ、今世紀後半に実質的にゼロにすることを盛り込んだ。「実質的」という表現が入ったのは、「排出量ゼロ」を森林などによる吸収量を差し引いた結果の「ゼロ」と定義したため。


参考 http://sciencejournal.livedoor.biz/archives/5153543.html


 6位 ゲノム編集 遺伝子組換えを容易にする技術

 遺伝子工学(Genetic engineering)は、遺伝子を人工的に操作する技術を指し、特に生物の自然な生育過程では起こらない人為的な型式で行うことを意味している。遺伝子導入や遺伝子組換えなどの技術で生物に遺伝子操作を行う事を一般に指す。

 最近注目されている遺伝子工学の一つに“遺伝子編集(ゲノム編集)”というものがある。ゲノム編集(Genome Editing)とは、生物の遺伝子をねらいどおりに操作できる技術で、いわば生命の設計図を自在に書き換えることができるもの。

 これまでにも「遺伝子組み換え」と呼ばれる技術はあったが、大きな違いは、「偶然」ではなく「ねらいどおり」に操作できる点である。

 これまで、特定の場所に別の遺伝子を入れる作業はウイルスなどを使って、何千回、何万回試して初めて入れることができるという「偶然」に頼っていて、簡単ではなかった。

 これに対し、ねらいどおりにできるようにしようと開発されてきたのが「ゲノム編集」の技術だ。鍵となったのは、遺伝子を切り貼りするはさみの役割をしている物質をねらった場所に届ける技術の開発だ。

 その結果、狙った遺伝子を働かなくさせたり、その場所に別の遺伝子を入れたりすることが簡単かつ正確に行えるようになり、研究が急速に進展するようになった。

参考 http://sciencejournal.livedoor.biz/archives/5080548.html


 第5位 自動車の未来技術 自動運転技術、空飛ぶ技術も?

 独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は9月18日、米環境保護局からディーゼル車に排ガス規制を回避するソフトウェアを搭載していたことを指摘され、一連の不正疑惑が広がった。リコール(回収・無償修理)対象車は全世界で1100万台にのぼる見通しとなり、ウインターコーン最高経営責任者(CEO)は9月23日に辞意表明した。

 そんな中、安倍晋三首相は10月4日、京都市内で開幕した「科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム(STSフォーラム)」の第12回年次総会であいさつし、2020年の東京五輪・パラリンピックまでに、自動車の「自動運転技術の実用化と普及」を実現させる方針を明らかにした。

 完全自動運転技術はレーダー、LIDAR、GPS、カメラで周囲の環境を認識して、行き先を指定するだけで自律的に走行する。そのため現在では基本的に車のセンサー主体で自動運転できるロボットカー開発が中心となっている。

 2015年は、1989年公開の映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」の設定の年だったことも話題になった。映画の中で主人公のマーティ・マクフライが乗ったスケボーが空を飛んだ。

 2015年には、トヨタのレクサスが広告キャンペーン用に製作したホバーボードが、空飛ぶスケボーとして注目された。液体窒素で冷却した超伝導体と磁石を利用して浮いている。将来の車もこのように宙を飛ぶようになるかもしれない。


参考 http://sciencejournal.livedoor.biz/archives/4958705.html


 第4位 ひまわり8号 ハヤブサ2 あかつき金星周回軌道 油井さんISS長期滞在

 2015年のJAXAの活躍も素晴らしかった。新型の気象観測衛星「ひまわり8号」の運用が7月7日、正式に始まった。センサーなどの性能が先代の7号より大幅に向上。「カラー撮影」にも対応する世界最高の実力で、台風の進路予想の精度向上やゲリラ豪雨などの異常気象の監視に役立つと期待されている。

 JAXAの小惑星探査機「はやぶさ2」が12月3日、地球の引力を使って軌道を変更し、加速する「地球スイングバイ」のため、地球へ接近した。打ち上げからちょうど1年、久しぶりに地球へ近付くはやぶさ2の雄姿を記録しようと、国内外の天文台がはやぶさ2の撮影に挑み成功した。

 JAXAは12月7日午前、金星に接近した探査機「あかつき」を金星周回軌道に投入するため、あかつきのエンジン噴射を試みた。JAXAによると、予定通り20分間の噴射が確認され、軌道投入に成功したとみられる。あかつきは2010年に金星周回軌道投入に失敗しており、今回が最後の挑戦だった。

 12月12日未明、7月からの国際宇宙ステーション(ISS)での長期滞在を終えて地球に帰還した油井亀美也(ゆいきみや)宇宙飛行士(45)は、「無事に地球へ着きました!」と、さっそくツイッターに投稿した。日本人宇宙飛行士の活躍で、2024年まで国際宇宙ステーションの運用延長することが決定した。

参考 http://sciencejournal.livedoor.biz/archives/5150087.html


 第3位 北陸新幹線開通 次は北海道新幹線、リニア中央新幹線

 3月14日、北陸新幹線が開業した。北陸地方だけでなく、首都圏にとっても朗報だ。観光目的で北陸を訪れる人が増えるのは容易に予想される他、ビジネスマンにとっても持ち時間が増え、都心からの出張もしやすくなる。

 ビジネスを通じて北陸と都心の結びつきが強まると、北陸への企業立地が進み、地域間の交流人口が拡大。駅前を中心に投資が進めば、都市機能が充実し、それがまた新たな投資を呼びこむといったサイクルが確立され、地方活性化につながっていく。

 あまりニュースで取り上げられなかったが、圏央道も3月8日、全面開通。最後の整備区間だった海老名JCT~寒川北インターチェンジ(IC)の4.3キロがつながり、県土を南北に貫く大動脈が完成。湘南エリアが中央道や関越道方面などと直結した。

 2016年、3月26日には、北海道新幹線(新青森 - 新函館北斗間)が開業予定だ。2027年、にはリニア中央新幹線(全長約285kmの東京・名古屋間)が開業の予定である。交通革命でこの国はまだまだ豊かになる。

参考 http://sciencejournal.livedoor.biz/archives/4986028.html


 第2位 ノーベル物理学賞梶田さん、化学賞大村さん

 今年のノーベルの受賞者に、日本人が2人選ばれた。1人は物理学賞の梶田隆章さん、もう一人は医学・生理学賞の大村智さんである。

 梶田さんは物質のもとになる最も基本的な粒子のひとつ「ニュートリノ」に質量があることを世界で初めて観測によって証明し、「ニュートリノ」には質量がないと考えられてきたそれまでの素粒子物理学の定説を覆した。

 大村さんは、微生物が作り出す有用な化合物を多数発見し、医薬品などの開発につなげた。大村氏が見つけた化合物は抗生物質で、熱帯地方の風土病の薬などですでに実用化されており、アフリカや中南米などで延べ10億人以上に無償提供され、多くの人々を失明の危機から救ったことが評価された。

 日本のノーベル賞は昨年の物理学賞3人に続く受賞で計23人。医学・生理学賞は利根川進氏、山中伸弥氏に次いで計3人となった。

参考 http://sciencejournal.livedoor.biz/archives/5119954.html

http://sciencejournal.livedoor.biz/archives/5121053.html


 第1位 H2Aロケット・MRJ 国産、民間の技術でこの国を活性化

 今年はJAXAと民間業者(三菱重工)が共同開発した、H2Aロケットの打ち上げ成功があった。三菱重工はあの名機ゼロ戦を産んだ会社だ。民間業者が活躍することで経済は活性化する。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月24日、15時50分に種子島宇宙センターより打ち上げたH2A29号機に搭載したカナダTelesatの通信放送衛星「Telstar 12 VANTAGE」の分離に成功したと発表した。

 今回の打ち上げは、H2Aロケットとして初の商業打ち上げとして注目を集めていた。テレビドラマ「下町ロケット」は、池井戸潤の原作だが、小さな工場でロケットの部品をつくる物語だ。ロケットの部品は1万点にもおよぶという。商業目的のロケット生産は多くの仕事を生み出し、日本経済を潤す。

 13号機から、H2Aロケットの打ち上げ事業は三菱重工業に移管され、JAXAは打ち上げ安全監理業務(地上安全確保業務、飛行安全確保業務、カウントダウン時の総合指揮業務等)を実施している。

 また、11月11日には国産初のジェット旅客機MRJが初めて飛んだ。国産旅客機の開発は、プロペラ機のYS11以来、半世紀ぶり。欧米の下請けに甘んじてきた日本の航空産業が、世界市場に再び挑む。

 MRJとはミツビシ・リージョナル・ジェットのこと。三菱重工業とその子会社、三菱航空機がてがける小型ジェット旅客機である。経済産業省が事業者を公募し、これに応じた三菱重工が2008年から開発を本格化させた。座席数は約70席と約90席の機種がある。

参考 http://sciencejournal.livedoor.biz/archives/5139588.html


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