不気味、九州で活発な火山活動

 硫黄山が噴火した。硫黄山と聞いて、ついにあの鬼界カルデラの硫黄島が噴火したのではないかと思った。今回の硫黄山は宮崎、鹿児島県境の霧島連山・えびの高原の硫黄山で4月19日午後3時39分ごろ、小規模な噴火だ。

 日本では7000年~1万年に1回程度の頻度で、破局噴火が起きている。鬼界カルデラがの噴火を最後に、ここ7300年日本では破局噴火は起きていない。そろそろ時期的には、いつ起きてもおかしくはない巨大噴火。

 7300年前に鹿児島県南方沖の海底火山(鬼界カルデラ)で起きた巨大噴火が、当時の南九州で栄えていた縄文文化を壊滅させたことは、考古学上よく知られている。九州には阿蘇山もある。阿蘇山では分かっているだけでも過去4回大きな噴火を起こし、約9万年前に起きた噴火は最大級の「破局噴火」であった。



 今回の硫黄山は、宮崎県えびの市にある標高1317mの活火山である。活火山である霧島火山において最も新しい火山で、種類は溶岩ドームに分類される。

 硫黄山や硫黄島は全国に10か所以上あり、どれも火山活動が活発だから紛らわしい。九州では新燃岳の噴火もあり、前回の新燃岳の噴火の1ヶ月後に東日本大震災が発生している。九州の火山噴火が次の大地震や大噴火などの大災害につながらなければよいと願うばかりである。


 霧島連山・硫黄山250年ぶり噴火

 宮崎、鹿児島県境の霧島連山・えびの高原(硫黄山)で4月19日午後3時39分ごろ、小規模な噴火が発生した。気象庁は「活動が活発になる恐れがある」として、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げ、宮崎県えびの市は火口から約2キロを立ち入り規制した。

 同庁によると、硫黄山の噴火は1768年以来、250年ぶり。噴煙は高さ約500メートルまで上がり、周辺に噴石が飛んだ。地下水がマグマの熱で急激に膨張したことで発生する水蒸気噴火とみられる。レベル3になるのは2016年12月、硫黄山に噴火警戒レベルが適用されて初めて。政府は首相官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置した。

 宮崎県によると、火口から約1.2キロにある国民宿舎「えびの高原荘」の宿泊者や従業員が避難。鹿児島県は4月19日夕から、同県霧島市と宮崎県えびの市を結ぶ県道の一部を通行止めにした。両県によると、けが人や事故の連絡はない。

 霧島連山の新燃岳(しんもえだけ)では3月1日に小規模噴火が起き、同6日には7年ぶりとなる爆発的噴火が発生、その後も断続的に噴火が続くなど活動が活発化している。

 京都大の石原和弘名誉教授(火山物理学)は「地下でマグマが上昇し、2010年以降、霧島連山の地盤は膨張している。新燃岳と同様に、硫黄山も数年前から火山性地震や地熱活動が確認されており、当面は警戒が必要だ」と話した。


 GW前…観光ショック えびの高原、立ち入り規制

 250年ぶりに噴火した宮崎、鹿児島県境の霧島連山・えびの高原(硫黄山)では4月19日、2キロ圏にある観光、宿泊施設が噴火警戒レベル3への引き上げに伴って立ち入り禁止となり、各施設は慌ただしく全員を避難させた。観光地となっているえびの高原の立ち入り規制は初めてで「ダメージは計り知れない」と関係者はショックを受けている。

 宮崎県えびの市のえびの高原には、環境省の情報発信拠点・えびのエコミュージアムセンターや国民宿舎えびの高原荘、土産店など官民の6施設が点在する。

 宿泊施設のえびの高原荘では同日の宿泊客や従業員約20人を約6キロ離れた温泉施設へ急きょ避難させた。従業員は「ゴールデンウイーク(GW)の宿泊に期待していたので残念」と話していた。

 えびの市観光協会によると、新燃岳の爆発的噴火で宿泊キャンセルが相次いだが、ゴールデンウイークを前に予約は回復基調だったという。えびの高原は今、ノカイドウの見頃を控えた時期。今月8日には山開きしたばかりだった。横手周太事務局長は「これからという時。今後どうなるのか予想もつかない」。観光客の足が遠のけば地元の雇用問題も起きかねない。「一日も早く沈静化してほしい」と祈るように話した。

 えびの市は硫黄山の噴火を受けて災害警戒本部を設置。村岡隆明市長は「市民は不安を感じている。正確な情報を提供し、規制内に人が入らないよう監視を強化したい」と強調した。

 一方、硫黄山から約6.5キロ離れた鹿児島県の霧島温泉郷では噴火の様子は見えず、観光客も普段と変わらない様子だったという。霧島市観光協会の新畑幸一事務局長は「新燃岳の噴火に続き、宿泊予定客が『危険だ』と誤解しないかが心配。風評被害につながらないでほしい」と話した。(2018/04/20 西日本新聞朝刊)


霧島連山・硫黄山とは何か?

 硫黄山(いおうやま)は、宮崎県えびの市にある標高1317mの山。活火山である霧島火山において最も新しい火山で、種類は溶岩ドームに分類される。

 韓国岳の北西、えびの高原に位置し、山体の西斜面に宮崎県道・鹿児島県道1号小林えびの高原牧園線が走る。有史以降で確認されている噴火は2回のみであり、2回ともマグマ噴火である。最初の噴火は1300年 - 1500年頃の噴火とされ、この噴火によりえびのB1テフラが形成された。1768年に2度目の噴火が起こり、韓国岳の北西の斜面から溶岩が噴出して硫黄山溶岩流が、降下火砕物でえびのB2テフラがそれぞれ形成された。

 2回目の噴火の規模はVEI2で、この噴火によって硫黄山の山体が形成されたとする資料が多い。山体は珪石を主体とした火山岩に覆われ、植物に覆われた部分は少ない。頂上には直径100mほどの浅い火口があり、巨大な溶岩が残されている。


 噴気と硫黄採取

 かつては盛んに噴気が観察され、明治30年から昭和30年頃までは噴気を冷却して硫黄の採取が行われていた。火口内にその石積みの遺構が残されている。

 2013年12月頃より火山性地震が発生するようになり警戒が強められた。2015年2月には有感性の大きな火山性地震があり山の北西が隆起するような地殻変動も確認されるようになった。火山性微動の観測などにより、小規模な噴火の可能性があるとして火口周辺警報が発表され周辺地域の立ち入り禁止措置が数か月単位でたびたび実施されている。

 2015年頃までは硫黄山の周囲では地表の高温地帯や噴気などは確認されなかったが、2015年7月頃より噴気が再び観察されるようになり、火口南側から時折300mを超える高さにまで噴気が噴き出し高熱帯も観察されるようになるなど、火山活動が活発化しており霧島山系では御鉢、新燃岳に加えて硫黄山の観察が強化されていた。

 2018年4月19日の15時39分頃に噴火、高いところでは噴煙が300mの高さまで上がった。これを受けて気象庁は直ちに噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げた。1768年以来250年ぶりの噴火となったが、先述までの通り、警戒・規制されていたこともあり、死傷者は確認されていない。

 すぐ横の宮崎県道・鹿児島県道1号小林えびの高原牧園線からは徒歩数分程度でアプローチでき、車道と火口の標高差は50m程度で登山は容易である。


 全国の硫黄山・硫黄島

硫黄山(いおうざん)- 北海道川上郡弟子屈町にある山、アトサヌプリの別名。
硫黄山(いおうやま)- 北海道虻田郡倶知安町にある山、イワオヌプリの別名。
知床硫黄山(しれとこいおうざん)- 北海道羅臼町、斜里町にある山、イワゥヌプリの別名。
硫黄山 (函館市)(いおうざん) - 北海道函館市にある標高 410 m の山。
硫黄山 (東京都)(いおうやま) - 東京都八丈支庁の鳥島にある標高 394 m の山。
硫黄山 (岡山県)(いおうやま) - 岡山県岡山市西大寺にある標高 111 m の山。
硫黄山 (広島県)(いおうざん) - 広島県東広島市にある標高 779 m の山。
硫黄山(いおうやま) - 大分県由布市にある伽藍岳(がらんだけ)の別名。
硫黄山(いおうざん) - 大分県玖珠郡九重町にある星生山(ほっしょうざん)山腹にある峰。1995年に噴火した。
硫黄山 (宮崎県)(いおうやま) - 宮崎県えびの市霧島山系にある標高 1,317 m の活火山。

硫黄島 (東京都) - いおうとう。東京都の島嶼部、火山列島(硫黄列島)にある島。戦後から近年まで「いおうじま」と表記されていたが、旧来は「いおうとう」と呼ばれていたとして、2007年6月18日以降「いおうとう」表記に改名された。
硫黄島 (鹿児島県) - いおうじま。鹿児島県薩南諸島北部の島嶼群、大隅諸島にある島。薩摩硫黄島。
昭和硫黄島 - しょうわいおうじま。鹿児島県薩南諸島北部の島嶼、海底火山の噴火によって昭和9年に新たに形成された島。(Wikipedia)


参考 朝日新聞: https://www.asahi.com/articles/ASL4M560GL4MTIPE01L.html


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