絶滅するサイの仲間たち
2011年10月25日、ベトナムに生存していた最後のジャワサイが密漁で殺され、ベトナムに生息するジャワサイが滅亡したことを、世界自然保護基金(WWF)が発表した。これでアジア大陸からジャワサイは姿を消し、生き残っているジャワサイはインドネシア・ジャワ島西部の50頭だけになった。
2018年3月19日、世界にあと3頭しか残っていないキタシロサイ。その最後のオス・スーダンが病にかかり死亡した。これによりオスが絶滅、現存するキタシロサイは2頭となった。スーダンはケニアのオルペジェタ自然保護区で、ファトゥとナジンという2頭の高齢のメスと一緒に暮らしていた。24時間常に武装した警備員によって監視されていた。サイの寿命は40〜50歳で、残る2頭もすでに繁殖年齢を過ぎている。
今となっては野生のオスが発見されない限り、自然繁殖は事実上不可能だ。科学者らはキタシロサイを救うために、生きている個体からすでに生殖細胞を採取し、ミナミシロサイを代理母とした体外受精の準備を進めているが、これには10年以上かかることが予想される。
現生のサイは5種で、そのいずれもが絶滅の危機に瀕している。かつて人間はサイを狩猟し食糧としていたとされるが、現在の生息数減少の主な原因は、生息域の開発と、角を目当てにした密猟で、2008年から急増し現在進行形の脅威である。サイの角は、コカイン、ヘロイン、金よりも高値で取引され、場所によっては1キロ当たり25,000ドルから60,000ドルで取引される。
サイとは何か?
サイ(犀)は、奇蹄目サイ科(Rhinocerotidae)に分類される構成種の総称。 世界には5種のサイが現生しており、アフリカ大陸の東部と南部(シロサイ、クロサイ)、インド北部からネパール南部(インドサイ)、マレーシアとインドネシアの限られた地域(ジャワサイ、スマトラサイ)に分布している。現生のサイは体毛がなく(或いは薄く)、寒冷地域には分布していない。
サイはゾウに次ぐ大型の陸棲哺乳類であり、最大の種であるシロサイは体長4m、体重2.3tに達する(最大で3.6tという記録がある)。巨体に似合わず最高時速50kmで走ると言われる。サイの皮膚は非常に分厚く硬質で、体全体を鎧のように覆っている。その皮膚はあらゆる動物の中でも最硬といわれ、肉食獣の爪や牙を容易には通さない。加えて成獣は大きな体躯を持つことにより、肉食獣に襲われて捕食されることは少ない。
頭部には1本または2本の硬い角を持つ。これはほとんどの動物に共通して言えることだが、角の主な用途は敵に対する攻撃や防御ではなく、サイ同士が角をぶつけ合って、個体の優劣を決めるためのものである。成分を見ると角は骨ではなく、むしろ人間の髪の毛や爪に近い。表面から中心部までの全体が、体毛や蹄と同じく、皮膚の死んだ表皮細胞がケラチンで満たされてできた角質で構成されている。
そのためウシなどの角とは違い、折れても時間が経てば再生される。動物園では飼育員の安全のため(主な用途が外敵排除でないとはいえ、暴れると角を振り回すことがあり、ぶつけられると死傷も在りうる)、野生および保護区では角を目当てとした密猟防止のために、意図的に角を切り落とすこともある。
目は小さく視力は弱いが、鋭い嗅覚と聴覚をもつ。夜行性であり、草や葉を主食とする。基本的に単独で生活するが、草原で生息するシロサイは小さな群れをつくることがある。雄は通常、縄張りを持ち、尿でマーキングすることで縄張りを主張する。火を見ると消す習性があるものがいるために「森の消防士」とも呼ばれる。現生のサイは5種で、そのいずれもが絶滅の危機に瀕している。生息数減少の主な原因は人間による乱獲であり、現在でも角を目当てにした密猟が絶えない。
角は工芸品や漢方薬の材料として珍重され(もっとも角に薬としての効用は実はほとんどない)乱獲が進んだ。サイ科の5種すべてが絶滅の危機にあり、ジャワサイ、クロサイ、スマトラサイの3種が絶滅危惧 IA 類に指定されている。(Wkipedia)
絶滅寸前のキタシロサイ
世界にあと3頭しか残っていないキタシロサイ。その最後のオスが病にかかり死亡、この動物はまた一歩絶滅に近づこうとしている。
スーダンと名付けられた45歳のキタシロサイは、右後ろ脚のひどい感染症に苦しめられていた。同じ後ろ脚は昨年、加齢に伴う病気にかかったが、今回の感染症はその患部の下で起こったものだ。この新たな感染症への治療の効果は見えておらず、キタシロサイの世話をしている人々は、この先痛みが耐え難いほど悪化することがあれば、安楽死させることを視野に入れていた。
「必死の努力を続けてきました」とアフリカ野生生物基金会長のカッドゥ・セブニャ氏は言う。「オスのサイが今も苦しんでおり、じきに死んでしまうのかと思うと、心配でたまりません。状況は絶望的です」
スーダンは最後に残った3頭のキタシロサイのうちの1頭だ。ケニアのオルペジェタ自然保護区で、ファトゥとナジンという2頭の高齢のメスと一緒に暮らしており、24時間常に武装した警備員によって監視されている。サイの寿命は40〜50歳で、3頭ともすでに繁殖年齢を過ぎている。スーダンはチェコ共和国の動物園からケニアに連れてこられた。
キタシロサイは、かつてはチャドからコンゴ民主共和国にかけて広く生息していると考えられていたが、その数は減少を続けてきた。1960年代には2000頭を超えていた生息数は、1984年には15頭に激減し、現在ではわずか3頭が残るのみだ。
絶滅は必至
生息地の減少と密猟は、何十年も前からアフリカとアジアのサイの生息数を脅かし続けてきた。サイの角は二日酔いに効果があると言われ、またアジアの伝統薬の材料にされることもある。しかしながら、科学者の多くはその効果を否定している。
「今回の事例は、アフリカが大切な財産を失いつつある現状を如実に表しています」。ウガンダ出身で、現在はケニアのナイロビを拠点に活動するセブニャ氏は言う。「次世代のアフリカの人々に、これをどう説明したらいいのでしょうか。他のアフリカの動物たちを放っておくような傲慢な真似は、もうできません」
キタシロサイの数は減少を続けてきた。2015年11月には、米サンディエゴ動物園でノラという41歳のメスが、病に繰り返し襲われた末、安楽死させられた。同年7月には、チェコの動物園でナビレという名の31歳のメスが合併症で死亡した。2014年10月には、34歳のオスのスニが亡くなった。自然死だった。
今となっては野生のオスが発見されない限り、自然繁殖は事実上不可能だ。科学者らはキタシロサイを救うために、生きている個体からすでに生殖細胞を採取し、ミナミシロサイを代理母とした体外受精の準備を進めているが、これには10年以上かかることが予想される。
もう一つのシロサイは?
シロサイは現存するサイ5種のうちの1種で、そこからさらにキタシロサイとミナミシロサイという2つの亜種に分かれる。キタシロサイはミナミシロサイよりも体が小さく、背中がまっすぐで、頭骨の上部が平たく、耳と尻尾が毛深く、前の角がずんぐりとしている。ミナミシロサイは比較的体が大きく、頭骨の上部がくぼんでおり、肩のこぶが背中に盛り上がっており、体全体に体毛が生え、前の角が長い。
キタシロサイと同じく、ミナミシロサイも個体数の減少に悩まされてきた。南アフリカ原産のミナミシロサイは、今世紀初頭にはかなり減っていたが、政府の保護活動により、個体数は約2万頭まで回復した。繁殖や移住プログラムのほか、議論の多いスポーツ・ハンティングが管理下で容認されてきたことも功を奏しているようだ。
しかし近年、南アフリカではサイの角の取引が再び合法化され、ミナミシロサイは、今も国際自然保護連合(IUCN)の「準絶滅危惧(near threatened)」に指定されている。
「アフリカの人間として保護に努めなければ、多くの種に同じことが起こります」とセブニャ氏は言う。「これはわれわれの目の前で起こっていることであり、他の種を助けるために人間には何かができるはずです」
参考 National Geographic news: https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/b/030600158/
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