サンプルリターン計画
サンプルリターンというと、日本の「はやぶさ1・2」を思い出す。小惑星イトカワの砂粒や小惑星リュウグウの砂粒を持ち帰ったことは日本の誇るべき科学技術だ。
サンプルリターンは何も小惑星だけでない。初めてのサンプルリターンは、アメリカ航空宇宙局 (NASA) のアポロ計画による「月の石」の採取である。1969年のアポロ11号では約22kgの資料を持ち帰っている。
1999年に打ち上げられたNASAのスターダストは、2004年1月にヴィルト第2彗星のコマから噴出した粒子を収集し、2006年に地球へ持ち帰った。
そして今度は火星である。9月6日、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車「パーシビアランス」が、初めて岩石のサンプル採取に成功したと発表した。
採取されたサンプルは将来、火星へ送る予定の探査機で地球に持ち帰ることが計画されている。岩石を地球に持ち帰ることができれば火星探査の歴史で初めてのことになる。
パーシビアランスとは何か?
「パーシビアランス」の主な目的は、かつて湖だったと考えられている「ジェゼロ・クレーター」という地点で、火星に生命が存在した痕跡を探すこと。今回の探査で採取したサンプルを詳しく分析することができれば、その手がかりが得られるのではないかと期待される。
ことし2月に火星に着陸したNASAの探査車「パーシビアランス」には、火星の岩石などのサンプルを採取するためのドリルなどの機器が搭載されている。
パーシビアランスの意味は「忍耐」「忍耐力」。愛称「 Percy、パーシー」と呼ばれている。2020年7月30日に打ち上げられた。火星に着陸したのは2021年2月18日。2021年7月23日現在、パーサヴィアランスは火星に150火星日(地球日数154日)滞在している。
パーサヴィアランスには、火星探査計画の科学目標を支える4つの科学目標がある。
1.息可能性の探索:微生物が生息可能な過去の環境を特定する。
2.生命存在指標 (biosignatures) の探索:そのような環境に生息していた可能性を有する過去の微生物の痕跡を、特にその痕跡が長期間保存されていることが知られている特殊な岩石の中から探す。
3.サンプルのキャッシング:岩盤コアとレゴリス(「土壌」)のサンプルを収集し、火星の表面に保存する。
4.人間のための準備:火星の大気から酸素生産を試行する。
パーサヴィアランスは、7つの新しい科学機器を搭載し、合計19台のカメラと2つのマイクを搭載している。ローバーは、他の惑星で初の動力飛行を試みる実験機である小型ヘリコプター「インジェニュイティ」( Ingenuity)を搭載している。
この太陽電池を搭載したヘリコプター・ドローンの質量は1.8kgである。このドローンは、飛行の安定性を実証し、予定されている30日間のミッションでローバーの理想的な走行ルートを偵察する可能性を証明するとされている。カメラの他に科学機器は搭載されていない。
パーサヴィアランスの発電機 (MMRTG) の質量は45kgで、4.8kgの酸化プルトニウム238を動力源として使用している。プルトニウム238の自然崩壊により熱が発生し、それが電気に変換される。これは時間の経過とともに減少していく。MMRTGは2つのリチウムイオン充電池を充電し、ローバーの活動に必要な電力を供給しているが、定期的に充電する必要がある。ソーラーパネルとは異なり、MMRTGは、夜間や砂嵐の中、冬の間もローバーの機器を操作するための大きな柔軟性をエンジニアに提供する。
パーサヴィアランスのコンピュータは、BAE RAD750耐放射線性シングルボードコンピュータを使用している。このコンピュータは128メガバイト (MB) の揮発性DRAMが搭載され、133メガヘルツ (MHz) で動作する。フライトソフトウェアは、別のカードで4GBのNAND不揮発性メモリにアクセスすることができる。
パーサヴィアランスと一緒に旅をするのは、インジェニュイティ (Ingenuity) と名付けられた火星のヘリコプター実験である。この太陽電池を搭載したヘリコプター・ドローンの質量は1.8kgである。このドローンは、飛行の安定性を実証し、予定されている30日間のミッションでローバーの理想的な走行ルートを偵察する可能性を証明するとされている。カメラの他に科学機器は搭載されていない。
参考 NHK news:火星の岩石サンプル 採取に成功 地球に持ち帰る計画 NASA
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