海の果たす役割とは?
WHO(世界保健機関)が2018年に発表した統計によると、世界の総人口は73億人を超えた。1位は中国で約14億1141万人。前年の約13億8392万人から増えて、14億人の大台に乗った。 2位はインドで約13億2417万人で、前年より若干増えた。人口が10億人を超えている国は中国とインドのみ。
人口が増えてる一方で、ちょっとしたイデオロギーの違いで殺し合う「戦争」と言うものが存在していることが信じられない。
平和に慣れた日本人にとって、戦争は他人事になりがち。だが、戦争は大気や海洋を汚染し、人の心や体を傷つけ、それはやがて世界中に広がっていく。私たちは運命共同体なのだ。
海や大気はどんなに汚れようとも、そんな事を感じさせないほど、驚異的な回復力で一定の状態を維持してきた。それにはもちろん、環境保全に努める人々の努力があったことは言うまでもない。
さて、地球温暖化で海はどの様な働きをしているのだろうか?
二酸化炭素を吸収する海
CO2は、海面から海に溶けこんで、深海へ世界へと運ばれる。海がCO2を吸収するしくみは、大きく3つある。
まず1つ目は、大気中のCO2が海面で海に溶けこむ。CO2は、 酸素や窒素などに比べて水に溶けやすい性質を持っていて、大気と海の間で 常にやり取りされている。
海のCO2 濃度が大気のCO2濃度より低ければ、CO2は海に吸収される。逆に高ければ、海から大気中に放出される。
2つ目は、生物ポンプというしくみ。陸上で森林などがCO2を吸収して光合成をするように、海でも植物プランクトンがCO2を利用して光合成をする。たとえば、その光合成が 表層でたくさん行われて海のCO2が利用されれば、海のCO2濃度は低くなる。すると、その分だけ大気からCO2が溶けこみやすくなる。 さらに、植物プランクトンは他の生き物に食べられ、やがてフンや死がいとなる。それらがしずむことで、CO2は深い海へと運ばれる。
3つ目は、 海洋大循環。ゆっくりと地球をめぐる海の流れにのって、表層で吸収されたCO2は深層へ、世界へと運ばれる。
このようなしくみによって、人間が放出したCO2は海に吸収される。だから、その量や吸収速度を知ることは、地球温暖化を予測する上で欠かせない。
海は想定の1.6倍熱吸収、気候変動影響か
今回、海が過去25年間に吸収した熱の量はこれまでに考えられていたよりも1.6倍多かったとの研究論文が、英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された。気候変動に地球がより影響を受けやすくなっていることをうかがわせる内容だ。
海は地球表面の3分の2を占めており、生命維持に極めて重要な役割を果たしているが、国連(UN)の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の最新の評価によると、人間が排出した二酸化炭素によって上昇した気温の熱の90%を海が吸収している。
しかし、今回ネイチャーに発表された研究は新しい海水温の測定方法を用い、海がこの25年間、世界の発電量の150倍に相当する熱エネルギーを毎年吸収してきたと指摘。これは以前の研究で示されてきた数値よりも1.6倍高い。
従来の研究では温室効果ガス排出により生じる余剰熱を測定していたのに対し、今回の研究に参加した米国拠点の研究チームは自然界に存在する酸素と二酸化炭素に着目。
海に溶ける酸素と二酸化炭素に着目
どちらの気体も水に溶けるが、水温が上昇するにつれて溶ける量は減少する。この特性から、大気中の酸素と二酸化炭素の量を毎年測定することで、海が吸収した熱を地球規模でより正確に推定することができるという。
新しい計算によると、従来考えられていたよりかなり多くの量の熱が海に吸収されていることになる。加えて、人間が出す温室効果ガスが、従来の推計よりはるかに多い量の熱を作り出していたことになる。
つまり、一定の温室効果ガスが思っていた以上の熱を生み出していたわけで、二酸化炭素が地球に及ぼす影響は考えられていた以上に大きいということになる。
論文の主執筆者で米プリンストン大学(Princeton University)のロール・レスプランディー(Laure Resplandy)助教授(地球科学)は、「1991年以降(海水温が)10年ごとに6.5度ずつ上昇していると私たちのデータは示している」と指摘した。この数字はIPCCが推定する上昇温度の4度より2.5度高い。
レスプランディー氏によると、人類は原材料調達から廃棄・リサイクルまでに排出される温室効果ガスの排出量を二酸化炭素の量に換算した「カーボンフットプリント(CFP)」を見直し、排出量を従来の推計より25%下げなければならないという。
今世紀末までの気温上昇を1.5度以内に抑えるため、IPCCは思い切った措置が必要だと警鐘を鳴らしている。しかし、世界の二酸化炭素排出量は2017年に過去最高を記録した。
参考 BBC news:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-46053302
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nature [Japan] August 29, 2013 Vol. 500 No. 7464 (単号) |
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