連星に惑星はできにくい 

 連星(binary star)というとは2つの恒星が両者の重心の周りを軌道運動している天体である。通常は明るい方の星を主星、暗い方を伴星と呼ぶ。また、3つ以上の星が互いに重力的に束縛されて軌道運動している系もある。

 夜空に輝いている星のうち約25%、生まれたばかりの星については半分以上が連星だといわれている。つまり、宇宙にある恒星は、誕生の時点では半分以上、成熟した時点でも4分の1くらいが連星系をなしているという。太陽は今は単独の星なのだが、昔はひょっとしたら連星だったかもしれない。

 それほど、宇宙には連星の方が多い。そういう中でどういうふうに惑星が生まれるかはこれまで謎であった。2つの恒星がペアを成す連星の周囲を公転する惑星を「周連星惑星」という。



 2つの恒星がペアを成す連星の周囲を公転する「周連星惑星」は2011年に初めて見つかったばかりで、まだその発見例は少ない。理論のうえでも、連星周囲の重力環境では惑星の材料となる岩石の小天体がぶつかりあい粉々になってしまうので、惑星形成が難しいとされる。

 2014年には英・ブリストル大学物理学科のZoë Leinhardtさんらによるコンピュータシミュレーション研究により、こうした周連星惑星は連星からもっと離れた場所で形成され、移動してきたらしいことがわかった。

 今回、二つの恒星が互いを回り合う「連星」の周りを回る惑星としてはこれまでで最大の惑星を米サンディエゴ州立大学などの共同研究チームが見つけた。木星とほぼ同じ大きさで天体としての年齢は地球に比較的近いという。米航空宇宙局(NASA)が6月14日発表した。

 米航空宇宙局(NASA)によると、サンディエゴ州立大学とNASA・ゴダード宇宙飛行センターなどの共同研究チームは、NASAのケプラー宇宙望遠鏡で、地球から約3,700光年離れた連星で惑星を発見した。約44億年前に誕生したとみられ「ケプラー1647b」と命名された。この惑星の公転周期は1,107日で木星と同じくガスが主成分という。 


2つの太陽を持つ木星サイズの系外惑星

 系外惑星探査衛星「ケプラー」の観測により、これまで連星系に発見された中では最大のものとなる系外惑星「ケプラー1647b」が見つかった。1100日以上をかけて2つの太陽の周りを回っている。

 ケプラー1647は、はくちょう座の方向約3700光年の距離に位置する、太陽より少し大きい星と少し小さい星からなる連星系だ。この連星系の周りに見つかった系外惑星ケプラー1647bは木星と同じくらいの質量と半径を持っており、惑星が主星の前を通り過ぎる現象(トランジット)を起こしている「周連星惑星」としては、これまで発見されているうちでは最大のものとなる。年齢は約44億歳で、約46億歳の地球とほぼ同じだ。

 ケプラー1647bは、これまでにトランジット法で確認されている系外惑星の中では最長となる1107日の周期で2つの親星の周りを回っている。この長い公転周期のため、大きな惑星であるにも関わらずこれまで発見されてこなかったようだ。

 また、惑星は連星から約4億km(太陽系では小惑星帯のあたり)離れており、これまで見つかったどの周連星惑星よりも親星から遠い。この距離はちょうどケプラー1647系のハビタブルゾーン(生命居住可能領域)に当たっているが、ケプラー1647bは木星のようなガス惑星なので生命が存在する可能性はなさそうだ。もし惑星の周りに大きな衛星が存在すれば、そこには生命に適した環境があるかもしれない。

 「生命を育めるかどうかはさておき、ケプラー1647bは重要な存在です。理論的に存在が予測されている長周期の周連星惑星の、氷山の一角だからです」(米・サンディエゴ大学 William Welshさん)。


 周連星惑星とは何か?

 周連星惑星(Circumbinary planet)とは、単一の恒星の代わりに連星系の周囲を公転する惑星のことである。太陽は単一星なので、この用語は太陽系外惑星に対してのみ使われる。2009年12月までに、PSR B1620-26、おとめ座HW星の2つの連星に周連星惑星を持つ惑星系が確認され、他にもいくつかの連星に周連星惑星の候補が観測されている。

 周連星惑星が最初に発見された系は、PSR B1620-26 である。これはミリ秒パルサーと白色矮星から構成された連星で、M4球状星団に属している。最初に第3の天体が報告されたのは1993年のことで、5年間の観測によりその正体が惑星であることが示された。2003年には、この惑星は木星の2.5倍の質量を持ち、軌道長半径23AUの真円に近い軌道に沿って周回しているという研究が発表された。

 2008年には、おとめ座HW星と呼ばれるB型準矮星と赤色矮星からなる食連星の周囲に、複数の惑星が存在すると報告された。内側の惑星は最低質量が木星の8.47倍、外側の惑星は19.23倍、公転周期はそれぞれ9年と16年である。

 質量を基準とした定義によると外側の天体は褐色矮星に分類されるが、発見チームは軌道の性質に基づき、この天体が惑星と同じように原始惑星系円盤で形成された可能性を主張している。これらの惑星は元はより質量の小さい天体だったが、連星の主星が赤色巨星になり質量を放出した際に質量が付け加わったと考えられている。

 2011年には、ケプラーの成果として、2つの太陽を回るケプラー16bが発見された。この星系、当初は単純な食連星系と見られていたが、食が起きていないときにも光が減少する事が発見され、第3の星の可能性が検討された。その結果、229日周期で回る土星クラスの惑星が発見された。

 2012年には、2つの太陽を回る2つの惑星がケプラー47で発見された。(Wikipedia: 周連星惑星)


参考 サイエンスポータル: 連星を回る大惑星を発見NASA望遠鏡で米チーム


太陽と恒星―「静かなる誕生」から「激動の死」へ (NEWTONムック)
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nature [Japan] September 27, 2012 Vol. 489 No. 7417 (単号)
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