観測史上初、5日連続で台風発生
今年は台風が多い。8月16日、台風19号が発生した。これは、5日連続で発生した台風で、観測史上初めてのことになる。その後18日に20号、28日に21号が発生している。8月の台風の発生数は平年だと6個、今年は9個。これまでの記録では1960年と1966年の10個が最高である。
台風ができるのは、1月~8月の間では平年13個くらいだが、すでに19個とハイペース。また、8月12日の台風15号「リーピ」の発生から5日連続で台風ができたことになり、これは1951年からの統計開始以来初めてのこと。
8月12日 台風15号「リーピ」発生、8月13日 台風16号「バビンカ」発生、8月14日 台風17号「ヘクター」越境台風、8月15日 台風18号「ルンビア」発生、8月16日 台風19号「ソーリック」発生といった具合だ。8月18日には台風20号「シマロン」、8月28日 台風21語「チェービー」が発生している。いったいどうしてこんなに台風の発生が続くのだろうか?
この夏は、南西からのアジアモンスーンがいつもより東に張り出して、対流活動が活発になっている。日本の南でこの南西風と東からの風がぶつかり低気圧性循環(反時計回り)が生まれる。こうして雲が渦を巻きやすくなっていることが、台風がハイペースで発生している要因の一つと考えられる。
また台風は、暖かい海面(温度約26度以上)から供給される水蒸気をエネルギー源として発達する。日本付近の海面水温を見ると関東付近から南で26度以上となっていて、日本海でも北陸付近から南で台風が発達してもおかしくない温度になっている。さらに四国や九州付近は30度くらいの高さの所もある。海水は熱容量が大きく「熱しにくく冷めにくい」という特性があるため、今後も急激に温度が下がることは考えにくく、日本付近で台風が発達する可能性がある。
台風発生が史上2位ペース 原因は?
台風の発生数が1951年の統計開始以来、史上2位の早いペースで推移している。16日に発生した最新の19号まで史上初の5日連続で発生し、17日時点で過去最多だった71年の22個に迫る勢いだ。気象庁によると主因は貿易風と、季節風のモンスーン。熱帯域で台風と同じ反時計回りの大気の流れを生み出し、台風発生を加速させているとみられる。
台風は、反時計回りに渦を巻く積乱雲の集まり。熱帯域で水蒸気をエネルギー源に発達し、太平洋高気圧の周辺部を北上する。太平洋上で東から吹く貿易風の影響で西にカーブした後、日本付近で偏西風に乗り、東に進路を変えるパターンが多い。
今季の熱帯域は海面水温が高く、水蒸気が豊富で台風が発生しやすい環境だが、「それだけでは説明できない」と気象庁。「ここ1週間ほどインド洋のモンスーンが強まり、湿った西風が南シナ海を越えて北西太平洋に到達した影響と考えられる」と分析する。
東から吹く貿易風と、西から吹くモンスーン。二つの風に挟まれた熱帯域では大気の流れが反時計回りになり、台風の渦ができやすい。さらに、逆向きの風がぶつかり合うと上昇気流が生まれ、積乱雲もできやすい。台風量産を招く熱帯域の“異変”について、気象庁は「いつまで続くか見通せない」としている。(2018/08/18 西日本新聞)
台風の名前の付け方
台風20号「シマロン」は、フィリピンが用意した名前で野生の牛の意味。台風21号「チェービー」は、韓国が用意した名前でツバメ(燕)の意味。台風の名前はどうやって決まるのだろうか?
台風の名前は、「台風委員会」(日本含む14カ国等が加盟)などが提案した名前が、あらかじめ140個用意されていて、発生順につけられる。準備された140を繰り返して使用(140番目の次は1番目に戻る)されるが、大きな災害をもたらした台風などがあると、加盟国からの要請によって、その名前を以後の台風では使用しないように別の名前に変更することがある。
また、ハリケーンが東経180度を越えて北西太平洋に移動してきた場合やサイクロンが北インド洋から南シナ海に移動してきた場合、台風と名称が変わるが、その場合は、以前の領域を担当する気象機関によって既に付けられた名前がそのまま継続使用される。このため、140に含まれない名前が付けられた台風もあらわれる。(例:2018年台風17号。ハリケーン「ヘクター」が、そのまま台風17号「ヘクター」に)
参考 日本経済新聞: https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3470896028082018CC1000/
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