探査機はやぶさ2、小惑星「リュウグウ」に到着
日本の小惑星探査機「はやぶさ2」が6月27日、地球から約3億キロ離れた小惑星「リュウグウ」に到着した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が明らかにした。
はやいものである。つい先日、打ち上げたと思ったら、すでに3年半も経っている。初代「はやぶさ」は、2003年(平成15年)5月9日打ち上げ、2010年6月13日に帰還、7年と1ヶ月かけたミッションからもう10年も経った。
2014年12月に打ち上げられたはやぶさ2が到着したのは、リュウグウの上空約20キロの位置。この後、リュウグウ表面へのタッチダウン(着陸)を行い、砂などのサンプルを採取する。はやぶさ2は探査終了後の19年12月にリュウグウを離れ、翌年の終わりに地球へ帰還する予定。
到着した小惑星「リュウグウ」は、想定外のダイヤモンド型であった。そのため、着陸などのミッションはいくらか難易度が増しているという。
リュウグウは、炭素を含む小惑星で全体的に黒っぽい色をしている。表面からは、数十億年前にさかのぼる太陽系の形成に関して様々な情報が得られると期待される。
JAXAによれば、リュウグウから採取する鉱物、水、有機物などを調べることは地球の起源の解明にもつながる。リュウグウの直径は約900メートル。JAXAは、この大きさの小惑星に地球から探査機を到着させることの難しさについて、日本からブラジルにある直径6センチの標的を狙って命中させるのに等しいと説明した。
「とうとうここまで来た」JAXA はやぶさ2到着で会見
探査機「はやぶさ2」の小惑星「リュウグウ」への到着を受けて、JAXA=(じゃくさ)宇宙航空研究開発機構の吉川真ミッションマネージャは管制室がある神奈川県相模原市のJAXA宇宙科学研究所で会見した。
吉川ミッションマネージャは「管制室にはきょうはおよそ30人が集まっていました。はやぶさ2の機体は正常で、到着を確認できたとき、みんなほっとして拍手が起こりました。みんなで握手をしあいました。」と到着の瞬間について話した。
そのうえで、これからについて「とうとうここまで来たというのが正直なところ。しかしいよいよこれからがミッションの本番なので、半分はほっとしていますが緊張感が出てきました」と気を引き締めていた。
日本の探査機「はやぶさ2」が27日、小惑星「リュウグウ」に到着したことをうけて、チームを率いるJAXA=宇宙航空研究開発機構の津田雄一プロジェクトマネージャらが27日午後、管制室がある神奈川県相模原市のJAXA宇宙科学研究所で会見した。
津田さんは「はやぶさ2は極めて高い精度で制御され、32億キロの往路を完走することができた。機体は非常によい状態だ」と述べ、ここまで計画が順調に進んでいるとした。
そのうえで「きょう人類未到の宇宙科学探査の入り口に立った。ここからが本格探査の開始で、成果を楽しみに見守ってほしい」と話した。
「はやぶさ2」のプロジェクトチームで小惑星の撮影と分析を担当している東京大学の杉田精司教授は27日会見で「リュウグウ」について説明した。
会見場のスクリーンには、色の補正をした「リュウグウ」のカラー写真が地球と比較する形で示され、杉田教授は「リュウグウは全体に黒い色をしているのがわかると思います。これは炭素を豊富に含んでいるということです。これが確認できたことは非常に大事です」と述べ、炭素を主な成分とする有機物の存在に期待感を示した。
はやぶさ2 28日から観測装置の調整作業に
6月27日に小惑星「リュウグウ」に到着した日本の探査機「はやぶさ2」は、28日から小惑星の地表を調べる観測装置の調整作業に入り、準備ができしだい観測を始めることにしている。
生命の起源を探るため4年前に打ち上げられた探査機はやぶさ2は、27日午前9時35分、小惑星リュウグウに到着し、28日から4種類ある観測装置の調整作業に入る。
このうち、レーザーを地表に当て形状を読み取る「レーザ高度計」は、レーザーの強さが適切に設定されていないと正しく測れないため、上空2万メートルからの距離に合わせて調整をするという。
JAXA=宇宙航空研究開発機構は、小惑星の地表には多くの岩の塊があり、「着陸場所を選ぶのは難しい作業となる」としていて、準備ができしだい観測を始め、ことし8月下旬までには安全に着陸できる場所を探し出したいとしている。
また、6月27日はリュウグウのカラー写真も公開され、直径900メートルある小惑星は黒っぽい色をしていることがわった。その色から炭素が豊富にあるとみられ、JAXAは炭素が主な成分である有機物の発見が期待できるとしている。また、この大きさの小惑星には珍しい100メートル前後ある岩の塊も見つかり、今後、小惑星ができた過程も明らかにしたいとしている。
JAXAの津田雄一プロジェクトマネージャは「まだなにもわからないし、これから何が起こるかもわからないが、果敢に挑戦していきたい」と話していた。
小惑星探査機「はやぶさ2」とは何か?
はやぶさ2は、小惑星探査機「はやぶさ」(第20号科学衛星MUSES-C)の後継機として宇宙航空研究開発機構 (JAXA) で開発された小惑星探査機である。地球近傍小惑星 「リュウグウ」への着陸およびサンプルリターンが計画されている。「はやぶさ2」という名称は探査機を用いる小惑星探査プロジェクト名にも使われている。
2014年12月3日に種子島宇宙センター大型ロケット発射場からH-IIAロケット26号機で打ち上げられた。世界で初めて小惑星の物質を持ち帰ることに成功した探査機「はやぶさ」の後継機で、初号機が小惑星往復に初めて挑んだ「実験機」だったのに対し、有機物や水のある小惑星を探査して生命誕生の謎を解明するという科学的成果を上げるための初の「実用機」として開発された。
基本設計は初代「はやぶさ」と同一だが、「はやぶさ」の運用を通じて明らかになった問題点を改良した準同型機である[要出典]。サンプル採取方式は「はやぶさ」と同じく「タッチダウン」方式であるが、事前に爆発によって衝突体を突入させて直径数メートルのクレーターを作ることによって深部の試料を採取できるようにする。採取した物質は耐熱カプセルに収納されて地球に回収される。
着陸用小型ローバーの「ミネルバ2」(2-1A, 2-1B, 2-2の計3基)、およびドイツとフランスが開発した小型着陸機「マスコット」も搭載されている。先代が航行途中にトラブルに見舞われたため、安定航行を目的としてさまざまな変更がおこなわれた。「はやぶさ」のようなパラボラアンテナに代わり、「あかつき」と同様の高利得平面アンテナ(スロットアレイアンテナ)を使用し、破損があった化学燃料スラスタ配管の再検討や制御装置であるリアクションホイールの信頼性向上などの改良が行われた。イオンエンジンはμ10の推力を 8 mN から 10 mN へと向上させた改良型を使用する。
また、試料を取るための方法も大幅に改良される。まず新機能として、小惑星表面だけでなく小惑星内部の砂礫の採取のための衝突装置 (SCI:Small Carry-on Impactor) を搭載する。
SCIは成形炸薬を内蔵しており、探査機本体から切り離された後本体が小惑星の陰に隠れる約40分後に起爆、重さ 2 kg の純銅製衝突体を爆圧によって変形させつつ目標天体に衝突させ、クレーターを作る。このクレーター内または周辺で試料を採取することにより小惑星内部の調査が可能となる。
JAXAとしてこのような構造を持つ探査機は初めて。SCI 全体の質量が 18 kg、爆薬の質量は 4.7 kgある。銅板の質量は 2.5 kg だが、発射時に一部がちぎれて弾丸としては約2kg になる。衝突体の衝突時には本体は小惑星の裏側へ退避するため、衝突の様子を撮影するためにDCAM3と名付けた分離カメラを装備している。
初代はやぶさのように試料採取用の筒(サンプラーホーン)を小惑星の表面に当て、内部でプロジェクタイルと呼ばれる弾丸を打ち出し、それを小惑星表面に当てることで舞い上がった砂礫を採取する。プロジェクタイルの形状は「はやぶさ」の弾丸型から円錐型へと変更される。頂点の角度は90度に設定されており、プロジェクタイルが3g以上の質量をもつ場合には弾丸型よりも効率的な試料採取が可能となる。
もし初号機と同じように弾丸が発射されなくてもサンプルを引っ掛けて持ち上げられる仕組みも追加された他、サンプルから発生したガスも採取できるように改良されている。2014年11月には、NASAのオシリス・レックスが小惑星で採取したサンプルとはやぶさ2が採取するサンプルを相互に提供し合うことで合意した。はやぶさ2には、サンプラホーンの先端を撮るカメラCAM-Cも搭載されており、これはJAXAへの寄付金で作られた。
満身創痍での運用となった初代と比べ、確実に運用する為の改良が行われた。たとえば、初代はやぶさにおいてイトカワに着地させることが出来なかった「ミネルバ」(着地探査ローバー)の搭載数は、1基から3基に増加、ドイツ航空宇宙センターとフランス国立宇宙研究センターが共同開発した着陸ローバー「マスコット」(MASCOT, Mobile Asteroid Surface Scout)と併せて運用される。
同じく初代では信頼性強化の改造が裏目となり、3基中2基が運用不能となったリアクションホイールも3基から4基へと増加され、なおかつ最後の1基はなるべく着陸時までは温存するため、はやぶさ帰還時の運用経験を活かし可能な限り一基のリアクション・ホイールと太陽光圧を利用した運用を行っている。
また、新たにKaバンド(32GHz帯)の高速通信が可能な平面アンテナを従来のXバンド(8GHz)アンテナに追加したことで、全般的な高速通信速度が可能な中で、極限時の指令運用(完全自律判断によるタッチダウンと比べた場合指令誘導とすると極端な高速化ができる)をより速やかに図ることができるようになった(従来のパラボラアンテナを小型軽量の平面アンテナに変えて同一面に2枚のアンテナを配置できた)。
さらに、目標小惑星であるリュウグウが、自転速度7時間半長径920mのほぼ球形で、何より自転軸が黄道面に対して横倒しに近く、それが垂直であったイトカワが12時間の自転毎に天体全面を観察できた事と比べて極めて効率が悪いため、イトカワでの3ヵ月に比べて6倍にあたる1年半を費やして調査することにしている。
はやぶさ(第20号科学衛星MUSES-C)は、2003年5月9日13時29分25秒(日本標準時、以下同様)に宇宙科学研究所(ISAS)が打ち上げた小惑星探査機で、ひてん、はるかに続くMUSESシリーズ3番目の工学実験機である。 イオンエンジンの実証試験を行いながら2005年夏にアポロ群の小惑星 (25143) イトカワに到達し、その表面を詳しく観測して[注釈 1]サンプル採集を試みた後、2010年6月13日22時51分、60億 kmの旅を終え、地球に大気圏再突入した[3]。地球重力圏外にある天体の固体表面に着陸してのサンプルリターンに、世界で初めて成功した。
自律判断によるタッチダウンと比べた場合指令誘導とすると極端な高速化ができる)をより速やかに図ることができるようになった(従来のパラボラアンテナを小型軽量の平面アンテナに変えて同一面に2枚のアンテナを配置できた)。さらに、目標小惑星であるリュウグウが、自転速度7時間半長径920mのほぼ球形で、何より自転軸が黄道面に対して横倒しに近く、それが垂直であったイトカワが12時間の自転毎に天体全面を観察できた事と比べて極めて効率が悪いため、イトカワでの3ヵ月に比べて6倍にあたる1年半を費やして調査することにしている。
参考 サイエンスポータル: https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2018/06/20180625_01.html
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