コアラの全遺伝子情報(ゲノム)解読
コアラというと動物園の人気者であるが、2016年2月現在、日本国内でコアラを飼育している動物園は8つしかない。近年コアラの飼育数が減少しているため、全国のコアラを飼育する動物園が協同繁殖に取り組んでいる。
最も問題となるのがコアラの餌で、コアラはユーカリなど決まった植物の中からさらに特定の種類、しかも若い木の葉ではいけないなどの嗜好があり、大量に食べる為、合理的にコアラを飼育するには餌用のユーカリを専門に栽培する農家の存在と、ユーカリを年中安定して供給できる環境が必要である。
オーストラリア東部の森林地帯やユーカリの林などに生息している。 体色は背面が灰色で、腹面が白色、体長は約65cm-82cm、体重は約4kg-15kgである。オーストラリア北部に生息するコアラよりも南部に生息するコアラの方が体が大きく体毛の長さも長い。タンニンや油分を多く含むユーカリの葉を好んで食べる。歩くことは稀にあり4足歩行である。現在、コアラの生息数は10万頭以下、絶滅が危惧される。
今回、コアラのゲノムが、オーストラリア博物館の保全遺伝学者、レベッカ・ジョンソン氏率いる研究チームによって解読され、7月2日付けの学術誌「Nature Genetics」に発表された。
これにより、コアラがユーカリの葉だけでどのように生き延びているのか、なかでも毒が少ない葉をどのように選り分けているのか、クラミジアのような一部の病気に対し、なぜあれほど耐性がないのかといった謎の解明につながるヒントが見つかりつつある。
毒の葉だけ食べて生きるコアラ、鍵の遺伝子を発見
コアラは実に変わった動物だ。食べものの選り好みが激しく、毒があるせいで普通は食べられないユーカリの葉の、ごく限られた種類だけを食べて生きている。ほとんど一日中眠っている。赤ちゃんは母親のうんちを食べる。ほかの動物たちにはさほど悪影響を与えない病気で命を落としてしまう。
オーストラリアの大半の地域において、コアラの数は過去数十年間で激減している。原因は、開発のためのユーカリ林の伐採や、恐ろしい病気の蔓延などだ。
論文の主要筆者であるジョンソン氏のところには以前から、州当局や開発業者から、健康で遺伝的に多様なコアラの個体群をオーストラリア全土で維持するにはどうしたらよいかという問い合わせが繰り返し寄せられていた。
こうした疑問に答えるのに、コアラのゲノム解読に勝る方法はない。
そこでジョンソン氏は世界中の専門家を集めたチームを作り、遺伝子のパズルのピースを少しずつ集めていった。「ゲノムの解析には本当に多くの人手が必要なのです」とジョンソン氏は言う。「とは言え、コアラのために働く人を集めるのはそう難しくありません。コアラはとてもかわいいですから」
コアラはかわいく、そしてとても変わっている。彼らは繊維の多いユーカリの葉を食べるが、そこには毒が含まれており、ほかの動物たちは基本的にこれを食べることができない。一方コアラは、毒をすみやかに排出する能力を進化させたことから、体を害することなくユーカリを日々、大量に食べる。
ただしユーカリの葉に含まれるカロリーは非常に少ないため、彼らは1日のうち22時間を休憩と睡眠に費やしている。
解毒酵素多く、においにも敏感、保護に光
ジョンソン氏のチームは、コアラのゲノムのうち、ある解毒酵素の情報をもつ部分が、他の哺乳類(あるいは人間)の2倍あることを発見した。おそらくはるか昔のある時点で、その部分が偶然複製されたと研究者らは考えている。そして倍になった遺伝子のおかげで、コアラの解毒システムがより強力かつ効率的に進化していったのだろう。
「いわゆる共進化のたぐいです」。現在は米マサチューセッツ工科大学の研究者で、かつてコアラの腸内微生物叢がどのようにユーカリを処理しているかを研究していたミリアム・シフマン氏はそう語る。ユーカリは動物に食べられることを避けるために「化学物質の複雑なカクテル」という毒を作り出し、コアラはそのカクテルに対応できる一枚上手の方法を編み出すというわけだ。
今回の研究では、コアラの葉の選び方に関しても発見があった。研究者らは長年の間、コアラが葉のにおいをかぐ様子を観察しながら、彼らはなぜある葉を食べ、また別の葉を捨てるのかを不思議に思っていた。研究者らが立てた仮説は、コアラはにおいによって、葉に毒や栄養分がどれだけ含まれているかを感じ取っているというものだった。
その予想の通り、ゲノムの嗅覚器を司る部分には、ユーカリ独特のハッカのようなにおいの微妙な違いを嗅ぎ分けるのに役立つ遺伝子が数多く見つかった。
毒に強い分、薬が効かない
毒の分子を体内から取り除く能力に優れているコアラだが、毒を排出するシステムは同時に、薬もあっという間に外へ出してしまう。そのスピードは人間の何倍にもなる。また抗生物質は腸内微生物叢に干渉し、ユーカリの葉を分解する能力に影響を与えて、コアラをゆっくりと餓死に向かわせる。
この事実が、クラミジアのような病気への対処を難しくしている。人間やコアラ以外の有袋類に使用される薬が効かないからだ。これまで多くの研究者が長い年月をかけて、コアラのクラミジアを予防するワクチンを開発しようと努力を続けてきた。
「ワクチン開発に向けたあらゆる努力は、コアラの免疫システムについての知識が不十分だったために、成果を挙げられずにきました」と、シドニー工科大学の微生物学者、ウィラ・ヒューストン氏は言う。「今回、免疫反応に関連する数千もの遺伝子の情報が手に入ったことで、エビデンスと科学知識を用いて目当てのワクチンの作成に取り組むことができます」
コアラはまた、レトロウイルスによっても病気を発症する。これはHIVにも似た、免疫システムを弱らせるウイルスで、発症したコアラではクラミジアやがんなどの病気への耐性がさらに低くなる。こうしたレトロウイルスはときおり、遺伝子に潜り込むことがある。研究者らは、レトロウイルスがコアラの進化の歴史上、何十回にもわたって遺伝子に組み込まれてきたことを発見したが、こうした“奇襲”は現在も引き続き起こっている。
クイーンズランド州で検査にかけられたコアラはすべて、なんらかのレトロウイルスを持っていた。しかし最近のものは、古代のものより有害だ。ゲノム解読によって得られた情報は、そうした種類を追跡する手がかりとなり、より優れたワクチンを開発するための土台を提供してくれる。
遺伝子を深く分析することはまた、存続の危機にさらされている小さな個体群の遺伝的な多様性を保つ方法を探るうえでも役立つ可能性がある。
コアラは現在、さまざまな種類の脅威にさらされていると、ジェームズクック大学の保全遺伝学者、シャノン・クジェルドセン氏は言う。もし個体群の遺伝的多様性が確保されていれば、そうした多様な脅威に対応しやすくなる。一方で、個体群が近親交配を始めれば、「種全体が、新たな困難に対応する力を失っていきます」とクジェルドセン氏は言う。
これからはゲノムを参照することによって、各地のコアラの繁殖地で何が起こっているかを把握できるようになる。そしていつどのような行動を起こすべきかを、以前よりも正確に掴めるようになるだろう。
コアラの生態
一日のうち18-20時間を眠るか休んで過ごし、最も活動的になる時間は早朝および夕方で、薄明薄暮性である[。この生態はナマケモノに似るが、ナマケモノは体温が一定しない変温動物であるがコアラは36℃ほぼ一定の体温をもつ恒温動物であり、基礎代謝量もナマケモノの30倍近い。
天敵となるのは、大きな猛禽類をはじめ、まれに地上を歩いた時に、ディンゴ、野生化したイヌ、キツネなどにおそわれる可能性がある。
食性は草食性でユーカリやアカシア、ティーツリーの葉や芽を、一日に500g - 1kg以上を食べる。オーストラリアにはユーカリは600 - 700種以上あるとされるが、食用になるユーカリはこの中で約35 - 120種である。さらに、各地域に生息するコアラは、その地域にある全てのユーカリを食べるのではなく、多くのユーカリの種の中から数種類のユーカリやその他の植物を好んで食べる。
ユーカリの葉
ユーカリの葉は、昆虫や野生動物に食べられるのを防ぐためにタンニンや油分が含まれており、消化が悪く、一般に動物の餌として適さない。コアラはユーカリを食べる前ににおいをかぎ、葉を選別してから食べる。さらに盲腸で発酵させることでユーカリの毒素を分解し、消化吸収する。コアラの盲腸の長さは2mある。
コアラが常食する食物は栄養に乏しく、活発な行動をするためのエネルギーを得ることができないため、一日のうち18-20時間を眠って過ごすことで、エネルギーを節約している。
通常、水分はユーカリ(種類にもよるが50-70%の水分を含む)などの食物からのみ摂取し、直接水を飲むことは稀であるが、火災などでユーカリの葉が焼けたり猛暑で脱水症状におちいったコアラが水を飲む姿がたびたび目撃されている。
コアラとクラジミア
1970年代にクラミジアに感染しているコアラが確認され、1982年までにブリスベン森林公園やフィリップ島などで、クラミジアへの感染率が80-90%になっているのが確認された。
クラミジアは今なお、コアラの間で流行しており、これにより目が見えなくなったり、またメスの場合は不妊などを引き起こしている。クラミジアが確認されなかったフレンチ島のコアラの繁殖率は約80%に達していたのに対し、ブリスベン森林公園でのコアラの繁殖率は40-50%、フィリップ島では10-15%であった。
現在、生息しているコアラの大部分はクラミジアを保有しているとされ、生息地の環境破壊などコアラのストレスの増加により症状が発症するとされ、このことは人間の活動の結果による生息地の破壊や、交通事故などによるコアラの生息頭数の減少数などと同様に問題となっている。
また、クラミジアに対するワクチンを開発し野生個体に注射することで、これらの生息地の開発・破壊を防ぎ、コアラがストレスなく生息できる環境をつくることが、有効とされる。
クラジミアと人間
人間の場合、Chlamydia trachomatis(クラミジア・トラコマチス)はトラコーマ、性器クラミジア感染症、鼠径リンパ肉芽腫、Chlamydophila (Chlamydia) psittaci はオウム病、Chlamydophila (Chlamydia) pneumoniae はクラミジア肺炎(非定型肺炎のひとつ)、気管支炎の原因となる。
細胞壁にペプチドグリカンがないため、ペニシリン系・セフェム系のβラクタム抗生物質は無効であり、マクロライド系・テトラサイクリン系・ニューキノロン系といった抗菌剤が治療には用いられる。
女性のクラミジア感染が蔓延しつつあり、不妊症の原因となる骨盤腔内の感染が問題となりつつある。また性交によって感染するので、性感染症の一種であり、他の性感染症と同様、性交渉によりキャッチボールと呼ばれる感染パターンのため性的パートナーも危険にさらされている。このため、治療は、性的パートナーと同時に行わなければならない。
クラミジアが血液感染するかどうかは、2014年7月現在、判明していない。60℃10分間の加熱で不活化するので、加熱処理された血液や血液製剤から感染する可能性はまったくない。
クラミジアなどによって引き起こされる肝周囲炎はフィッツ・ヒュー・カーティス症候群と呼ばれる。 「クラミジア・トラコマティス」という病原菌が、性器やのど、直腸などに感染して炎症をおこす。性感染症(性病)の一種で、正式な病名は「性器クラミジア感染症」という。
参考 National Geographic news: http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/070400296/
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