1970年のノーベル物理学賞
1970年のノーベル物理学賞は、磁力に関する研究に贈られた。
スェーデンの物理学者ハンネス・アルヴェーンの受賞理由は「電磁流体力学における基礎研究、プラズマ物理学への応用」。
フランスの物理学者ルイ・ネールの受賞理由は「固体物理学における重要な応用をもたらした反強磁性およびフェリ磁性に関する基礎的研究および諸発見」である。
アルヴェーン波
アルヴェーン波(Alfvén wave)とは、磁気流体波の一種。磁場中のプラズマの中を伝わる横波で、磁場と垂直に電流が流れたときに発生する力 (磁場の接線応力と見ることもできる)を復元力とする。磁場の方向に伝播する傾向にあるが、磁場と斜めの向きにも伝わりうる。
アルヴェーン波は、ハンネス・アルヴェーンによって1942年に発見された。磁場中のプラズマの中を伝わる横波で、流体の中では音などの縦波だけが伝播するが、電磁流体ではこれに加えてアルヴェーン波(横波と斜め方向の波)も伝播するということである。
ふだん私たちはアルヴェーン波を目にすることはなく意識することはない。しかし、2006年に打ち上げられた日本の太陽観測衛星「ひので」によって初めて観察することができた。
太陽観測衛星「ひので」
「ひので」がとらえた太陽表面の映像には、太陽から噴き出す小さな炎が観察できる。その上空には、水平方向に筋状にのびる雲のような構造を多数見ることができる。これは、コロナの中に浮かぶ低温のガスである。
そのガスの運動を調べると、上下に波打っていることが明らかになった。これは、「アルヴェーン波」と呼ばれる磁力線に沿って伝わる波を見ているのだと考えられる。
目に見えない磁力線が存在し、それが波によって揺さぶられているのを観測しているのだ。この波の振幅は非常に小さいため、これまで見つけられなかったが、「ひので」の可視光磁場望遠鏡によって初めて発見された。
太陽の大気中のアルヴェーン波を初めて検出し、磁力線を伝わる波が存在することが分かり、これでコロナの加熱問題を説明できる鍵になるかもしれない。その可能性を観測的に初めて示したという意味で大きな成果である。
磁気流体力学とプラズマ物理学
磁気流体力学は 1942年に宇宙の諸現象研究の過程でハンス・アルヴェーンが発表した論文、すなわち今日アルヴェーン波として知られている磁場中電導性流体特有の波の存在を述べた論文から始まる。
アルヴェーン波(Alfvén wave)とは、磁気流体波の一種で、ハンネス・アルヴェーンによって発見された。磁場中のプラズマの中を伝わる横波で、流体の中では音などの縦波が伝播するが、電磁流体ではこれに加えてアルヴェーン波(横波と斜め方向の波)も伝播するということである。
プラズマ物理学とはプラズマを研究対象とした物理学。プラズマは電離した気体のこと。プラズマの例は蛍光灯やネオンサイン、溶接など...プラズマディスプレイも応用例の一つだ。自然現象としてはオーロラや落雷、セントエルモの灯などがある。
アルヴェーンは電磁流体力学とプラズマ物理学の第一人者であり、学問自体が新しいため現在のところプラズマ物理学でのノーベル賞受賞者は他にいない。
アルヴェーンはオーロラを見て「宇宙はプラズマで満たされている」と述べていた。また、彼はビッグバンを否定していたが、現在はビッグバンモデルの方が支持されている。
そしてアルヴェーン自身を含む多くの人々の研究により大きく発展し、今日では宇宙空間物理学研究や熱核融合研究の基礎として広く用いられている。アルヴェーンは「電磁流体力学の基礎研究、プラズマ物理学への応用」により1970年にノーベル物理学賞を受賞した。
ハンネス・アルヴェーン
1970年のノーベル物理学賞受賞者。受賞理由は「電磁流体力学における基礎研究、プラズマ物理学への応用」
ハンネス・アルヴェーン(Hannes Olof Gösta Alfvén, 1908年5月30日 - 1995年4月2日)は、スウェーデンの地球物理学者・物理学者である。ハネス・アルベーンともいう。
スウェーデンのノーショーピング生まれ。ウプサラ大学卒。1934年からウプサラ大学で物理学の教鞭を執り、1940年にスウェーデン王立工科大学の教授となった。
磁場中の伝導性流体においては、通常の流体とは異なり、縦波だけでなく横波(アルヴェーン波、アルベン波ともいう)も伝播しうることを明らかにするなど、プラズマ物理学の一つの基盤である磁気流体力学の基礎を築いた。1970年にノーベル物理学賞を受賞した。
そのほか、磁気圏中の荷電粒子の運動の研究など、磁気圏・電離圏物理学の基礎となる様々な研究成果を挙げた。ビッグバン・モデルに基づく標準的宇宙論に対して、プラズマ宇宙論を提唱した。叔父に作曲家のヒューゴ・アルヴェーンがいる(スウェーデンを代表する国民楽派の作曲家)。
ルイ・ネール
ルイ・ネール(Louis Eugène Félix Néel, 1904年11月22日 – 2000年11月17日)は、フランスの物理学者。
物理学の中でも個体を研究対象とするものを固体物理学という。ネールはパリの高等師範学校を卒業した後1932年にストラスブール大学へ進んで博士号を取得。この頃から分子レベルでの磁性の研究に着手している。反強磁性の発見は1930年頃。
通常の常磁性体は温度が下がるほど磁化率が増大する。磁化とは磁石に接触した鉄が磁石になったかのように振る舞うことだ。
これとは逆に、鉄系の酸化物や硫化物では、ある温度までは温度が上がるほど磁化率が高くなる。酸化マンガンや酸化ニッケルなどのハロゲン化物でも同様の現象が見られる。
言い方を変えれば、ネール温度は反強磁性の材質が常磁性へ変わる温度のことである。こうした反強磁性を持つ物質を反強磁性体という。
反磁性体では、物質の原子の磁気モーメントが逆向きに配列されているが、温度の上昇により配列が乱れ常磁性になる。磁気モーメントは、磁気のベクトル量で磁石の強さを表したものである。
フェリ磁石はフェライト(鉄系の磁性材料)などの強磁性体が持つ強磁性をいう。現在では鉄系だけでなく、一部のレアアースなどでも確認されている。ネールは地球の磁場により、ある種の岩石が弱い磁気を持つことも説明している。
参考 Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/ハンス・アルヴェーン
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