とんでもないものを食べる動物立ち

 動物園ではパンダやコアラが人気だが、彼らは何を食べているだろう?

 そう、パンダは竹の葉、コアラはユーカリの葉である。パンダはもとは熊の仲間で、雑食性であったが、氷期の到来による気候変動がもたらす食糧不足から偏食を余儀なくされ、常に入手しやすい栄養価の少ない「竹」ばかり食べるようになったと考えられている。今でも肉類を食べることもある。

 コアラが「ユーカリ」の葉を食べるのは、ユーカリには毒性があり、他の動物があまり食べないからだ。コアラ自体は毒である、青酸(シアン化水素、HCN)を、腸内発酵することで分解している。



 植物も自分の身を守るために必死で毒をつくり出している。だが、動物が毒性のある植物を好んで食べる例は多い。何を隠そう人間も他の動物が食べれないものを食べている。

 例えば、アボカドは動物にとって猛毒だが、人間だけがアボカドを食べている。アボカドには、ペルシンが含まれている。ぺルシンは、アボカドに含まれる毒素。最近発見されたため、その詳細についてはまだ明らかでない部分が多いのだが、人間には無害でも多くの動物にとっては毒であることがわかっている。

 例えば、モルモットが食べると、けいれんや呼吸困難を起こすことがある。鳥類は、呼吸困難を起こしたり、心筋を損傷してしまう。ウシなどの家畜類は、アボカドの葉っぱや木の皮を食べると、乳腺炎になる。イヌやネコは、下痢や嘔吐などの症状を起こす。

 なぜ人間だけがアボカドを食べられるのか?人間の体内には何らかのぺルシンを無毒化する機能が備わっているものと考えられるが、はっきりしたことはまだわかっていない。

 他にも「玉ねぎ」の硫化アリルが犬や猫の赤血球を破壊し、貧血を起こす。「チョコレート」の原料のカカオに含まれるテオブロミンは中枢神経に対して毒性を持つ。「キシリトール」は犬に血糖値の低下や嘔吐、肝不全などを引き起こす。

 唐辛子にしても一部の人間だけが好んで食べるが、他の動物は食べないとされてきた。ところが今回、ある動物が人間より好んで唐辛子を食べることが判明した。それはどんな動物だろうか?


 唐辛子を食べまくるツパイ、なぜ平気?

 あなたは中国のツパイと同じくらいトウガラシを食べられるだろうか? おそらく無理だろうが、最新の研究によれば、知られている限り、わざわざ辛いものを食べる哺乳類は人間とツパイだけだという。

 中国の研究チームは、中国南東部の熱帯雨林に暮らすツパイにおいて、トウガラシの辛み成分であるカプサイシンの感受性が低くなっていることを発見し、7月17日付けの学術誌「PLOS Biology」で発表した。

 論文によれば、ツパイでは感覚神経にある「TRPV1(トリップ・ブイワン)」というカプサイシンの受容体が変異していた。TRPV1は哺乳類の舌や喉にあり、酸や熱、カプサイシンを感知すると、痛みとして脳に警告を発する。(参考記事:「トウガラシが辛いのは菌類を撃退するためだった」)

 ところがこの変異のおかげで、ツパイは辛いものを食べてもあまり痛みを感じない。


 たった1つのアミノ酸のおかげ

 中国科学院大学のヤラン・ハン氏と同僚らは、ツパイが辛い植物を好んで食べることを知っていた。(参考記事:「コロンブスを航海に向かわせた、トウガラシをめぐる冒険」)

 ハン氏らは今回の研究で、野生のツパイ5匹と比較対照群として野生のシナシロハラネズミを6匹捕まえ、現地の植物園で栽培されているPiper boehmeriaefoliumも用意した。カプサイシン類を多く含むコショウの仲間だ。

 次に、痛みに対する反応を測定するため、ツパイとネズミにP. boehmeriaefoliumから得られたカプサイシンを注射した。注射した部位をどれくらいなめるかを観察したところ、当然ながら、ネズミたちはツパイよりよくなめた。

 さらにツパイとネズミの違いを調べた結果、たった1つのアミノ酸が異なるおかげで、ツパイは激痛を感じることなく辛いものを食べられることが明らかになった。


 食事のバラエティーを増やして生き残る

 ハン氏らは、ツパイがトウガラシを食べられるのも、同じ変異のおかげだと考えている。

 多くの植物は動物に食べられないよう、進化によって辛み成分を獲得した。しかし、ツパイはその上を行く進化を遂げたようだ。

 ハン氏は論文の中で、次のように説明している。「この遺伝子変異は進化の過程で起きた適応であり、ツパイは食事のバラエティーを増やし、生存率を高めるため、カプサイシン類への耐性を獲得したのだと思います」

 かわいいリスにに似た動物が、唐辛子を食べるとは驚きであるが、ツパイの凄さはそれだけではない。2008年の研究で、アルコールも好んで飲むことが判明している。

ヤシの花のお酒を好む、リスによく似た動物

 アルコールを好んで摂取する動物は人だけかと思ったら、動物にもいるという。しかも私のように酔うことなく、分解してエネルギーにできる。この動物は何だろうか?

 正解は「ツパイ」である。ツパイはリスに似た姿の原始的な哺乳類。サルのなかまにも近いといわれる。ドイツなどの研究チームが発見した。

 マレーシア西部のヤシの一種は、花の蜜が発酵するとアルコール度数が最高3.8度とビールなみになる。この木に群がる動物を調べたら、ツパイのなかまのハネオツパイが蜜を主食にしていた。 アルコールの代謝能力も人より高いという。

 「ツパイ」には花の蜜を飲む種類がいて、花粉を運び受粉を助けている。この「蜜月関係」は、ヤシとツパイの進化から考えて5500万年前から続いているという。お酒の飲めない人はツパイやサルより進化している(?)のだ。ツパイとはどんな動物なのだろうか?


 ツパイとは何か?

 ツパイ目(ツパイもく、Scandentia)は脊椎動物亜門 哺乳綱の1目。登木目・登攀目などとも呼ばれる。現生では2科5属16種のみがツパイ目に属する。ツパイ(マレー語: tupai)と総称される。古くは「キネズミ」と呼ばれた。

 外見、行動はリスに似ているが、系統的には全く別の動物である。昆虫や果実を食べ、東南アジアの熱帯雨林に生息している。樹上性で、長い尾を持ち、やや細身のリスのような姿である。頭部は鼻が尖り、耳が小さい。

 基本的な体の構成はモグラ目のものに似ている。しかし、脳や目が大きい点でサル目に似た外観を有するが、サル目に比べ原始的な頭骨の特徴を持つ。そのため、最も原始的な霊長目(のちのサル目)のメンバーと考えられたこともあった。 

 2008年のアメリカ科学アカデミー紀要(PNAS)によると、自然界に生息するハネオツパイがヤシ科のブルタムヤシの一種 Eugeissona tristis の花芽から開花期にかけて分泌される蜜が花芽に住み着いた固有の酵母群集により発酵してアルコールを最大3.8%、平均で0.6%含むようになった液体を主要なエネルギー源として日常的に摂取しており、独占的に送粉に与っている事が分かり、飲酒の習慣を持つ動物として話題となった。

 体内の特別な酵素によって摂取したアルコールを速やかに体外に排出しているのではないかと考えられている。 人間に換算すると、ビールの大瓶を毎日7-8本摂取しているアルコール量になる。


参考 National Geographic news: https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/071900317/


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