日本の太陽光発電の普及率
2012年に始まった住宅用太陽光発電の固定買取制度(FIT)では、当初42円/1kWだった。この高めの買い取り価格のおかげで家庭用太陽光発電は急速に普及した。が、高い買い取り価格は、太陽光発電を導入していない家庭の電気代に転嫁されているわけで、太陽光発電に対する行きすぎた優遇処置を是正する方針を打ち出した。
住宅用太陽光発電の固定買取制度は、一度買取制度が認可されると、以後10年間同じ価格で買い取って貰える。2016年度の家庭用買取価格は前述のように31-33円/1kWだ。この価格を2019年に家庭用24円/1kW程度に引き下げる。つまり、家庭用買い取り価格は電力会社が家庭向けに販売する電力価格と揃えようという方針だ。
経産省は太陽光など再生可能なエネルギーによる発電などで、光熱費を実質ゼロとする「ゼロエネ住宅」を2020年に新築住宅の半数とする計画を立てている。買い取り価格を家庭用電気料金にまで下げて過度な優遇を改めるという。
太陽光発電協会(東京・港)が発表した2015年度の太陽光パネルの国内出荷量は前年度比23%減の714万キロワットになった。前年割れは8年ぶりのことである。固定価格買い取り制度に伴う大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設ラッシュが終息したのが響いた。各社は住宅用など新たな需要開拓に知恵を絞るものの、特需の反動は大きく市場が好転するには時間がかかりそうだ。
国内出荷量はこれまで、2007年度の21万キロワットを底に右肩上がりで成長を続け、14年度は922万キロワットだった。特に13年度の出荷量は12年度に比べ2倍以上だった。
しかし、太陽光バブルがはじけたとはいえ、国内市場がなくなる見方は少ない。住宅用への期待が再び高まっているからだ。
政府は年間の電気やガスのエネルギー消費量を、太陽光で生み出すエネルギーと差し引きゼロとする「ゼロエネルギー住宅」(ZEH)の普及を進める。20年には新築住宅の過半数をZEHにする方針だ。積水ハウスはすでに販売する戸建ての7割以上をZEHとしている。
ただ15年度の住宅用パネル出荷量は前年度比22%減だった。リフォームを伴う既築住宅向けが落ち込んだ。「14年4月の消費増税をにらんだ駆け込み需要の反動が15年度は続いた。ZEH効果は住宅各社が本格的に動く17年以降になりそう」(調査会社の富士経済)との見方もある。
メガソーラーが主力だった外資系パネル各社も住宅用にカジを切り始めた。対する日本勢は最大手のシャープが台湾企業傘下に入ったことで、パネル事業の大幅な見直しが検討されている。太陽光発電市場は住宅向けが活発化するまで、我慢の季節に入った。
エネルギー革命 日本だけが置き去りか
世界の動きはどうだろうか?
「われわれの既存電力は再生可能エネルギーのバックアップのためにある」。ドイツの大手電力会社幹部は言い放つ。欧州、中国、中東さえ、世界は変わり始めている。ためらう日本を置き去りに。
昨年ドイツでは、総発電量に占める再生可能エネルギー(水力を含む)の割合が30%に到達した。二位の褐炭火力は24%。風力、特に洋上風力の増設が目立つ。
日本では12.6%(2014年度)。うち8.2%が水力だ。ドイツは3.11を教訓に、2022年までの原発廃止をめざし、再生エネの割合を80%以上にするとの目標を掲げている。
ことし元日、ドイツ(欧州)最大手の電力会社「エーオン」が、売り上げの大半を占める石炭火力部門などを「ユニパー」という新会社をつくって切り離し、再生エネ中心の会社に生まれ変わった。エネルギーの未来を見据えたこの大胆な改革は“エーオン・ショック”と呼ばれている。
ドイツは特別な国なのか。
自然エネルギー財団(東京)によると、今年第一・四半期の米国の再生エネ導入量は、化石燃料の70倍以上も増加した。中国の研究機関は昨年、2050年までに電力の85%を再生エネで賄うビジョンを公表した。
産油国のドバイでさえ、太陽光による電気の売値が、わずか一年半で半分に値下がりした。それだけ増えたということだ。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、今後十年で太陽光の発電コストは59%、洋上風力は35%、削減可能と予想する。
一方、原発の建設コストは3.11以降、安全対策の必要性から高騰を余儀なくされている。膨大な廃炉コストも経営の重荷になる。
英南西部で2025年の稼働をめざすヒンクリー・ポイント原発は、当初百二十億ポンド(約二兆円)と見込んだ事業費がすでに1.5倍に膨らんだ。「原発は割に合わない」。もはや世界の常識だ。
膨らむ再生エネ市場には、毎年30兆円の資金が流れ込んでいる。ドイツの狙いはそこにもある。3.11や温暖化対策だけではない。コストと投資。資金の流れがエネルギー社会の基盤を根底から変えつつある。
原発事故に膨大なコストを費やしながら、ウランや化石燃料への依存から逃れられない日本こそ、特別な国とは言えないか。風向きではなく、時代が大きく変わる。乗り遅れてはならない。
再生可能エネルギーが石炭火力を上回る 英国
英国の再生可能エネルギーの割合が、2015年第2四半期で全体の25.3パーセントを占め、初めて石炭火力(20.5パーセント)や原子力発電(21.5パーセント)を上回った。しかし、先行きには国内で懸念が広がっている。
2015年第2四半期、英国では再生可能エネルギーからの発電量が、初めて石炭火力を上回った。
英国のエネルギー・気候変動省が公表した最新データ(PDF)によると、再生可能な資源による発電が全体の25.3パーセントとなっている(石炭火力は20.5パーセント、原子力発電は21.5パーセント。前年同期は、再生可能エネルギーが15.7パーセント、石炭火力が28.2パーセント、原子力発電は22.2パーセントだった。なお、日本の2013年データでは、再生可能エネルギーは全体の4.7パーセント)。
これは、過去12カ月の間に設置された風力タービンとソーラーパネルの増加に加え、天候に恵まれたことによる成果だ、と専門家たちは考えている。
ただし、欧州委員会の予測によると、英国は、欧州連合(EU)の中で再生可能エネルギーの割合が最も低い国(PDF)のひとつであり続けるだろう。
例えば、2013年に英国内で生成された再生可能エネルギーは840万石油換算トン(TOE)だった。一方、ドイツは3,368万TOE、スペインは1,737万7,000TOE、フランスは23,073TOEの再生可能エネルギーを生成している。
英国の再生可能エネルギーの内訳を見ると、廃棄物系バイオマス発電が61.7パーセントと最も多く、次が風力発電の29.1パーセントになっている。水力発電と太陽光発電では、北欧諸国のいくつかにも大きく後れを取る状況だ。
さらに、ここ数カ月間、保守党の大臣たちが補助金の再配分を求めたことを受け、英国の再生可能エネルギー利用に向けた取り組みが縮小されるのではないかという懸念が広がりつつある。
英国の再生可能エネルギー事業者団体「RenewableUK」の最高執行責任者、マリア・マカフェリーは『The Guardian』紙に対して次のように語った。「われわれは5月以来、さまざまな大臣から、失望を禁じえない内容の発表をいくつも聞かされてきました。残念なことですが、これは、政府の中枢で建設的な展望が欠如していることをさらけ出すものです」
アル・ゴア氏の「不都合な真実」
欧米では相変わらず再生可能エネルギーの普及が進んでいるようだ。その中で日本はやや遅れているのが心配だ。
欧米のこうした状況を背景に、あのアル・ゴア氏がTEDで「気候変動についての楽観論」というテーマで講演をした。アル・ゴア氏というと以前にも「不都合な真実」でTEDで講演。地球温暖化は先進国による二酸化炭素排出量の増加によるものだと主張した内容が有名だが、なるほどと思わせる説得力があった。ただ、未来があまりにも悲惨すぎて、少し敬遠したいところがあった。大衆は不幸になる予言は聞きたくないものなのだ。
そうした反省があったからだろうか、今回は、再生可能エネルギーの普及した明るい未来を語っている。
TEDとは、Technology Entertainment Designの略で、ニューヨーク市に本部があるLLC。カナダのバンクーバー(過去には米カリフォルニア州ロングビーチ、モントレー)で、毎年大規模な世界的講演会を主催している非営利団体のこと。
TEDが主催している講演会の名称をTED Conference(テド・カンファレンス)と言い、学術・エンターテイメント・デザインなど様々な分野の人物がプレゼンテーションを行なう。講演会は1984年に極々身内のサロン的集まりとして始まったが、2006年から講演会の内容をインターネット上で無料で動画配信するようになり、それを契機にその名が広く知られるようになった。
講演者には非常に著名な人物も多く、ジェームズ・ワトソン(DNAの二重螺旋構造の共同発見者、ノーベル賞受賞者)、ビル・クリントン(元アメリカ合衆国大統領、政治家)、ジミー・ウェールズ(オンライン百科事典Wikipediaの共同創設者)といった人物がプレゼンテーションを行なっているが、最重要事項はアイディアであり、一般的には無名な人物も数多く選ばれ、プレゼンテーションしている。
講演会に出席するには、審査を受けた上で年会費8,500ドルを支払ってTEDの会員になる必要がある。1984年に、リチャード・ソール・ワーマンとハリー・マークスによって設立された。1990年から毎年カンファレンスが開催されている。カンファレンスは、1993年5月7〜9日に神戸で開催されたことがあり(TED 4)、2013年まではカリフォルニア州のモントレーやロングビーチで開催されていた。2002年の講演会の後にプロジェクトは設立者のワーマンの手を離れ(ワーマンはTEDMEDに専念)、事業はクリス・アンダーソン(元WIRED誌のクリス・アンダーソンとは同姓同名の別人)に引き継がれた。
以下はアル・ゴア氏のTEDの講演内容である。
アル・ゴア氏「気候変動についての楽観論」
今回は「夢」がテーマだと聞いて とても楽しみにしていましたが 私のセッションは 「悪夢?」だったんですね。(笑)
確かに気候危機についてなら当てはまります。いくつか悪い知らせがありますが、もっとたくさんの良い知らせがあります。これから3つの質問を提起します。最初の質問への答えは、必然的に少し悪い知らせが含まれます。でも 待ってください、第二、第三の質問への答えは本当にとても前向きなものです。
最初の質問は「私たちは本当に変わらなくてはならないのか?」です。もちろんアポロ計画や、その他のことで環境保護運動は変わり、本当に現代的な環境運動が始まりました。
この「地球の出」の写真を人々が目にした18か月後に、最初のアースデイが開催されました。そして宇宙から地球を振り返ることで 私たちは自分自身について、多くを学びました。私たちが学んだことの一つは長い間科学者が語ってきたことの確認です。気候危機についての最も重要な事実の一つは、空に関連しています。この写真が示す通り、空は広大で無限に広がっているわけではありません。地上から見上げるとそう見えますが、実際はとても薄い大気の殻が、地球を取り囲んでいるだけです。そこは 現在の社会構造では産業文明の下水溝のようになっています。空に向けて、温室効果を生む、地球温暖化汚染が、24時間で1億1千万トン吐き出されています。「無料です、どうぞご自由に」と。
温室効果ガスの発生源は沢山あります。もちろん、すべてを検討するつもりはありません。主要なものに集中します。農業、食べ物、人口が関連しています。森林管理、輸送、海洋、永久凍土の融解も関連していますが、ここでは問題の核心に焦点を合わせようと思います。それは私たちが未だに汚染源となる、炭素系燃料に依存してるということで、毎年世界で燃やされるエネルギーの85%を占めています。
この図から分るように、第二次世界大戦後に排出量の増加が加速しています。人間による地球温暖化汚染は 大気圏に蓄積されており、それが今や24時間ごとに広島型原爆40万発が、1年365日休みなく爆発したのと同じ量の余分な熱エネルギーを取り込み続けています。何度も事実確認をしましたが、控えめにみてもこれは事実です。地球は大きな惑星ですが(爆発音)
私たちは変わらなければならないのか?
これは大量のエネルギーで、毎日その40万倍となればなおさらです。その余分な熱エネルギーが、大気や地球のシステム全体を加熱するのです。
大気を見てみましょう このグラフは かつて気温の正規分布と、されていたものです。白い部分は 平年並みの気温の日です。1951年から1980年という期間は任意に選びました。青は平均より涼しい日、赤は平均より暖かい日です。1980年代には分布曲線全体が 右に移動しています。右下の角に統計的に有意な数の猛暑日が出現しています。90年代に分布曲線は更に移動しました。この10年では猛暑日が平均より涼しい日よりも 多くなっていることが分ります。実際に地球表面では猛暑日がほんの30年前より150倍多く発生しています。
記録破りの気温です。計器測定されるようになって以来、最も暑かった年15のうちの14までがこの始まったばかりの世紀に起きています。すべての中で最も暑かったのは去年です。先月まで20世紀の平均よりも暑い月が371か月連続しています。そして先月は最も暑かった1月というだけでなく、初めて平均を2°F (1.1℃) 以上上回りました。こうした高い気温は動物、植物、人、生態系に影響を与えますが、地球全体では余分な熱エネルギーの93%が海洋に蓄えられています。現在では科学者が深海、中間、数百メートルの浅い部分とすべての深さで 熱の集積量を 正確に測定できるようになっています。そしてこれも加速しています。一世紀以上前から始まっていますが、上昇の半分以上は、最近19年間に起こりました。これには結果が伴います。
直接の影響としては、海を起点とする嵐がより強くなっていることです。超大型台風ハイエンが、これまで上陸した中で最も破壊的な嵐としてタクロバンを襲う前に通った、太平洋の海域は通常よりも水温が3℃高くなっていました。教皇フランシスコはこの問題を重大視して、直後にタクロバンを訪問しています。
巨大暴風雨サンディがニューヨークやニュージャージーを襲う前に通過した、大西洋海域の水温は通常より5℃ 高くなっていました。温暖化の二次的な影響は今やみんなに影響を及ぼしています。暖かくなった海はより多くの 水蒸気を空中に放出しています。世界の平均湿度は4%以上上昇しています。それで、この水蒸気の流れが作り出されます。ブラジルの科学者たちはこれを「空飛ぶ川」と呼んでいます。荒天状態によって 大規模な 記録破りの豪雨が引き起こされ、余分な水蒸気がすべて大地の上に流し込まれています 写真はモンタナ州でのものです。こちらの 去年8月の嵐をご覧ください。アリゾナ州トゥーソンを過ぎていくところです。文字通り町が水しぶきを上げています。この豪雨は明らかに異常です。
去年7月に、テキサス州ヒューストンでは2日で6,130億リットルの雨が降りました。ナイアガラの滝の最大流量の2日分以上が町中に流れ込んだことになります。もちろん都市機能は麻痺しました。こういった記録的豪雨は歴史的な洪水や土砂崩れを引き起こしています。
これは去年のチリでのものです。倉庫が通り過ぎるのが見えます。タンクローリーが通り過ぎています。これは去年9月のスペインのものです。「車やトラックの流れ」とは このことですね。今や毎晩のテレビニュースは ヨハネの黙示録観察ツアーのようです(笑)
いや本当に
保険業界は間違いなく気付いていることですが、損失が増大してきています。何が起こっているのかについて、彼らは思い違いはしていません。因果関係については議論が必要です。かつて私たちは直接的な原因と結果を考えていました。原因一つに結果一つです。でもこれはシステム的な原因です。優れた気象学者ケビン・トレンバースが言っています。「今やすべての嵐は異なります。大気中には非常に多くの余分なエネルギーと水蒸気があります。今やすべての嵐は異なるのです」同じ余分な熱が地面から土壌水分を奪い、より深刻で長期的かつ広範囲な干ばつを起こし、その多くは現在も続いています。
草木を枯らし、北アメリカ西部でより多くの火災を引き起こしています。確かな証拠がたくさんあります。
雷も増えています。熱エネルギーがたまるにつれ、かなりの数の雷が起きています。こうした気候関連の災害には、地政学的な影響もあり、不安定さの原因になっています。シリアで気候に起因する歴史的な干ばつが、2006年に始まりました。シリアにある農場の60%が壊滅し、家畜の80%が死に、150万人の気候難民が、シリアの都市に押し寄せ、そこでイラク戦争から逃れてきた150万人の難民と衝突しました。他の要因と相まって、地獄の門が開かれました。人々は今、それを閉じようと努力しています。米国国防総省は難民や食料と水の不足、病気の世界的流行も含めた気候危機の影響を長らく警告してきました。
私たちは変わらなければならない
現在、微生物疾患が熱帯地方から、高緯度地域に広がるのを目の当たりにしています。これは輸送革命によるところが大きいのですが、環境の変化によってこうした微生物疾患が流行し得る、緯度や地域が変化し、蚊やダニのような媒介生物の種類も変化しています。今、ジカ熱が流行していますが北アメリカの状況はましです。まだ少し涼しすぎることに加え、優れた公衆衛生システムがあるからです。しかし、中南米の一部地域にいる女性は2年間妊娠しないよう助言されています。これは今までなかったことで注目すべきことです。世界の2大医学誌の一つであるランセットが昨夏 これを現在の医学的な緊急事態に分類しました。これには多くの要因があります。
気候変動は絶滅の危機とも、関連があります。今世紀の終わりまでに地球にいる、全生物種の50%を失う危険があります。陸上の動植物種は今や両極に向かって1日平均5m移動しています。
北極に関していえば 昨年12月29日に、歴史的な洪水をアメリカ中西部にもたらした嵐が、北極の気温を通常より28℃上昇させて、長くて暗い冬の極夜の最中に北極の凍解を引き起こしました。北極圏にある、陸上の氷が解けると 海面が上昇します。
ポール・ニックレンの美しい スバールバル諸島の写真に示されています。グリーンランドや特に南極の融解は更に危険です。海面上昇によるリスクが 人口面で最も大きな10都市は、ほとんどが南・東南アジアにあります。
資産的なリスクの大きさから見ると、1位はマイアミで 390兆円が損失の危機にさらされています。3位はニューヨーク・ ニューアーク地区です。私は昨秋 スーパームーンのときの 最満潮日にマイアミにいました海から来た魚がマイアミビーチや フォートローダーデール デルレイビーチの通りを 泳いでいました 今やこれが 最満潮時に 定期的に起きています 雨とは関係ないので 「晴天の洪水」と呼ばれます 排水管から 水が上がってくるのです これを党派的な目で見ていられる 時代はとうに終わっていると マイアミ市長は 多くの人を代弁して語っています 危機は日々 さらに悪化しています 私たちは党派を超えて 動く必要があります。この下院共和党議員たちに 敬意を表したいと思います。(拍手)
昨秋、勇気を持って一歩踏み出し、政治的危険を冒しながら気候危機に関しての 真実を語りました。
気候危機による損失が増大しており、私が言及さえしなかったことがたくさんあります それが途方もなく 大きな負担となっています もう一つだけ言及します 先月 ダボスでの 世界経済フォーラムで 750人の経済学者への 年次調査の結果 今や気候危機 世界経済にとって 一番の危険要因になっていると 発表されました 英国中央銀行の マーク・カーニー総裁のような 中央銀行関係者は 炭素埋蔵量の大部分は 「燃やすことができない」と言っています 「サブプライム・カーボン」です。
サブプライム住宅ローンに 何が起こったかは言いませんが、これは同じことです 産業革命が 始まって以来燃やされた すべての化石燃料を見ると 濃い部分が この16年間に 燃やされた量です 存在が確認されている 化石燃料の埋蔵量は 3,100兆円相当です 国際エネルギー機関によると そのうちで燃やせるのは灰色の部分だけで 残りの2,400兆円分は 燃やせません 世界経済に対する危機です だから投資撤収の動きは ただの道徳的要請ではなく 実際的な意味があるのです。
ですから「私たちは変わらなければならないのか?」 という最初の質問への答えは 「変わらなければならない」です。
私たちは変われるだろうか?
第二の質問は 「私たちは変われるだろうか?」です。朗報があります。16年前の最善の予測では 2010年までに世界中で、導入できる風力発電量は30ギガワットということでした。実際の数値はその14.5倍になっています。風力発電量は指数関数的に増加しています。コストが劇的に下がっているのが分ります。強い産業を持つ国のドイツを例に取るとバンクーバーとそれ程変わらない気候ですが 、昨年12月のある日には 全エネルギーの81%が 再生可能資源由来でした。主に太陽光と風力です。平均で半分以上という国はたくさんあります。
良い知らせはまだあります。エネルギー貯蔵、特に電池によるものが、大きく伸びていることです。断続性の問題に対処するコストが劇的に下がっています。太陽光発電についての朗報は、さらに心躍る内容です。 14年前の最善の予測では、2010年までに導入量が年1ギガワットになる。ということでした 2010年になったら その17倍になっていました 去年は58倍になりました 今年は68倍になるでしょう。
私たちは勝つのです 私たちは勝者となるのです。太陽光発電の指数曲線は、さらに急でより劇的です。10年前、私がTEDの壇上に上がったときはここでしたこうした指数曲線が現れる中で、私たちは画期的な技術革新を 目にしてきました(拍手)
この30年間 コストは 年に10%下がっています。そしてそれは 下降し続けています。
今やグリッドパリティとなる点を越えようとしており、経済界はそのことに確かに気付いています。安い太陽光発電の普及率が増加し始めています。グリッドパリティとは 分岐点であり その先では 再生可能発電の方が 化石燃料を燃やすよりも 安価だと理解されているものです。
その分岐点は、華氏32度と33度、もしくは 摂氏0度と1度の違いに 、少し似ています。それは1度の違い以上のもので 氷と水を分ける違いです。それは凍り付いた市場と、新たな投資の機会に対する。資本の流れがある市場の違いです。これは世界史上最大の 新しいビジネスの機会です開発投資の3分の2は 民間が行っています。私たちは新たな投資の急増を 目の当たりにしています。2010年からは全世界の再生可能電力への投資が、化石燃料を超えました。それ以来、差は開いてきています 将来への予測は さらに劇的なものです 化石燃料が今もなお 再生可能エネルギーよりも 補助を40倍多く 受けているにもかかわらずです ここに原子力への 予測を加えると 特に より安全で許容できる より手頃な形の 原子力にするための努力が 多くなされていることを 考えるなら 変化はより一層 劇的なものになるでしょう。
では そのような新技術の 急速な導入に 先例はあるのでしょうか? たくさんありますが 携帯電話の例を見てみましょう 1980年にAT&T かつての「マ・ベル」が 当時現れた 新しい不格好な携帯電話の 世界市場調査を マッキンゼーに依頼しました 「2000年までに何台売れるか?」 との問いに マッキンゼーは 「90万台」と答えました 2000年になったら 確かに90万台売れました。最初の3日間で その年の売上台数は 120倍になりました 今や携帯電話の契約数は 世界人口以上になっています。
なぜこんなにも大きく 予想が外れたのでしょうか? 自分自身に問いかけました 「なぜ?」(笑)
答えは3つあると思います。第一にコストが誰も予想しないほど 早く下がったこと、同時に品質が向上したこと、固定電話網のなかった低所得国や地域で 一足飛びに 新技術に飛びついたこと、大きな広がりは 発展途上国で起こっています。では発展途上国の電力供給網はどうでしょうか? さほど良くありません。多くの地域では存在すらしていません。インドでは まったく電気がない人がアメリカの全人口よりも たくさんいます。現在はこうなってきています。藁ぶき屋根の上の太陽電池パネルと、それを入手可能にした新しいビジネスモデルです。
ムハマド・ユヌスはバングラデシュで これに対してマイクロクレジット融資を行いました。これは村の市場です。バングラデシュは今や世界で最も早く展開している国で 昼も夜も 平均1分間に2台導入されています。必要なすべてがあります 。太陽から地球に届くエネルギーの1時間分で、世界の1年分のエネルギー需要を まかなうことができます。実際には1時間より 少し短いくらいです。「私たちは変われるか?」 という第二の質問への答えは もちろん「はい」です。これ以上にないくらい確固たる「はい」です。
私たちは変わるだろうか?
最後の質問です「私たちは変わるだろうか?」です。パリ協定は大成功でした。いくつかの条項には 拘束力があり 定期的な状況確認が、大変重要でしょう。関係諸国は待つのではなく 前進しています。すでに中国は来年から全国で、キャップ・アンド・トレードの仕組みを導入すると発表しました。彼らは欧州連合と連携する見込みです。
アメリカはすでに変わってきています。これらの石炭発電所は、この10年間に建設予定でキャンセルされたものです。これらは廃止された石炭発電所です。これらの石炭発電所は 廃止が発表されています。すべてキャンセルです 私たちは前進しています 去年の新しい発電に対する アメリカでの すべての投資を見ると ほぼ4分の3は 再生可能エネルギーに対するもので 大部分は風力と太陽光でした。
私たちはこの危機を 解決しつつあるのです 唯一の疑問はどれくらい 掛かるのかということです この変化を強く求めるためには 大勢で団結することが重要です 約40万人が気候変動に関する 国連特別総会の前に ニューヨーク市を デモ行進しました 何千何万の人が 世界中の都市で デモ行進しました だから私はとても楽観的です 前に言ったように 私たちは勝つのです。
この話で締めくくりましょう 私が13才のとき 10年以内に 人間を月に着陸させ 無事に帰還させるという ケネディ大統領の 計画を聞きました その時 大人たちは 「それは無謀で 費用も掛かるし 失敗するだろう」と言いました しかし8年2か月後に ニール・アームストロングが 月に第一歩を記したとき ヒューストンにあるNASAの管制室で 大きな歓声が上がりました ほとんど知られていない 事実があります その日 管制室にいた システムエンジニアや 管制官の平均年齢は26才でした ということは つまり その挑戦のことを聞いたとき 彼らは18才だったということです
人々が直面してきた 良心への挑戦の伝統に 今 私たちは直面しています 20世紀アメリカの 最も偉大な詩人の一人である ウォレス・スティーヴンズの 詩の一節が 私の心に残っています 「最終的な否定の後には 工程がある その工程に 世界の未来がかかっている」 奴隷解放運動が始まった時 否定に次ぐ伊那定を受けたのちに それは肯定されました 女性参政権と女権拡張運動は 最終的に肯定されるまで 終わりなき否定に直面しました 公民権運動 アパルトヘイト反対運動 つい最近のアメリカや その他の場所の 同性愛者の権利に 対する運動もです 最終的な否定の後には 肯定があるのです。
大いなる倫理的ジレンマが 究極的には 正しことと間違っていることの 二者択一であるとき その結果はあらかじめ定まっていて それは我々の人間性によるものです 99%の人々というところまで 私たちは来ています だから私たちは勝つのです 必要なものはすべてあります 未だに人々の行動する意志を 疑う人もいますが 私は行動する意思それ自体 再生可能な資源だと申し上げます。
どうもありがとうございました。(拍手)
参考 TED: アル・ゴア氏:気候変動についての楽観論
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