ドローンこんな使い方がいい

 ドローンといえば小型無人機のこと。空撮や輸送などの分野で活躍するだけでなく、最近では美しい空中イルミネーションとして東京オリンピックの開会式に使われた。

 8月30日、ドローンを使って香川県三豊市沖の離島、粟島に生活物資や医療物資を届ける世界初の定期航路が開設された。この日、初めての輸送が行われた。

 航路は、三豊市詫間町の須田港から粟島までの片道約4キロ。高松市のドローン物流ベンチャー「かもめや」が輸送サービスを手掛ける。

 初フライトとなった8月30日は、粟島の2世帯3人が注文したお菓子やペットフードなど合わせて1キロ分を、GPSやセンサーを搭載したドローンが7分半ほどで運んだ。

 粟島は人口が約170人で、高齢化率は8割を超えている。これまで島民は食品や日用品の購入に、島に1軒ある商店を使うか、定期船で三豊市内に買い出しに行っていた。

 島民は、商品の代金プラス500円の手数料でサービスを利用できる。粟島港に届いた荷物は、かもめやのスタッフが検品して自宅まで運んでくれる。定期船で往復するよりも安く手軽に買い物ができる。

 空飛ぶクルマ、ヘリ・ドローン

 経済産業省は「空飛ぶクルマ」の実用化に向け、ドローン(小型無人機)やヘリコプターと飛行ルートをすみ分ける運航管理の技術開発を始める。

 同じ高度の空域を飛ぶ機体の飛行情報を統合管理して、衝突しないよう調整する。政府が予定する2025年の国際博覧会(大阪・関西万博)での実証実験までに技術の確立をめざす。

 空飛ぶクルマは国土交通省と経産省が飛行を認める高度について要件の検討を進めている。

 世界ではドローンタクシーが、今夏始まっている。場所は世界中の富裕層が多く集まるドバイ。

 ドローンタクシーに用いられる機体は中国メーカーEhangのEhang184だという。定員は1名、最大100キロ程度まで運ぶことができる。飛行時間は30分、飛行距離は最長50キロ、最高時速は時速160キロ、通常は時速100キロで飛ぶ。これだけの性能があれば渋滞の多いドバイの都市部を移動するには十分だという。

 五輪開会式のドローン1824台のパフォーマンス

 東京オリンピック2020。開会式ではさまざまなパフォーマンスが話題となったが、そのなかでも開会式のドローンによるショーは一際目立っていた印象がある。

 最近さまざまなイベントで目にするようになったこのドローンショー、実は海外企業の技術を利用したものだった。

 東京オリンピック2020のドローンショーで利用されたのは、PCの頭脳ことCPUを製造している米Intelだ。同社のドローン技術「Shooting Star」により、1824台ものドローンが地上から遠隔操作され、本体に搭載されたLEDによって国立競技場の上空に複雑な模様を描き出した。

 実はこのShooting Star、オリンピックで利用されたのは今回が初めてではない。2018年の冬季平昌オリンピックでも、1218台のドローンが飛行している。また、2017年にレディー・ガガが出演したスーパーボウルのハーフタイムショー、それにアミューズメント施設のハウステンボスでもShooting Starによるドローンショーが実施された。

 なお、Shooting Starの利用は一般企業でも可能だ。標準的なドローン200機を利用したベーシックなプランは9万9000ドル(110万円)から利用でき、より高性能なドローン500機を利用したショーは29万9000ドル(約3300万円)から、そしてそれ以上の規模のショーは要相談となっている。

 ドローンショーのギネス記録は3,281機

 この分野では定評のあるIntelは、2016年には、500機のドローンによるライトショーでギネス記録を樹立。2018年2月の平昌オリンピック開会式では、1218機の同時飛行で世界記録を更新した。

 その後2018年7月には2066機、2020年9月に2200機を記録を伸ばしていたが、2020年9月にShenzhen DAMODA Intelligent Control Technologyが3051機のドローン飛行で記録を更新。

 2021年3月末には、現代自動車の高級車ブランドGenesisが、中国参入を記念して3月29日に上海でドローンでブランドロゴを描くなどのパフォーマンスを披露した。

 上海の夜空を埋めたのは3,281機のドローン。Gensisは、無人航空機(UAV)の最多同時飛行数(most Unmanned Aerial Vehicles (UAVs) airborne simultaneously)のギネス記録を樹立した。

 夜空には「GENESIS」のロゴ、地球、スペースステーション、そして火星。さまざまな絵柄を映し出した。ドローンがこれだけの数集まるとただフワフワ飛んでいるだけでも幻想的で絵になる。

 米、カブールでドローン攻撃…民間人が死亡か

 一方、ドローンは戦場で兵器として使われている。8月30日、米国がアフガニスタンの首都カブールで、空港を攻撃しようとした自爆テロの容疑者の車両をドローンで攻撃したと明らかにしたが、この攻撃で3~9人の民間人が死亡したという報道がCNNから出ている。

 中央軍司令部のビル・アーバン報道官は「米軍は本日、カブールのある車両に対して自衛的な無人機空爆を実施し、ハミド・カルザイ国際空港に対する差し迫った脅威を排除した」と発表した。

 さらに「我々はその目標物の攻撃に成功したと自信をもって言える」とし、「車両からはっきりと現れた2回目の爆発は、相当な量の爆発物があったことを示している」と述べた。

 この空爆で死亡した民間人は、ドローン空爆による直接的な犠牲者なのか、車両の2回目の爆発による犠牲者なのかはまだはっきりしていない。アーバン報道官は、「現在としては民間人被害の報告がないが、その可能性を測定している」とだけ明らかにした。

 国防部のある高官は、初期の報告によると、空爆の目標物(車両)には多数の自爆テロ犯が乗っていると考えられ、車両爆弾や自爆チョッキを着たテロ分子が脅威になり得る状況だったと伝えた。

 米高官によると、空爆が実施された場所はカブールのカジェ・ブグラだという。空爆現場の住民と目撃者は、幼い子どもを含む住民が死亡したと話した。ある住民は「近くの住民たち皆で水を持ってきて火を消したが、5~6人が死亡したのを見た」と話した。

 「その家族の父、幼い少年、二人の子どもがいて、彼らは死んだ。バラバラになっていた。負傷者も2人いた」と証言した。また別の住民は「3人が車の中にいて、もう3人は車の外にいた」と伝えた。

 AP通信はアフガニスタン当局者の話を引用し、今回の空爆で子ども3人が死亡したと伝えた。現地メディアには少なくとも6人の民間人が死亡したという報道もあるとワシントン・ポストが伝えた。

 米国は今月26日、カブール空港の爆弾テロに対する報復として、27日に東部のナンガハール州地域を空爆し、イスラム国ホラサン州の幹部2人を殺害したことを明らかにしたのに続き、この日もカブールで空爆した。