ボストンマラソン優勝の川内氏

 世界最古のマラソンフル大会で、ワールド・マラソン・メジャーズ(WMM)の一戦、第122回ボストン・マラソンを日本人が31年ぶりに制した。

 優勝したのは公務員ランナーで有名な川内優輝(31)。彼は4月19日、成田空港に帰国。来年4月をもってプロに転向する考えを明かした。

 優勝賞金15万ドル(約1610万円)の使い道を聞かれ、「来年4月にプロに転向しようと思っているので、その資金にしたいと思います」と明言した。「トップランナーとして世界を回れるのは、あと10年。5年もないかもしれない。死ぬときに『あのときにプロになっておけばよかった』と後悔はしたくない」。プロになった弟のようにマラソンに人生を懸けようという思いが強くなったという。


Surveillance society


 ボストンの優勝賞金が、その思いを後押しした。「金銭面の不安がなくなったのは大きいですね。スポンサーが付いてくれるのはうれしいですが、引きずられて競技に集中できなくなるのはよくないですから。ボストンの賞金があれば3~4年はスポンサーがなくても活動できる。それに、今は(公務員のため受け取りを)断っている出場料もあれば、回していけると思う」。

 収入増がプロ転向の目的ではない。「生きていければいいかなと思っている。3~4年やってみて、結果が出なければいずれにしても駄目だし、そうなったら何でもして働きます」。自ら退路を断ってマラソンに懸ける考えだ。

 川内氏の座右の銘は「現状打破」可能性に向かって挑戦する姿には共感が持てる。ぜひ応援したいと思う。


 ボストンマラソン爆弾テロ事件

 ところでボストン・マラソンといえば、第117回ボストンマラソンのテロ事件を思い出す。2013年4月15日14時45分頃(現地時間)(日本時間16日3時45分)に爆弾テロ事件は発生した。

 この日、ボストンでは第117回ボストンマラソンが開催されていた。ボストンマラソンはアメリカ3大市民マラソンに数えられる大会で、国内外から多くのランナーが集まっていた。そのレース中、ゴール付近のコプリー広場(英語版)で2度爆発が発生、その際に3人が死亡、282人が負傷したと報じられている。

 1度目の爆発はトリニティ教会などがあるコプリー広場近くのボイルストン通り671番地の「マラソン・スポーツ」前で発生し、それから12秒後にゴールから見て2ブロック、距離にして約100m離れた地点で2度目の爆発が起きた。この爆発で周辺の店舗の窓ガラスは粉々に吹き飛ばされ、ボストン公共図書館3階の窓も破壊された。現場付近には他に2つ、ないしは3つの不発弾が発見され、ボストン市警察の爆発物処理班によって処理されたと報道されたが、後に爆弾は爆発した2つのみと判明した。

 事件の発生当時、ゴール付近に設置されていた記録用の時計は「4時間9分43秒」を指しており、これは前回大会で最も多くのランナーがゴールした時間帯であった。今回もトップランナーたちは2時間ほど前に現場を通過しており、後方にも多くのランナーが走行していた。

 治安機関の発表によると、爆発物はいわゆる即席爆発装置で、圧力鍋が使用されており、殺傷能力を高めるためにボールベアリングや釘などの金属片が含まれていた。また、このような攻撃が迫っていることを示す事前の兆候はなかったとしている。

 当局は容疑者を、2002年頃に難民としてアメリカに移民したチェチェン人の2人兄弟で、技師を目指しマサチューセッツ州で評価の高い2年制のコミュニティー・カレッジで工学専攻のタメルラン・ツァルナエフ(当時26歳)と、マサチューセッツ・ダートマス大学(英語版)で口腔学専攻のジョハル・ツァルナエフ(当時19歳)とした。

 捜査官は爆弾作成を、アルカイダがイスラム教徒をテロに勧誘する目的で発行したとみられるオンラインマガジン「インスパイア」("Inspire" )から学んだものと確信している。兄のタメルランはボクシングでオリンピック出場を目指しており、2009年と2010年にニューイングランド・ゴールデングローブ・トーナメントに優勝、全国大会となるナショナル・ゴールデン・グローブ・トーナメントに出場を果たしていた。

 この憎むべき犯罪の解決に役立ったのが監視カメラであった。容疑者はFBIによって証拠の写真とビデオから容疑者1と容疑者2と呼ばれ、爆破後に「正常でない反応を示した」犯人は止まって爆発の余波を見守り、逃げるような素振りはなく、落ち着いた様子で現場を歩いて去った。この様子をとらえたのが監視カメラであった。


 いつも誰かに見られている、超監視社会ロンドン

 もはや監視カメラは、犯罪対策に欠かせないものとなっている。監視カメラが世界で一番多い都市はどこだろう。

 正解はロンドン。人口1人当たりの監視カメラの台数で、世界トップだという。

 英国ロンドン北部のイズリントン区、2台の小型バイクがショッピング街を猛スピードで走り抜けていく。行き交う車の列を縫い、2階建てバスを追い越し、混雑した通りで前輪を浮かせて走るウィリー走行までやってのけた。

 数分後、2台のバイクは閑静な住宅街へ入っていくと、男たちはエンジンを切った。ヘルメットをかぶったまま、長々と話し込んでいる。会話の中身は男たちにしかわからないが、彼らにもわからないことがある。そこから2キロと離れていないビルの中で、別の二人の男が自分たちの行動に目を光らせていることだ。


 どこに行っても見られている

「やつら、移動するぞ」。サルがエリックに言った。二人がいるのは、イズリントン区の各所に設置されたカメラの映像が送られてくる監視システムの制御室だ。

 バイクが再び出発すると、サルはコンピューターにコマンドを打ち込んだ。モニターに10番カメラの映像が映し出される。走りだしたバイクがサルの視界から消えると、今度はエリックが163番カメラの映像に切り替えて彼らの姿をとらえた。ジョイスティックを動かすと、カメラは後ろを走るバイクにズームインし、ナンバープレートの文字が画面に浮かび上がる。サルが無線で警察に通報した。「アッパー通りで不審な小型バイク2台がウィリー走行をしています」

 彼らの前には16台のモニターがずらりと並び、イズリントン区に設置された180台の監視カメラの映像が送られてくる。エリックたちの見るところ、運転している二人は1年以上も前から近隣を悩ませている非行グループのメンバーのようだ。通行人からスマートフォンをひったくり、闇で売るのが彼らの手口で、人口およそ23万人のイズリントン区で、週に50件ほども犯行を繰り返してきたという。

どこに行こうとずっと見られているというのに、まったく気づいていないのか、2台のバイクは派手な暴走を繰り広げている。私も、彼らの動きを目で追うのに夢中になった。モニターに映し出される二人は何か犯罪に手を染めたのかもしれないが、映像だけでは断定できない。確かなことはただ一つ。私たちには彼らが見えるが、彼らには私たちが見えないということだ。


 本当に怖い「統合監視」

「人口1人当たりの監視カメラの台数で、ロンドンは世界トップだと思います」と語るのは、英国のニック・クレッグ前副首相だ。「しかも、それに関する有意義な議論はまったく行われていません。理由の一つには、英国にはファシズムや非民主的な政権が成立したことがないからです。そうした歴史があれば、国民は国家に不信感を抱きますが、英国では国家は善良だと思われている。しかし、歴史を振り返ればわかるように、常にそうであるとは限りません」

 今ではインターネット上で年間2兆5000億点を超す画像が公開されたり、保存されたりしている。道路には自動ナンバープレート認識装置が設置され、スピード違反や駐車違反ばかりか、英国では容疑者の動きも監視しているのだ。

 ロンドンの治安インフラは自動ナンバープレート認識装置(ANPR)を幹線道路に導入することで、しだいに拡大、強化されていった。現在では英国各地の道路に9000台のカメラがあり、毎日3000万~4000万台の車を撮影している。「スコットランドを車で走っていて、監視の目をかいくぐるのは至難の業です」と、スコットランド警察のテロ対策調整官を務めたアラン・バーネットは言う。

 「英国ほど監視に意欲的な国は、世界のどこにもありません」語るのは、英国内務省の監視カメラ監督官トニー・ポーター。元警察官で、テロ対策の専門家でもあるポーターは4年前に現職に就いた。英国の隅々にまで張りめぐらされつつある監視システムの運用を監督するのが任務だ。

 「国家による監視は個人の内部にまで踏み込む強力なものであり、国家は私たちが思いも寄らないほど多くの情報を関連づける統合監視ができます。本当に怖いのは統合監視への動きが広がることです」


 キャノンが、急拡大する「監視カメラ」市場で業界1位

 キヤノン(7751.T)は4月10日、監視カメラ世界首位であるスウェーデンのアクシス(AXIS.ST)を買収して完全子会社化すると発表した。同社の発行済み株式の全株取得を目指し、3月初旬に公開買い付け(TOB)する。買収総額は236億スウェーデンクローネ(約3337億円)。キヤノンにとって過去最大規模の買収となる。

 今年2月10日夜にキヤノンが突然発表したアクシスの買収。市場関係者はその買収に投じる巨費に息をのんだ。キヤノンとして過去最大の買収額だ。買収を好感し、12日(11日は祝日)のキヤノンの株価は一時急騰した。

 今回の買収は、ネットワークカメラを既存事業のカメラ、複写機に次ぐ、第3の柱に据えようとするキヤノンの気合の入れようが伺える。買収で一気にシェアを高め、世界制覇をもくろむ作戦だ。2~3年後に売上高1000億円を目指している。デジタルカメラで世界首位のキヤノンは、ネットワークカメラでも首位に立つことになる。

 キヤノンは「近年、急成長している有望な事業で、グループの成長の原動力になると位置付けている」(広報)と期待している。

 遠隔地に設置したカメラをネットワークでつないで監視するカメラは、今後高成長が見込まれている。矢野経済研究所の予測によると、ネットワークカメラの世界出荷台数は2015年に14年比25%増の575万台まで伸びる見通しで、今後年率20%のペースで成長するとの見方もある。


 世界的なセキュリティーシステムの流れ

 国内では東京五輪に向けて街灯監視の需要拡大が期待されており、海外でも犯罪やテロ対策などのため、公共施設や交通機関に画像解析機能を持つネットワークカメラシステムが相次いで設置されている。久々に出た“お宝”市場といってもいいかもしれない。

 さらにキヤノンは昨年6月にネットワークカメラ向けのビデオ管理ソフト最大手のマイルストーンシステムズ(デンマーク)を買収し、ネットワークカメラのソフト部分を強化。今回のアクシスのハードと組み合わせてネットワークカメラの機能強化をさらに進める戦略だ。

 ネットワークカメラを強化する日本勢はキヤノンだけではない。国内首位、世界4位(8.4%)のパナソニックもシェア拡大を虎視眈々と狙っている。

 フランスの情報システム大手のアトスと東京五輪向けの防犯など最先端システムの共同開発で合意。パナソニックが得意とする監視カメラなどの映像技術と、アトスのネットワーク構築技術を融合させて大型受注獲得を目指している。

 ネットワークカメラが成長している理由として、世界的なセキュリティーに対する関心の高まりがあるが、それとともに従来にない高画質の実現と、高速インターネットの充実でシステム構築が容易になったことが挙げられる。

 実際、キヤノンは、光源がない真っ暗な環境でも、最長30メートル先の対象物を撮影できる製品を商品化。パナソニックは、フルハイビジョンの4倍の解像度となる「4K」画質以上の高画質で、360度全方位の撮影が鮮明に行える製品を発売した。

 さらに日本メーカーの製品は、「屋外で使うドーム形カメラでも結露が出ないし、衝撃テストも数え切れないほどの事例を想定してシミュレートしている」(電機大手関係者)と、高品質が売りのひとつになっている。

参考 National Geographic news: http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/032300130/

伝説のハッカーが教える 超監視社会で身をまもる方法
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