皮を食べないと大損する野菜や果物
 野菜や果物を食べるとき、皮をあたり前のように捨てていないだろうか?
 実はキウイやニンジン、柑橘類の皮には抗酸化物質やビタミン、食物繊維が豊富なのだそうだ。これからは皮を上手に食べる方法を考えたらよいかもしれない。
 皮を食べることは食品廃棄物を減らせるだけでなく、栄養面のメリットが大きい。リンゴや桃、柿の皮には、果肉や種よりも高い濃度の抗酸化物質(ガロカテキン、エピカテキン、エピガロカテキンなど)が含まれている。

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 野菜などの色素は抗酸化物質の存在を示すものなので、栄養学的にみて色には力がある。抗酸化物質には、汚染物質や紫外線、フリーラジカル(遊離基)と呼ばれる不安定な分子などにより細胞が損傷するのを防ぐ働きがある。
 皮は果物や野菜を保護する層で、日光や雨、害虫などから自らを守る防御システムがある。この防御メカニズムは、私たち人間の健康にもよいものだ。
 だからといって、どんな果物や野菜の皮でも食べるべきだ、と言うわけではない。皮を食べられるものであっても、出回っている果物や野菜には、残留農薬がついている場合もあるので、しっかり洗うことが大切だ。
 リンゴ
 リンゴの場合、一番栄養があるのは皮の部分。皮付きの実には皮なしよりビタミンKが3倍、ビタミンAが1.4倍、ビタミンCが1.1倍多く含まれている。
 リンゴの皮は、水溶性と不溶性の食物繊維や、抗酸化力の高いケルセチンも豊富。それに、皮ごと食べると噛む回数が増え、食べるスピードもゆっくりになる。
 ニンジン
 生のニンジンの皮は、重量では全体のわずか11%に過ぎないが、抗酸化作用のあるフェノール酸の含有量では54%を占めることが研究で分かっている。カロテノイド、ビタミンK、ナイアシン、ビタミンCも、ニンジンの実の部分よりも皮の方に多く含まれている。
 柑橘類
 オレンジやグレープフルーツ、レモン、ライムの皮には、ビタミンCやカロテノイドが果肉よりも多く含まれているだけでなく、ヘスペリジンという強力な抗酸化物質も豊富だ。ヘスペリジンには抗炎症作用があり、血糖値の調節にも役立つという。
 ライムの皮に含まれる物質は、ヒトの肝臓がん細胞に対してさまざまな抗がん作用があることが発見されている。
 ナス
 濃い紫色の皮は、健康にいい抗酸化物質が豊富に含まれているサインだ。とりわけ、ナスの皮には、体内や脳内の細胞膜を保護するナスニンが含まれている。
 ナスニンは体内の炎症を抑え、LDL(悪玉)コレステロールを減少させる効果がある。  
 キウイ
 知らない人が多いのだが、実はキウイの皮は食べられるし、体にもいい。キウイの皮には、果肉の2倍の食物繊維が含まれているからだ。
 やわらかい毛の生えた皮には、果肉よりも多くの葉酸とビタミンEが含まれているという。 ただし、気をつけたいことがある。キウイの皮にはシュウ酸が多く含まれているので、尿路結石になったことがある人は皮を食べないほうがいいかもしれない。
 ジャガイモとサツマイモ
 ジャガイモとサツマイモの皮はビタミンC、鉄、カリウム、ビタミンB群が豊富であることに加え、含まれる食物繊維の50%は皮の部分にある。
 そのため、ジャガイモ(赤や紫の品種を含む)やサツマイモの皮はむかなくてもいい。ただ農林水産省は、ジャガイモの芽や皮が緑色になった部分は厚めにむいて取り除くことを呼びかけている。
 トマト
 トマトの皮をむくことで、抗がん作用のあるリコピンが最大80%失われてしまう。ビタミンCと一部のビタミンB群の含有量でも、皮が果肉を若干上回る。また、 皮を取り除くとトマトの抗酸化活性が全体的に低下することがわかっている。つまり、トマトは丸ごと使う方がいい。