マゼラン雲は衛星銀河
 伴銀河(Satellite galaxy)とは、重力の相互作用により、より大きな銀河の周囲を公転する銀河である。衛星銀河ともいう。太陽のまわりを惑星が回るように、伴銀河は大きな銀河のまわりを回っている。

 銀河系のまわりにも伴銀河があり、大・小マゼラン雲は伴銀河の例である。これまで銀河系のまわりには、約60個発見されていた。

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 ミッシングサテライト問題


 最近の理論では、銀河系の周りには1000超個の暗黒物質の塊があり、そのうち220個程度に衛星銀河ができていると推定されていた。この食い違いは「ミッシングサテライト(見つからない衛星)問題」と呼ばれていた。

 今回、国立天文台、東北大学などの国際研究グループは、 銀河系(天の川銀河)の周りにある伴銀河が、従来の理論に基づく推定より多いことが分かったと発表した。すばる望遠鏡(米ハワイ州)の観測で、新たに複数の衛星銀河を発見し判明した。

 すばる望遠鏡である範囲を観測したところ、理論的には衛星銀河が3~5個あると想定されたのに対し、実際には9個も発見された。これを銀河系全体に換算すると、少なくとも500個あることになり、推定されてきた220個程度を上回る。こうしてミッシングサテライト問題から一転し、逆に衛星銀河が“多過ぎる”問題に直面することとなっている。