温室効果ガスとは何か?

 温室効果ガスとは何だろう?

 温室効果ガス(greenhouse gas、GHG)とは、大気圏にあって、地表から放射された赤外線の一部を吸収することにより、温室効果をもたらす気体の総称である。真っ先に思い浮かぶのは二酸化炭素であるが、最近はそれ以外のガスが注目されている。例えば、メタンやフロンなどである。

 メタンは温暖化のために溶け始めた永久凍土の中に大量に含まれており、最近注目されている温室効果ガスである。フロンは、水素や炭素、さらにフッ素や塩素等の多くのハロゲンを含む物質で、1920年代に冷媒ガスとして開発された。

 それまで冷媒ガスとして使用されていたアンモニアに比べてとても取り扱いやすく、20世紀中盤では非常に多く使用されていた。現在、先進国では使用禁止になっているが、発展途上国では使用されている。これ以外には、亜酸化窒素(N2O、一酸化二窒素)、六フッ化硫黄 (SF6) などがある。

 昨年は二酸化炭素だけでなく、これらの温室効果ガスも増えていることが判明した。

二酸化炭素など温室効果ガスの濃度 観測史上最高に

 地球温暖化の原因となる二酸化炭素など3種類の温室効果ガスの世界の濃度が、去年、いずれも観測史上最も高くなったことがわかった。

 世界気象機関(WMO)は、主要な3種類の温室効果ガスの世界の平均濃度について、各国の気象当局や研究機関が観測した去年のデータを解析した。

 それによると、二酸化炭素が405.5ppm、メタンが1859ppb、一酸化二窒素が329.9ppbと、いずれもおととしを上回り、世界各地で観測を始めた1984年以降、最も高くなった。このうち、二酸化炭素と一酸化二窒素は1984年以降、毎年、増え続けている。

 ちなみに ppm とは、100万分の1のこと。Parts-Per-Million の略。ppb とは、10億分の1のこと。Parts-Per-Billion の略。1 ppm=1000 ppb である。

 解析に関わった気象庁は「大雨の頻度が増えるなど、地球温暖化による災害のリスクが高まっていると考えられ、引き続き、温暖化対策を進める必要がある」と話している。

 進む温暖化 “温室ガス”濃度が最高更新

 地球温暖化に影響する二酸化炭素など、温室効果ガスの濃度が、観測史上最高を更新した。WMO(世界気象機関)によると、二酸化炭素など、主要な温室効果ガスの2017年の世界平均濃度は、いずれも観測史上最高を更新。また、オゾン層を破壊するフロンガスの一種の「フロン11」についても、1989年から規制対象になっているにもかかわらず、2012年以降、大気中の濃度の減少速度がその前の10年間に比べて、3分の2に鈍っているという。

 一酸化二窒素(N2O)とは何か?

亜酸化窒素ともいう。人間活動による発生源として、物質の燃焼や農林業における窒素肥料の大量使用、化学工業などがある。また、自然界(土壌や海洋)にも排出源がある。排出量のうち約3分の1は人間活動によるもので主として農業によるものだ。

 亜酸化窒素は大気中に114年と長く残留し、成層圏での光化学反応(太陽光による破壊)によって除去される。大気中濃度は、産業革命以前のレベルは約270ppbでしたが、 産業革命以後上昇しており、2005年の世界平均濃度は319.2ppbとなっている。

 一酸化二窒素は、ヒトが吸入すると陶酔させる作用があることから笑気ガス(laughing gas)とも言い、笑気と略されることもある。また麻酔作用もあるため、全身麻酔など医療用途で用いることもあり、世界保健機関においては必須医薬品の一覧にも載せられている。

 この他にも、工業用途では燃料の発火促進のために使われる。また、調理用途では食材をムース状に加工するエスプーマと呼ばれる調理法に使用される。しかし、陶酔感を得るために亜酸化窒素を乱用する者が後を絶たないことから、日本では、2016年2月18日に医薬品医療機器法に基づき「亜酸化窒素」が指定薬物に指定された。

 そして、日本では同月28日から、医療などの目的以外に亜酸化窒素を製造・販売・所持・使用することなどが禁止されるに至った。なお、乱用以外にも、亜酸化窒素が大気中へと放出されると、 紫外線によって分解されるなどして一酸化窒素を生成し、この一酸化窒素にはオゾン層を破壊する作用がある。したがって、亜酸化窒素の使用もオゾン層の破壊につながるという地球環境への問題も抱えている。


参考 気象庁: https://www.jma.go.jp/jma/press/1811/22b/GHG_Bulletin_14.html


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