アルミ缶とスチール缶を区別する方法

 「皆さん、この2つの缶、どちらがアルミ缶でどちらがスチール缶かわかりますか?」

 理科の授業でよくでてくる質問である。いろいろな答えがあるが、授業では「密度」の違いを学ぶときに発問する。スチール(鉄)の方が密度が大きいから同じ体積ならば質量が大きくなる。質量で分別が可能だ。

 しかし、一番多い答えは「磁石」であろう。実際にリサイクルセンターで、ゴミの分別を行うときには、磁石で分別する。「ああ、なるほどね」...多分、多くの人はそれで納得して装置の詳しい仕組みは考えていないのではないだろうか?私もそうだった...。



 実際に磁石で分別してみよう。すると、ものすごく手間がかかる。スチール缶を1個、2個分別するなら磁石一つで簡単だが、大量の缶を分別するにはいちいち、磁石から缶を外さねばならない。

 この、難しい難問を小学生の女の子が、夏休みの自由研究で解決してしまった。女の子は「実際にやってみることが大切だった」という。しかも、この成果で特許を取ってしまった。そして「TED」に出場して、実際にやってみることの大切さを話している。

 屈託なく話す姿は、楽しそうでもあった。何でも楽しみながら挑戦してみることは大事だと、小学生に改めて教わった気がした。


私が小学生なのに特許をとったワケ

 愛知県に住む小学校5年生の神谷明日香は、スーパーを経営している自分の祖父が何時間もかけてアルミ缶とスチール缶を分別する姿を見てから、缶自動分別ゴミ箱を作ろうと決心。まだ可愛らしさの残るトークの中で、実験と失敗がつきものだった自分の設計プロセスを振り返り、年齢を問わず起業家の卵に役立つヒントを紹介する。

 「皆さん、この2つの缶どちらがアルミ缶でどちらがスチール缶か分かりますか?」

 缶の裏側を見ると素材を確認できます。しかし、手に取ったりマークを見たりしないと分かりません。

 私はこの空き缶を自動で分別する空き缶分別箱を小学校5年生の夏休みの自由研究で発明し、2015年8月日本では数少ない特許を持つ小学生になりました。小学校5年生の夏休み自由研究の宿題を何にしようかな?と考えていたときにおじいちゃんのことを思い出しました。

 スーパーを経営しているおじいちゃんはいつもゴミ箱からアルミ缶やスチール缶などを分別していて大変だなと思っていました。なんとか簡単にできる方法はないかな?と思い自由研究で缶を分別するものを作ってみようと決めました。

 アルミ缶とスチール缶を分けるのにはどうしよう?と考えていたときに小学校3年生の理科の実験を思い出しました。それは鉄やアルミの板を斜めにして磁石をすべらせる実験でした。

 鉄の板は磁石がぴったりくっつくのにアルミの板はピューンと磁石がすべり台みたいにすべるのが面白かったな。分別するのにはこれが使えるとひらめきました。


 試行錯誤の結果、ひらめく

 では、磁石を使ってどうすれば分別できるのか? 色々な仕組みを考えました。2つやってみたけれど上手く行きませんでした。もやもやしながら「ああ、もう疲れちゃったな」と磁石を付けた定規でこのようにして遊んでいました。

 磁石を付けた定規にくっついた缶がシュッと外れたのを見てパパが「今の動き 面白いね」と言いました。それを聞いて「これだ!」と思いゴミ箱の仕組みをひらめきました。

 そしてその仕組みを使ってできたのがこのゴミ箱です。空き缶をここに入れて行きます。するとアルミ缶は このように真下に落ちます。スチール缶はこのように右側に落ちます。

 もう一度見たいですか?(拍手)ではやってみます。アルミ缶です。次にスチール缶です(拍手)アルミ缶です。スチール缶です(拍手)皆さん「どうしてスチール缶が曲がりながら落ちて行くの?」と不思議に思いましたか?ここが一番実験を重ねそして楽しかったところです。

 まずひらめいた仕組みを実験しました。スチール缶です。次にアルミ缶です。アルミ缶です。スチール缶です。 このように筒に入れたアルミ缶は真下に落ちますが、スチール缶は右側に落ちました。


 特許のきっかけとなったシンプルな仕組み

 仕組みが成功したのでこのようなゴミ箱を作りました。これで完成のはずでしたが失敗してしまいました。実験よりも投入口が磁石から遠かったのでスチール缶も真下に落ちてしまったのです。

 そこで投入口にペラペラした板を付けました。思い通り磁石の方に行ったのですが、今度はスチール缶が磁石にくっついて止まってしまいました。そこで磁石の下にペラペラした板を付けました。

 投入口に付けたペラペラした板の切れ端です。そして成功しましたスチール缶は右側に落ちるようになりました。さらに精度を上げるため最後に付けたペラペラした板の長さを実験しました。

 1cmから5cmまで試してみたところ3cmが一番ちょうど良いことが分かりました。以前、特許を取ったことのあるパパがゴミ箱を見て動きが面白くてシンプルなのが良いと思い「明日香もどう?」と勧めてくれて特許を申請することになりました。

 正直その時私は 特許の意味もよく分かっていませんでした。夏休み中に自由研究を終わらせないと、と焦った時もありましたが思いついたアイディアは全部やりました。

 特許が取れたポイントとなったペラペラした板もそうです。できなくてもやってみる。これが上手く行かなくても分かることがある。とにかくやってみる!やりゃあなんとかなる!そうしてこのゴミ箱は夏休みが終わる5日前に完成しました。


 ひらめきは遊びの中に、成功はあきらめたころに

 このゴミ箱は思いついてからすぐにできた訳ではありません。私の思いとひらめきを家族が協力して一緒に形にしてくれたので、できました。思いついたらママに言ってひらめきを頭の中ではっきりさせました。

 次にパパと一緒に試作を作ったり、失敗した時にアイディアを出し合ったりして形にして行きました。私はいつも協力してくれる家族が大好きです。こうして私は特許を持つ小さな発明者になりました。

 きっかけは大好きな家族や友達の中にあります。ひらめきは遊びの中にあります。成功はあきらめた頃にやって来ます。そして皆さんひらめいたら失敗を恐れずとにかくやってみる。これが一番大切なことだと思います(拍手)


参考 Yahoo japan:https://headlines.yahoo.co.jp/ted?a=20161004-00000000-ted&utm_source=taboola&utm_medium=exchange


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