肉の代わりに「人造肉」
みんなが大好きな焼肉だが、人口が増加して今後食べれなくなることはあるのだろうか?例えば、経済制裁が続き、食糧難の北朝鮮では人造肉なるものが存在するという。
人造肉は、動物質以外の原料からつくられた、肉に似た味・舌ざわり・栄養等をもつ加工食品。ダイズ,コムギ等のタンパク質をアルカリ処理して液状とし噴出させて繊維状としたものなどがあり、歯ごたえは肉に似ている。これに色素、調味料、香料、結着剤等を加えて加工、肉類に似た形に仕上げる。多くはハム、ソーセージ、かまぼこ等に混入使用され、栄養価がありコレステロールを含まないことから病人食等によいという。
結構、タンパク質としての栄養価が高いようだ。北朝鮮では長いあいだ、「インジョコギ」と呼ばれる人造肉が人々の命をつないできた。通常は豚の餌となる大豆油の絞りカスを平たく伸ばし、黄土色の帯状にされる。そのなかにコメを詰めて、チリソースをかける。
現在、インジョコギは屋台で人気の食べ物となっており、「ジャンマダン」と呼ばれる半合法的な闇市場で他のモノやサービスと共に売られている。
1991年のソ連崩壊によって経済は麻痺「昔は、肉の代わりにインジョコギで腹を満たしたものだ」と、2014年に韓国に脱北したCho Ui-sungさんは話す。「今では、味がおいしいと食べられている」
ソ連の支援を受けて社会主義国家として誕生した北朝鮮だが、1991年のソ連崩壊によって経済は麻痺し、中央集権的な公的配給制度(PDS)も停止に追い込まれた。それにより、300万人が命を落としたとされる。
生き残った人々は手当たり次第、食糧を見つけ出し、物々交換し、新たな料理を考案することを余儀なくされた。市民が自ら率先して行動するようになり、食べ物や衣服など基本的な生活必需品を得る手段として、多くが個人取引を行うようになったと、さまざまな研究が示している。
北朝鮮政府は、制裁によって同国の子どもたちの命が危険にさらされていると主張する。今年はトウモロコシが不作だったため、地方では食糧不足に陥っていると、脱北者らは語る。支援団体はこうした状況を把握できずにいる。
北朝鮮は、国民の7割が主な食糧源としていまだに国家配給システムを使用しているとしている一方で、国連は同じく7割の北朝鮮国民が「食糧不足」に陥っていると予測している。しかし各調査や脱北者の証言は、大半の北朝鮮人にとって、民間市場が主な供給源となっていることを示している。
国連の世界食糧計画(WFP)や食糧農業機関(FAO)によれば、必要とされる以上の食糧が北朝鮮に届けられている兆しはないという。「主な問題は、主食がコメかトウモロコシ、キムチと味噌といった変化に乏しい食事には、必要不可欠な脂肪やタンパク質が不足していることだ」と、これら機関は声明で指摘している。
20年後、人工肉が食卓に並ぶ?
先進国では、本物の肉を人工的につくる「人工肉」の研究がすでに始まっている。人工肉はSF映画に出てくるような物だが、近い将来に食卓に並ぶかもしれない。
2013年に、オランダの科学者マーク・ポスト氏が牛肉の細胞から培養したバーガーを世界に紹介したが、開発に3,250万円もかかったそのバーガーがスーパーの食肉コーナーに並べるのは未だ遠い未来だと予想されていた。しかし、その値段はどんどん安くなってきており、わずか2年で3,250万円から、1100円に下がった。
ポスト氏によると、近い未来に人工牛肉が本物と同じぐらいの値段で争えるようになるそうだ。「20、30年後、大規模な人工牛肉の生産は実行可能になると思います。」
人工バーガーを作るには、先ずは牛から細胞が採取される。次に、ペトリ皿で細胞分裂をさせる。分裂した細胞が繋がると、筋管細胞になり、そして結局筋肉繊維に成長する。約2万の筋肉繊維が束になると、バーガーの出来上がり!
その後は、血液がないために本物の肉のように赤い色を持たないので、赤カブの汁などで染める。
「一頭の牛から採取された細胞だけで、1億75百万枚ものバーガーが出来ます。今、その量を作るには、44万頭もの牛が殺されて肉にされています。」
FAO(国際連合食糧農業機関)によると、次の40年で肉の消費率は75%も上がると予想されているが、肉生産は地球温暖化、森林破壊、汚染、資源の浪費などの環境問題の原因でもあり、こうした背景からも人工肉の普及が必要とされている。
人工肉を食べるのを嫌がる人が多いかもしれないが、まずは資源の浪費で本物のお肉は段々高くなっていき、代わって人工肉が普通にファーストフード店などで使われるようになるだろう。そうして本物の肉は少しずつスーパーなどから消えて行くのではないだろうか。
人工肉バーガーと人類の未来
新しい人工肉の登場は21世紀を生きていることを実感できる。大手ハンバーガーチェーンのショップに入って「インポッシブル・バーガー」のセットを注文できる。
インポッシブル・バーガーのパティに牛肉は使われておらず、植物由来の「ヘム」という物質によって牛肉のような風味を生み出しているという。ヘムは動物の血液にも存在する化学物質で、肉を肉らしい味にしている存在だと会社は説明している。
実際そうなのだろう。食べたインポッシブル・バーガーは典型的なファストフードの店舗で出されるハンバーガーと同じぐらい肉っぽく、そしてありきたりなものだった。値段が高かったことを除けば、世界中で大量に消費されている本物と呼んでよいものと見分けがつかない。
人工肉バーガーは徐々にではあるが、マスマーケットに進出しつつある。バーガーキングは定番メニュー「ワッパー」でインポッシブル・バーガーを試験販売している。
人工肉バーガー革命は、米国のステーキハウスにとっては脅威ではない。大豆タンパク質とヘムの組み合わせでプライムリブなどステーキの味や食感を再現するのはまだ当分は不可能とみられるからだ。
しかし、人工肉バーガーがファストフード市場で牛肉のハンバーガーより安く売られるようになれば、気候変動に与える影響はパリ協定をしのぐ可能性がある。
同協定は、世界的な平均気温上昇を「産業革命以前に比べて2度以上高くならないよう、十分に低い水準に保つ」という目標を掲げているが、うまくいっていない。批准各国が掲げている現在の自主目標では上昇幅が約3度に達すると予測されている。実際、世界のほぼすべての国が目標を達成できていない。
もちろん、誰もがハッピーという訳にはいかない。食肉業界団体はすでに欧州連合(EU)に対し、肉を使っていない食品に「バーガー」などの言葉を使うのを禁じるよう求めている。(The Wall Street Journal)
サイコロステーキ状のウシの筋組織作製に成功
日本でも研究は進んでいる。日清食品ホールディングスならびに東京大学 生産技術研究所(東大生研)の竹内昌治 教授の研究グループは、牛肉由来の筋細胞を用いて、サイコロステーキ状のウシ筋組織を作製することに成功したと発表した。同成果の詳細は、日本農芸化学会2019年度大会にて2019年3月24日付けで発表された。
「培養肉」は、動物の個体からではなく、細胞を体外で組織培養することによって得られた肉のことで、家畜を肥育するのと比べて地球環境への負荷が低いことや、畜産のように広い土地を必要とせず、厳密な衛生管理が可能などの利点があるため、従来の食肉に替わるものとして期待されている。
しかし、現在、世界各地で進められている研究のほとんどがミンチ肉を作製するための研究である。そこで研究グループでは、より肉本来の食感を持つステーキ肉の実現に向けた研究を推進。今回、筋組織の立体構造を人工的に作製する研究に取り組んだという。
肉本来の食感は、筋肉に含まれる筋組織の立体構造から生み出されるが、そのためには筋細胞を増やすだけでなく、それらを融合させ、成熟させる必要があった。研究グループは今回、培養過程でウシ筋細胞にビタミンCを与えることで、ウシ筋細胞の成熟が促進されることを確認。また、厚みのある培養肉を得るために、ウシの筋細胞を従来の平面的な培養ではなく、コラーゲンゲルの中で立体的に培養することで、筋組織に特有の縞状構造(サルコメア)を持つ、細長い筋組織が作製できることを確認したという。
さらに、筋細胞の集合体を積層し、特殊な方法を用いて培養することで、サイコロステーキ状(1.0cm×0.8cm×0.7cm)の大型立体筋組織を作製することに成功したとする。
なお、研究グループでは、これらの技術を発展させることで、今後、さらに大きな筋組織の作製も可能と考えられるとしており、「培養ステーキ肉」の実用化に向けた第一歩となると説明している。
参考 マイナビニュース: https://news.mynavi.jp/article/20190326-795322/
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サイエンスジャーナル なみたかしです。
記事転載の件了解いたしました。当方もいろいろな方に読んでもらいたいと思っております。こちらのホームページも紹介してくれるなら、ご自由にお使いください。
サイエンスジャーナル なみたかし様
はじめまして。
ウェブニュース媒体 ガジェット通信編集部の寄稿チームと申します。
弊社では寄稿という形でさまざまな方のブログ記事やウェブサイトから
編集部が気になったものを許諾を得て転載させていただいております。
「人工肉が牛肉に変わる日?日清や東大生研など、サイコロステーキ状のウシの筋組織作製に成功!」
こちらの記事を大変興味深く拝読し、弊社媒体に寄稿記事として掲載させていただきたくご連絡申し上げました。
お手数かとは存じますが、ガジェット通信編集部までご連絡いただければ幸いに存じます。
何卒ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。
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東京産業新聞社
ガジェット通信編集部 寄稿チーム
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