アルコールが好きな動物苦手な動物


 人にはアルコールに強い人、弱い人がいる。私は弱いようだ。弱い人はアルコールを分解する酵素を持っていないと聞く。動物はどうだろうか?


 ペットで飼うイヌやネコにはアルコールを与えてはいけないと聞いたことがある。アルコールを舐めてしまう・飲んでしまうことで死に至るケースがある。しかし、中にはアルコールを飲んでも平気な動物たちがいる。それは何か?


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 動物のなかでもっとも酒豪なのは、何とハムスター。その小さくて可愛らしい姿から想像できないが、研究によるとハムスターは1日に体重1キロあたり18グラムのアルコールを消費できる。人間が1.5リットルの高濃度ウォッカを飲むのと同じである。


 ハムスターは野生ではライグラスの種や実を巣に貯める習慣があり、それらの種や実は冬の間に発酵してアルコール濃度が高まる。実験でもウォッカをゴクゴクと飲んだようで、ペットのハムスターに水とウォッカを与えたらウォッカの方を好んで飲むかもしれない。


 さらにハムスターのすごいのは、たくさんアルコールを摂取しても酔っ払わないところだ。彼らは並外れた強さの肝臓を持っており、腸から肝臓に行くまでにエタノールはほぼすべて分解されてしまう。


 アルコールを好む鳥類


 大きな冠羽や黒いアイマスクのような模様など、印象的な羽毛で知られる北米の鳥であるヒメレンジャクは、数カ月にわたって果実だけを食べるという珍しい特徴を持つ。果実はエネルギー源として優れているが、熟しすぎた果物やベリーは目に見えない脅威となる。

 天然の酵母が熟した果実を発酵させ、糖の分子をエタノールと二酸化炭素に変える。果実が腐り始めていなければ、食べても安全だが、ヒメレンジャクはアルコールに酔っているかもしれない。

 人と同じように、酔っぱらったヒメレンジャクは反射神経が鈍く、判断力が低下している。そのため、補食されたり、車や窓ガラスにぶつかったりする可能性が高くなる。

 調査によると、野生動物やペットを含む55種の鳥がアルコールを飲んでいることがわかった。オウムやカラスなどのいわゆる「賢い」鳥が人の飲み物を口にするというものだった。

 ツパイはアルコール入りの蜜を好む

 タイやマレーシア、ボルネオ島では、7種のツパイがブルタムヤシの蜜を主食にしている。ブルタムヤシの蜜は急速に発酵し、アルコール度数3%以上の甘いシロップになる。

 2008年の研究によれば、ヒメレンジャクと異なり、ツパイの場合、この高アルコール食の悪影響はないようで、中毒の兆候が見られることもない。

 2020年には、ブルタムヤシの花粉を媒介するリスなどのげっ歯類も、アルコールの大量摂取に適応しているという研究結果が発表されている。

 動物たちは快楽のためにアルコール入りの植物を摂取している可能性もあるが、これらの植物を食べることで、糖分やビタミン、そして、アルコールを摂取できるのだ。