今、そこにある「エネルギー危機」

 アメリカ軍がイランの精鋭部隊の司令官を殺害し、両国の衝突への懸念が高まる中、イギリス政府はペルシャ湾のホルムズ海峡を航行するイギリスの船舶を海軍が護衛することを決めた。

 イラン周辺では、アメリカ軍がイランの精鋭部隊、革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害したことを受けて、アメリカとイランによる衝突への懸念が高まっている。

 ホルムズ海峡は産油国であるイラン・ィラクからの日本のタンカーも通る。もし戦争が起き、海上封鎖されたら日本は石油を輸入できず、エネルギー危機に陥る。

 日本はエネルギー自給率はわずかに9.6%。とりわけ日本は、石油・石炭・LNG(液化天然ガス)などの化石燃料に大きく依存している。2011年に起こった東⽇本⼤震災の前年、化石燃料への依存度は81.2%(⼀次エネルギー供給ベース)だったが、原⼦⼒発電所の稼働停⽌にともなう電⼒の不⾜を火⼒発電所の焚き増しによっておぎなったことから、2017年の化石燃料への依存度は87.4%まで増加している。

 また、2018年の化石燃料の海外依存度は、石油99.7%、LNG(液化天然ガス)97.5%、石炭99.3%となっており、そのほとんどを海外からの輸入に頼っているのが現状である。

 マスコミはこのことをほとんど報道しない。私は10年以上前から日本のマスコミの報道姿勢はフェアー(正常)ではないと思っている。原子力発電を容認しようとしない、いろいろな説があるにも関わらず、地球温暖化を煽り火力発電さえ中止させようとしている。将来の発電についてのビジョンを持っていない。

 再生可能エネルギーだけではまかなえるはずもなく、原子力、火力など同時並行して使用せねばならないのが実情だろう。その中で次世代エネルギー源として期待されているのが「核融合発電」である。

 まだまだ実用化には程遠いが、今、核融合反応はどこまで実用化に近づいているのだろうか?

 核融合炉とは何か?

 核融合炉(かくゆうごうろ)は、現在開発中の原子炉の一種で、原子核融合反応を利用したもの。21世紀後半における実用化が期待される未来技術の1つである。 

重い原子であるウランやプルトニウムの原子核分裂反応を利用する核分裂炉に対して、軽い原子である水素やヘリウムによる核融合反応を利用してエネルギーを発生させる装置が核融合炉である。

 現在、日本を含む各国が協力して国際熱核融合実験炉ITERのフランスでの建設に向けて関連技術の開発が進められている。ITERのように、核融合技術研究の主流のトカマク型の反応炉が高温を利用したものであるので、特に熱核融合炉とも呼ばれることがある。

 太陽をはじめとする恒星が輝きを放っているのは、すべて核融合反応により発生する熱エネルギーによるものとされている。これは核融合炉が「地上の太陽」と呼ばれるゆえんである。

 恒星の場合は自身の巨大な重力によって反応が維持されるが、地球上で核融合反応を発生させるためには、人工的に極めて高温か、あるいは極めて高圧の環境を作り出す必要がある。 

 核融合反応の過程で高速中性子をはじめ、さまざまな高エネルギー粒子の放射が発生するため、その影響を最小限に留める必要がある。そういった安全に反応を継続する技術、プラズマの安定的なコントロールの技術、超伝導電磁石の技術、遠隔操作保守技術、リチウムや重水素、三重水素を扱う技術、プラズマ加熱技術、これらを支えるコンピュータ・シミュレーション技術などが必要とされ開発が進められている。 

 核融合反応とは何か?

 原子番号28ぐらいまでの軽い元素では、核子一個あたりの結合エネルギーが比較的小さいので、原子核融合によって余分なエネルギーが放出される可能性がある。

 しかし、原子核の電荷が互いに反発して反応を阻害するため、実際にエネルギーを取り出して利用できるような形で反応を起こすことが可能なのは、電荷がごく小さい水素やリチウムなどに限られると見られている。

 実際に核融合反応で発電するためには、原子核が1000 km/s以上の速度でぶつかりあう必要がある。プラズマの温度を高くするために外部から加えたエネルギーと核融合反応により発生したエネルギーが等しくなる条件を「臨界プラズマ条件」と呼び、D-T反応(重水素と三重水素の反応)では「発電炉内でプラズマ温度1億℃以上、密度100兆個/cm3とし、さらに1秒間以上閉じ込めることが条件」と、いうことになる。

 2007年10月現在、この条件自体はJT-60及びJETで到達したとされているが、発電炉として使用出来るまでの持続時間等には壁は高く、炉として実用可能な自己点火条件と言われる条件を目指し挑戦がつづいている。 

 核融合反応の利点

1.核分裂による原子力発電と同様、二酸化炭素の放出がない。 

2.核分裂反応のような連鎖反応がなく、暴走が原理的に生じない。

3.水素など、普遍的に存在する資源を利用できる。

4.原子力発電で問題となる高レベル放射性廃棄物が継続的にはあまり生じない。

5.従来型原子炉での運転休止中の残留熱除去系のエネルギー損失や、その機能喪失時の炉心溶融リスクがない。

 核融合炉の欠点

1.超高温で超高真空という物理的な条件により、実験段階から実用段階に至るすべてが巨大施設を必要とするため、莫大な予算がかかる。

2.炉壁などの放射化への問題解決が求められる。


  

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