太陽系の歴史
私たちの住む地球と太陽や太陽系は、いつどのように誕生したのだろうか?
現在の考え方では、およそ46億年前、巨大な分子雲の一部の重力による収縮が起こり始まったと推定されている。収縮した質量の大部分は集まって太陽を形成し、残りは扁平な原始惑星系円盤を形成してここから惑星、衛星、小惑星やその他の太陽系小天体等ができた。
多くの衛星は、惑星の周りのガスや宇宙塵の円盤から形成されたり、惑星の重力に捉えられたりして形成された。天体同士の衝突は今日でも続き、太陽系の進化の原動力となっている。惑星の位置はしばしば変化し、入れ替わったと考えられている。
太陽形成から間もなく、45億4000万年前(±5000万年)ごろ地球誕生。 太陽系の隕石や月の岩石の生成年代から、原始地球が形成されたと考えられている。この太陽形成から惑星誕生までの時間差はこれまで±5000万年の時差がありハッキリしないものであった。
今回、東京大学の研究グループが、生まれてからわずか1000年の「原始星」の周りで、すでにガスの円盤が回転していることを「アルマ望遠鏡」を使った観測で確かめることができた。宇宙誕生から138億年、私たちが住む惑星系である太陽系の誕生からは46億年という長い年月を考えると「1000年」は、まさに誕生と同時といってもよい早い時期だ。
その後、太陽系では地球型惑星と木星型惑星が、別々に分かれて形成されていくことになるが、この違いは何であろうか?
水・アンモニア、メタンなどの水素化合物が凝集し固体となるのに充分な低温となる主たる恒星からの距離を凍結線と呼ぶが、太陽系の場合、凍結線は小惑星帯の辺り(約2.7AU1)になる。
凍結線は惑星の質を地球型と木星型に分ける境界になる。H2O(水)が昇華する温度がおよそ170Kであり、凍結線の内側ではH2O(水)は水蒸気に、外側では氷になり、そのため凍結線の内側では地球のような岩石の惑星が形成され、その外側には氷の惑星ができる。
また、地球の形成位置は、後に生命を育むことができる液体の水を保持することができるハビタブルゾーンに位置していた。 月の形成時期も、45億5000万年前と考えられている。月の形成仮説の1つとして、地球に原始惑星が衝突して形成されたとするジャイアント・インパクト説がある。
星は、生まれると同時にもう惑星づくりへの助走を始めていた
私たちを照らす恵みの太陽も、もとはといえば宇宙空間を漂う薄いガスだった。ガスが自分自身の質量(重さ)で集まって縮み、周りのガスは円盤状になって回転を始める。やがて中心のガスの塊は本格的な「星」となって光りだし、ガスの円盤からは、中心の星の周りを回る惑星ができる。このような惑星の形成は、最初にガスが集まり始めてからどれくらい早い段階で助走を始めるのか。
東京大学修士課程の大小田結貴さん、山本智教授らの研究グループは、生まれてからわずか1000年の「原始星」の周りで、すでにガスの円盤が回転していることを、南米チリの高地にある「アルマ望遠鏡」を使った観測で確かめた。宇宙誕生から138億年、私たちが住む惑星系である太陽系の誕生からは46億年という長い年月を考えると、「1000年」は、まさに誕生と同時といってもよい早い時期だ。「ある程度しっかりした原始星ができてからガス円盤が回転を始める」というこれまでの考え方に、新たな光をあてる結果だ。
大小田さんらは、この原始星の周りにある一酸化硫黄ガスが出す電波を、高分解能で観測した。その結果、ちょうど惑星のように重力と遠心力がつりあって中心の星の周りを回転する、小さいながらも立派なガスの「原始星円盤」ができていることがわかった。その回転スピードをもとに計算したところ、この原始星の質量は太陽の0.7%ほど。これまでにみつかっていた原始星は太陽質量の10%くらいより大きかったので、大幅な記録更新だという。
もうひとつわかったのは、この原始星の質量と、その周りを回っているガス円盤の質量がほぼ等しいことだ。大小田さんによると、中心の原始星が重くて円盤が軽い場合は、円盤は安定して回転する。ところが、それらが似たような質量の場合、この回転が不安定になって、あるとき突然、ガスが原始星をめがけて落ち込み、一気に星に加わる可能性があるという。原始星が少しずつ成長するのではなく、あるとき激しく急に成長する可能性を指摘するものだ。
大小田さんによると、質量が太陽の100分の1から10分の1くらいまでの原始星は、まだ報告例がない。つまり、今回の小さな原始星と、これまでにみつかっていた原始星との間をつなぐ観測例が、まだないのだという。このあたりの観測が進めば、私たちの太陽系ができたしくみも、さらにはっきりわかってくるのだろう。(サイエンスポータル:https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2018/09/20180911_01.html)
誕生したばかりの原始星に、惑星系のもとになる円盤構造を発見
アルマ望遠鏡による電波観測で、誕生したばかりの原始星の周りに惑星系のもとになる回転円盤構造が作られていることが明らかになった。原始星の誕生とともに惑星系の形成が始まっていることを示す結果である。 【2018年9月7日 東京大学大学院理学系研究科・理学部】
新しく生まれた原始星の周りには、回転するガスが広がっている。外側のガス(エンベロープガス)はゆっくりと回転しながら内側へと落下していき、速く回転する原始星円盤を作りながら星へと降り積もっていく。
原始星円盤は将来惑星系が作られる現場であり、この領域を調べることで惑星系の形成や進化について理解を深めることができる。しかし、原始星円盤は直径が数十天文単位(数十億~100億km)程度と小さく、摂氏マイナス200度ほどと低温であり、さらに大量のガスに埋もれているため、可視光線や赤外線で観測することは困難だ。
原始星の周囲の構造を調べるため、東京大学の大小田結貴さんたちの研究チームはアルマ望遠鏡を用いて、おおかみ座の方向約500光年彼方にある、生まれてから1000万年ほどと極めて若い原始星「IRAS 15398-3359」を電波観測した。高解像度を得られるアルマ望遠鏡により、約30天文単位(45億km)の解像度で原始星のガスの分布や運動の様子がとらえられた。
観測の結果、エンベロープガスに存在することが知られている炭素鎖分子の一種「CCH分子」の電波スペクトル線では伸びた構造が見られ、一酸化硫黄(SO)分子の電波スペクトル線では原始星に付随したコンパクトな成分がとらえられた。SO分子はエンベロープガスの最も内側や原始星円盤に主に存在しているので、コンパクトな成分は原始星円盤を写し出していると考えられる。
SO分子の電波スペクトル線に見られるドップラー効果を利用して原始星周囲のガスの運動を調べたところ、コンパクトなガス成分がほぼケプラー回転(原始星の重力と回転ガスの遠心力が釣り合った回転運動)をしていることがわかり、原始星の周りに原始星円盤が形成されていることが示された。
原始星からの距離とガスの回転速度との関係から、原始星の質量は太陽質量の0.007倍と見積もられている。これまでに知られている原始星の最小質量は太陽質量の0.1倍程度で、IRAS 15398-3359はその15分の1ほどしかないことになる。
これはIRAS 15398-3359が非常に若いことを意味している。従来、原始星円盤の形成は、原始星がある程度成長した後に起こると考えられてきたが、IRAS 15398-3359のような誕生したばかりの未成熟な原始星の周囲ですでに原始星円盤が形成されていることが、今回初めて明らかになった。惑星系の形成過程が原始星の誕生とともにすでに始まっていることを初めて示す、重要な成果である。
また、原始星円盤の質量は太陽質量の0.001~0.006倍で、原始星の質量と同程度であると見積もられた。このような状態では円盤構造が重力的に不安定になり、ガスの一部が原始星に向かって一挙に崩れ落ち降着する現象が起こり得る。実際にIRAS 15398-3359では激しい一時的降着が過去に起こった可能性が観測的に指摘されており、今回の観測によってこの現象が裏付けられた。
今後、この天体をさらに高い解像度で調べたり他の原始星を系統的に調べたりすることで、太陽系を含めた惑星系の形成過程の理解が大きく前進すると期待される。(アストロアーツ:http://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/10155_iras15398 )
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